【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華

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15】折りたたみ傘の下

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15】折りたたみ傘の下

 「葵、もっとこっち寄れよ。濡れる」

「……ッ」

決して大きいとは言えない折り畳み傘の中。春樹と二人、身体を寄せ合う。肩が触れ合う距離まで近いのは、久しぶりな気がする。

ドキドキドキ。

(静まれ、俺の心臓)

自身の表情に反して、煩い心臓が脈を打つ。学校から出て、いつも通る道へとさしかかった頃。春樹が大きな溜息をついた。(しかし、本当に大きいな)
こんなに大きな溜息も、学校でつかず人気が無くなった頃に出すのだから春樹も優しいのだと思う。あの学校で話していたら、あの女子が気にしてしまうと出て来なかったし、話さなかったのだろう。

「はぁ~~~~。でもさぁ、葵さぁ~~! あんなの、恰好良すぎるだろ……!」

「……別に。恰好良いとか、そんなのないだろ。人として普通だ」

これは本心。普通に人助けをしただけだったし、恰好良いのは俺よりも春樹だ。たまたま俺が気づいたから行動しただけで、きっと俺と春樹が逆の立場だったら春樹があの女子に自分の傘を渡したはずだ。

「春樹が俺の立場だったら、春樹が傘を渡していただろう?」

「まぁ確かに」

「だから俺が別に恰好良いわけじゃないんだよ。大体、クラス1のモテ男に言われてもなぁ……」

「何、葵。照れてる?」

「うっさい」

グリグリと肩で小突かれた。互いの癖を知り過ぎているから、隠したいことが隠せない。唯一俺が隠せているのは、恋心だけ。

「俺ね、葵がそういうこと自然に出来るとこ凄いなって思う」

「……そういうこと、サラッと言える春樹も凄いだろ。そういうところだぞ、天然タラシ」

思わずジロリと春樹を見てしまった。あははっ、と屈託なく笑う。周囲は雨が降り続いているのに、太陽みたいに笑う春樹。

(ああ、好きだな)

ドキドキドキ。

春樹の笑顔が好きだ。全部好きだ。

「でもさ。俺だったら、あの行動一つで葵のこと好きになっちゃうね。そういえば、葵は好きな人と進展あった?」

「は?」

色々情報が多すぎて、素っ頓狂な声を出しながら離れた俺の肩を春樹がグイッと引き寄せた。

「葵。あんま離れたら濡れるだろ」

「だ…‥から、そういうところだぞ……!」

俺はこの行動一つで、またお前のこと好きになってるのに。

******
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