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2】可愛くない悲鳴
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2】可愛くない悲鳴
気づいたら、アイツ。春樹のことが好きだったと思う。
家が近所だったこともあり、小さい頃から傍にいた。わりと家族ぐるみでの交流もあり、一緒に公園に行ったり、夏休みには海に行ったり。今もまだ子供だが、俺の今より更に小さい頃の思い出には、家族旅行以外春樹との思い出ばかりだ。
『行こうぜ、葵』
『うん』
俺の名前を呼んで、差し出された手に安心して。当たり前に傍にいる春樹のことが、気づいたら好きになってた。どこが好きなんだ? と聞かれたが、どこかなんて言えない。だって、俺は春樹が良いから。そもそも、どこが好きだと言われて具体的に言える人はいるんだろうか? 好きだからで良いじゃないか。
「……」
(真面目に授業受けてるな)
小学生の頃、モテ始めた春樹の側にいる女の子たちに胸がモヤモヤして初めて自分の気持ちを自覚した。ああ、俺は恋愛的な意味で春樹のことが好きなんだと思うと、ストンと気持ちが腑に落ちて納得して数年。彼女が欲しいという気持ちは沸かないまま、たまに周囲から好きな人いないの? なんて言われているが、大丈夫と適当に答えている。だって、俺が欲しいのって彼女じゃなくて、彼氏だし。何て言うか……「そういうこと」を春樹にされたいと思ってる。
(好きな人の名前が言えたら、楽だろうけど)
言えるわけない。言えたら、こんなに長いこと片思いを拗らせてなんていない。チラリと前方の席の春樹を見た。俺のプリントを映したのを出しているのが、何となく嬉しい。
「じゃあ、次の答えを……春樹。分かるか?」
「はい。えっと……32?」
「正解だ。じゃあ次を……」
俺が指名されたわけじゃないのに、答えが合っていて良かったとホッとした。すると、見ていた背中がグルンと回る。まだ授業中だというのに、春樹が俺の方にピースしていた。馬鹿。前見ろ、前。先生にバレるだろうが。前を見ろとジェスチャーをすれば、分かったと春樹が前を向きなおした。
「こらー。春樹。葵のことが好きなのは分かるが、授業中は先生の話を聞いてくれな。春樹繋がりで、次を葵答えてくれ」
「えっ! 俺!?」
「そうだ。次の答えは何だ?」
「45です」
「正解」
あははっ! とクラス中に笑い声が漏れた。バレるぞじゃなくて、やっぱりバレていた。俺もつられて笑った。注意されてしまったけれど、春樹が些細なことでも俺に笑顔を向けてくれるのが、嬉しいが状況的に当てられて怒っているんだぞと、という風な表情をしてみせた。だって、そうすれば……。
「春樹が俺の方向くから、当てられただろ」
「悪かったって。ほら、正解したぞって嬉しくてさ。葵も正解で、俺とワンツーフィニッシュじゃん?」
「お前なぁ……」
授業が終われば、春樹がすぐに俺の傍にやって来るから。俺の肩に春樹の腕が回って、身体が密着する。俺の心臓はまたドキドキしていていた。
「葵、顔赤くない?」
「春樹がくっつくから、暑いんだよ」
「ヤダ! じゃあ、もっと暑くしてやる」
「ぎゃっ!」
ギュゥッ! と春樹の腕に力が籠り、更に身体が密着して可愛くない悲鳴が漏れた。
******
更新しました。お気に入りい有難うございます
気づいたら、アイツ。春樹のことが好きだったと思う。
家が近所だったこともあり、小さい頃から傍にいた。わりと家族ぐるみでの交流もあり、一緒に公園に行ったり、夏休みには海に行ったり。今もまだ子供だが、俺の今より更に小さい頃の思い出には、家族旅行以外春樹との思い出ばかりだ。
『行こうぜ、葵』
『うん』
俺の名前を呼んで、差し出された手に安心して。当たり前に傍にいる春樹のことが、気づいたら好きになってた。どこが好きなんだ? と聞かれたが、どこかなんて言えない。だって、俺は春樹が良いから。そもそも、どこが好きだと言われて具体的に言える人はいるんだろうか? 好きだからで良いじゃないか。
「……」
(真面目に授業受けてるな)
小学生の頃、モテ始めた春樹の側にいる女の子たちに胸がモヤモヤして初めて自分の気持ちを自覚した。ああ、俺は恋愛的な意味で春樹のことが好きなんだと思うと、ストンと気持ちが腑に落ちて納得して数年。彼女が欲しいという気持ちは沸かないまま、たまに周囲から好きな人いないの? なんて言われているが、大丈夫と適当に答えている。だって、俺が欲しいのって彼女じゃなくて、彼氏だし。何て言うか……「そういうこと」を春樹にされたいと思ってる。
(好きな人の名前が言えたら、楽だろうけど)
言えるわけない。言えたら、こんなに長いこと片思いを拗らせてなんていない。チラリと前方の席の春樹を見た。俺のプリントを映したのを出しているのが、何となく嬉しい。
「じゃあ、次の答えを……春樹。分かるか?」
「はい。えっと……32?」
「正解だ。じゃあ次を……」
俺が指名されたわけじゃないのに、答えが合っていて良かったとホッとした。すると、見ていた背中がグルンと回る。まだ授業中だというのに、春樹が俺の方にピースしていた。馬鹿。前見ろ、前。先生にバレるだろうが。前を見ろとジェスチャーをすれば、分かったと春樹が前を向きなおした。
「こらー。春樹。葵のことが好きなのは分かるが、授業中は先生の話を聞いてくれな。春樹繋がりで、次を葵答えてくれ」
「えっ! 俺!?」
「そうだ。次の答えは何だ?」
「45です」
「正解」
あははっ! とクラス中に笑い声が漏れた。バレるぞじゃなくて、やっぱりバレていた。俺もつられて笑った。注意されてしまったけれど、春樹が些細なことでも俺に笑顔を向けてくれるのが、嬉しいが状況的に当てられて怒っているんだぞと、という風な表情をしてみせた。だって、そうすれば……。
「春樹が俺の方向くから、当てられただろ」
「悪かったって。ほら、正解したぞって嬉しくてさ。葵も正解で、俺とワンツーフィニッシュじゃん?」
「お前なぁ……」
授業が終われば、春樹がすぐに俺の傍にやって来るから。俺の肩に春樹の腕が回って、身体が密着する。俺の心臓はまたドキドキしていていた。
「葵、顔赤くない?」
「春樹がくっつくから、暑いんだよ」
「ヤダ! じゃあ、もっと暑くしてやる」
「ぎゃっ!」
ギュゥッ! と春樹の腕に力が籠り、更に身体が密着して可愛くない悲鳴が漏れた。
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