【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華

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16】思い出したら熱かった

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16】思い出したら熱かった

 「最近、雨降らなくなったね」

「本当~。傘ってちょっと荷物になっちゃうからからね」

そんな会話をクラスの女子たちがしているのが、耳に入った。
確かに。最近は雨が降らない。あの名前を知らない女子に折りたたみ傘をあげたから、俺の荷物に折りたたみ傘は無い。買い直すかと思いつつも、この通り。最近は天気が良い日が続いていて、傘の出番はない。

(確かに。最近天気は安定してるなぁ)

「よし、じゃあ帰ろうか」

「帰りにちょっと本屋に寄りたいなぁ」

「いいよ! 私も何か雑誌見たいな」

会話をしていた女子が二人。楽しそうに鞄とリュックを背負って、俺の前を通り過ぎていく。それもそうだ。もう放課後なのだから。俺が席についたままだから、ふと足を止めて声をかけられた。

「あれ、葵君。帰らないの?」

「俺も、帰りたいんだけどね」

「ああ……! 察し」

「また春樹君が、一緒に帰りたいから待っててって言われたんでしょ」

理由は言わずとも、不在の春樹に察した女子。

「正解。先に帰ったら春樹が煩そうだから、待っとくよ。有難う」

「ははっ。春樹君、葵君のこと大好きだもんね。じゃあ、またね」

「また明日」

「うん、また明日」

二人を見送り、教室には俺と春樹の荷物だけ。しん……と静かになった教室で、不意に後ろの席を見た。春樹の席。よく俺の方を見て笑う、春樹の顔を思い出した。

(いつもは、あんな風なのに)

釣られるように思い出すのは、つい先日のこと。咄嗟に引き寄せられた肩に籠った力が、知ってはいるが、思いの外強く。

『葵。あんま離れたら濡れるだろ』

引き寄せられ、密着した身体。耳に響く声と、表情を見れば良い顔がまっすぐに俺を見ていたこと。それから…………──。

『でもさ。俺だったら、あの行動一つで葵のこと好きになっちゃうね。そういえば、葵は好きな人と進展あった?』

(好きになってくれるのかよ)

好きになってくれるのなら、購買に傘を買いに行くのを止めていれば。俺の折りたたみ傘に入って帰っていたら、春樹。俺のこと好きになってくれたのか?

「…………何考えてるんだろ、俺」

今度こそ、告白をOKしてきたらと不安になったからかもしれない。前を振りむき直し、そっと春樹に掴まれた肩に触れる。肌寒かった雨の中、密着した身体が熱かったことを思い出した。

「あつっ……」

そのまま、ふて寝をするように前に置いている荷物を枕代わりに顔を伏せる。もうこのまま春樹が戻ってくるまで寝てしまおう。告白から、いつ戻るんだろうと思いつつ。

(俺だって、ずっと前から春樹が好きだよ)

心の中でしか、出来ない告白をした。

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