BLエロ小説短編集

五月雨時雨

文字の大きさ
283 / 1,438

男は砕け堕ちる時までわずかな悦びを惨めに追い求める

しおりを挟む
左右の足を隙間無く揃え、両腕を身体の側面に密着させる。そんな気を付けの体勢に固められた裸体を必死にもがかせながら、男が危機と屈辱からの脱出を試み続けていた。
どんなに手足に力を込めても自由は取り戻せない。塞がれた口で言葉にならない絶叫を幾ら発しても救いは訪れない。嫌というくらいに思い知らされた絶望の情報に心を打ちのめされながらも、男は一人きりの地下室で試行錯誤を休み無く繰り返し事態の打開を追い求めていた。
だが、男がどんな行動を取っても状況は変わらない。衣服を剥ぎ取られた裸体へと巻き付けられた透明なラップの縛めと、その上から重ねられた黒いテープの拘束は男がなりふり構わずに暴れてもぎちぎちと軋む音を立てるのみで緩む気配すら見せない。
裸体を厳重に縛るラップとテープの檻に閉じ込められ、更にその上から手も足も出せぬ状態となった身体を地下室の中央に位置する丸い柱へと括り付ける追い打ちのテープを執拗なまでに与えられた男はもう、柱を背にして立った姿から離れられなくされた肉体をただただ、無慈悲に嬲られるしか無い。
口を閉ざすテープの上へと鼻も同時に覆う形で重ねられた頭部を柱へと縫い付ける役割も担う数枚の白布を湿らせている淫猥な薬品が混じった呼吸を強いられている無様な男はもはや、わざとラップとテープで包むこと無く露出させられた男根が痛々しく勃起し疼きに疼いている様を為す術無く見つめながら、我慢しきれぬ呼吸に合わせて己を更なる発情という淫らな地獄へと追いやることしか出来はしないのだ。

「んんっ、ふうぅ、む、ふぶぅ……っ!」

ラップの内側に蓄積した自らの汗がもたらす熱気と滑りが、男に不快を味わわせていく。その不快を大きく上回る男根の内部で忙しなく蠢くもどかしさが、男の理性を常に削り落としていく。
もし腕が思い通りに使えたならば、男は躊躇い無く男根を慰める摩擦を一心不乱に注いでいたことだろう。仮に右腕のみに自由を残された状況を用意されていたならば、男は裸体を包囲するラップとテープを振り払う為の格闘ではなく男根を鎮める快感を手繰り寄せていたことだろう。
けれど、今の男に己の男根を情けなく扱く手段は無い。悲痛に見開かれた目から大粒の涙を零しつつ許しをねだっても、それを聞き入れてくれる存在は何処にもいない。
恥を捨てて縋り付く相手すらもいない孤独な地獄に放置された男は、惨めに前後させることも叶わない腰を狭い範囲で揺らしながら、出口を遮断され溜まる一方となった自身の淫欲に壊し尽くされるしか無いのだ。

「んぅっ、むぶぅっ、ふみゅぅぅ……っ!」

自分をこの責め苦へと置き去りにした敵達への憎しみを滾らせていた脳に誰にも届かない助けてを響かせながら、憎しみと怒りで満ちていた思考を射精への渇望に欠片も残すこと無く塗り潰されながら、男は滑稽極まりない腰振りを行って張り詰め切った男根をみっともなく踊らせて余計にもどかしさを加速させるだけのかすかな刺激を生み出し、それを正気が砕け堕ちるその時まで汲み取り続けていた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

機械に吊るされ男は容赦無く弄ばれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...