せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません

嘉月

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第9章

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「まったく……意地っ張りなのはここでもか。仕方ないから、リディアが王妃になりたくなるメリットを教えてやろう。聞いたら、ちゃんともう少しロマンチックなプロポーズを返事をよこせ」

「メ、メリットですか?」

ぎゅうぎゅうと抱きしめられながら耳元で話されるのは、物凄く心臓に悪い。私が鼓動が過去最速になって今にも暴走しそうなのに耐えているのに、クライブ殿下は急に余裕そうに話し出した。

「まず、王妃と王太子秘書では存在の重みが違う。だから発言力も違う。それは分かるな?」

「はははははいぃ」

そんな急に仕事モードで話されても、抱きしめられて殿下の胸に密着している状態では冷静に返事なんてできやしない。それなのにそんな私の髪を嬉しそうに撫でながら話は続く。

「だからリディアのやりたい事が実現する可能性が高くなる、という事だ。同じ内容でも、一介の秘書の助言では反発する保守的な貴族が王妃の願いなら何も言わない。仲睦まじいことだと喜んで審議に協力する。だから女性の教育も就労も、今よりもっと進めることが出来ると思うぞ。そうだな、王太子夫妻の希望とあれば隣国の姫が羨むほどのスピードで改革することも可能ではないかな?勿論、妃の協力が不可欠ではあるが」

「ーーー殿下。私、秘書の仕事続けていいんですか?」

口にして改めて自覚する。そうだ私、秘書の仕事が好きでやりがいを持っている。前世で社畜のだった時だって仕事は好きだった。
今だってそう。金銭的な面だけじゃない、殿下と一緒に働くことが好きだったんだ。

「秘書、としては難しいな。王太子妃ひいては王妃になるのだから、現実問題とてもそこまで手は回らないだろう。だが、俺を共に仕事をしていくという点では同じだ。これまでと同様、いやこれまでよりももっと密接に仕事をしていける。どうだ、魅力的だろう?」

少しだけ腕の力を緩めた殿下が至近距離まで顔を近づけた。あと少しで額同士がくっつきそうな距離だ。

「リディアとなら公でも私でも最高の人生を歩めると思った。幸せにするという約束はきっと俺自身の幸せにも繋がっている」

自信に溢れた言葉はいつもの殿下らしいけれど、それを語る瞳は甘くて熱くて怖いくらいの想いが伝わる。

「それなら幸せは確約されたも同然ですね。だって私も殿下を幸せにするつもりですから」

だから今度は真っ直ぐ、瞳を逸らさずに言葉を紡いだ。
せっかくクライブ殿下がお膳立てしてくれたのだから、ここで応えないなんてあり得ない。

「2人でいっぱい幸せになりましょう。それで、みんなのいっぱいの幸せを作って行きましょう」

そう言って笑顔で瞳を閉じたら、温かいキスが降ってきたのだった。









ご愛読ありがとうございました。
もう少し、続きます。

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