せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月

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番外編

エピローグ的な番外編1

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卒業パーティまで二ヶ月を切った今日、私は王宮にいる。

「ですからっ!婚約者の私が贈るのが当然なのです。もうデザインだって考えているのですし」

「そんなこと言ったって、私もリディアにドレスを贈りたいのです。ウェルデル男爵夫人と一緒にドレスを作る約束だってしたのよ?貴方は2人の母の楽しみを奪うつもりなのですか?」

「誰もそんなことは言ってないでしょう。贈りたいなら贈れば良いのです。ただ、卒業パーティのドレスを贈るのは婚約者の特権なのだと申しているのです」

「では譲りなさい」

「絶対に嫌です」

そして、私のドレスのことで互いに一歩も引かない状態で揉めている王妃王太子息子を眺めている。

「大体……婚約が決まってから、何かといえばリディアを王宮に呼び出して一緒にお茶をしているのは誰ですか?そのせいで私はリディアとゆっくりと休日を過ごしたこともないのですよ」

「そんなのは仕事の遅い自分のせいでしょう。婚約者が仕事で寂しい将来の娘とお茶をして何が悪いのです」

「王太子として真摯に仕事に取り組んで王妃に責められるとは思いませんでしたよ」

「何事もバランスだと言っているのです。王はちゃんと私との時間を作ってくれましたよ」

「分かりました。では折角ですので今日は2人の時間とさせていただきます。行くぞ、リディア」

言い逃げの台詞とは裏腹に優雅な仕草で立ち上がったクライブ殿下が私に手を伸ばす。

「あ、はい」

うっとりするような流れる仕草に、私も考える前に思わず手を乗せた。それくらい自然な流れだったのだ。

「では母上、失礼します」

若干勝ち誇ったように言った殿下に連れられながら私がちょこんと退出の礼をすると、王妃様はとても楽しそうに笑って見送ってくれた。

前にお茶をした時に聞いたことがある。
王太子としてしっかりすればするほど、どんどん感情を出さなくなった息子殿下を心配していたけれど、私と付き合うようになってから随分と表情が豊かになって嬉しいと。私に感謝していると微笑んだ王妃様はとても優しい母の顔だった。
今日だってドレスなんてただのとってつけた理由で、本当は息子と会話を楽しみたかっただけだろう。ヒートアップしていた殿下は気づいていなかったようだけど、途中から笑顔が隠せなくなっていた。

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