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9】今日は忘れずに確認した
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9】今日は忘れずに確認した
カタカタとまた今日も俺のキーボードを叩く音がする。それにまた、俺の定時上りヘ意欲はありまくりだ。今日こそは定時ギリギリの滑り込み電話は無しで頼むぞと思いつつ、仕事は真面目にこなす。(偉い)
チラリとまた時計を見れば、定時の10分前。まだ気持ちの余裕がある。だが、確実に早く仕事を終わらせようと、もう使わないものを静かに片づけ始めた。
(あと5分か……)
妙に緊張してドキドキしてくる。次はチラリと電話を見て、着信のライトは点灯していなかった。
「よし、いいぞ」
あと5分。このままで、電話も鳴らないままでいてくれ思う。不思議と、この5分が長く感じた。
(3……2……1……よし!)
思わず定時の時間になった瞬間、今日一番の速さで留守番に切り替えた。すると周囲が「今日の水野君、誰よりも留守番にするの早かったね」と笑っていた。俺も笑って返事しながら、席を立つ。
「あはは、たまには俺も留守番押したくなっちゃって」
「お先です」と続けながら、そのまま出入り口へと向かった。
「じゃあ、お先に失礼します」
「は~い」
「お疲れ様~」
俺がいなくなったあと。
田中さんを始め女性陣が「今日の水野君、何だかソワソワしていたね」「もしかして、デートとか?」「ええ~!?」という会話とともに。田中さんだけが「私は理由を知ってるけどね」とドヤ顔だったと、後日知った。
「よしよし、バッチリ定時。昨日より早く終わったぞ」
携帯の時間を見て、昨日より気持ちの余裕がある。心の中でガッツポーズを決めている。これならきっと、昨日より弁当はあるはずだと思いつつ、今日一番のミッションを思い出した。
「今日はお店の名前、ちゃんと確認するぞ……!」
良し!と今度こそ忘れない。見せて来たお店の前で、一度立ち止まり。「お弁当」以外の文字を探した。
「海野食堂……?」
このお店は海野食堂というらしい。
俺の苗字は水野だから、妙な親近感が湧いた。食堂なんだと思いながら、俺は店の扉を開ける。もしかしたら昨日のように先客がいるかもと不安になったが、ガラリと開けた先にいたのはイケメン一人だった。
(う゛っ、イケメンがいる……!)
並ぶ弁当よりも、視界の中に入ったのはイケメン。今日は奥に居なかったんだと思いつつ、互いに視線が合って俺よりも先にイケメン店員さんの口が動いた。
「あ!」
なんならちょっと、まだ2回しか訪れていない俺を覚えてくれているのが嬉しいと思ってしまった。
********
カタカタとまた今日も俺のキーボードを叩く音がする。それにまた、俺の定時上りヘ意欲はありまくりだ。今日こそは定時ギリギリの滑り込み電話は無しで頼むぞと思いつつ、仕事は真面目にこなす。(偉い)
チラリとまた時計を見れば、定時の10分前。まだ気持ちの余裕がある。だが、確実に早く仕事を終わらせようと、もう使わないものを静かに片づけ始めた。
(あと5分か……)
妙に緊張してドキドキしてくる。次はチラリと電話を見て、着信のライトは点灯していなかった。
「よし、いいぞ」
あと5分。このままで、電話も鳴らないままでいてくれ思う。不思議と、この5分が長く感じた。
(3……2……1……よし!)
思わず定時の時間になった瞬間、今日一番の速さで留守番に切り替えた。すると周囲が「今日の水野君、誰よりも留守番にするの早かったね」と笑っていた。俺も笑って返事しながら、席を立つ。
「あはは、たまには俺も留守番押したくなっちゃって」
「お先です」と続けながら、そのまま出入り口へと向かった。
「じゃあ、お先に失礼します」
「は~い」
「お疲れ様~」
俺がいなくなったあと。
田中さんを始め女性陣が「今日の水野君、何だかソワソワしていたね」「もしかして、デートとか?」「ええ~!?」という会話とともに。田中さんだけが「私は理由を知ってるけどね」とドヤ顔だったと、後日知った。
「よしよし、バッチリ定時。昨日より早く終わったぞ」
携帯の時間を見て、昨日より気持ちの余裕がある。心の中でガッツポーズを決めている。これならきっと、昨日より弁当はあるはずだと思いつつ、今日一番のミッションを思い出した。
「今日はお店の名前、ちゃんと確認するぞ……!」
良し!と今度こそ忘れない。見せて来たお店の前で、一度立ち止まり。「お弁当」以外の文字を探した。
「海野食堂……?」
このお店は海野食堂というらしい。
俺の苗字は水野だから、妙な親近感が湧いた。食堂なんだと思いながら、俺は店の扉を開ける。もしかしたら昨日のように先客がいるかもと不安になったが、ガラリと開けた先にいたのはイケメン一人だった。
(う゛っ、イケメンがいる……!)
並ぶ弁当よりも、視界の中に入ったのはイケメン。今日は奥に居なかったんだと思いつつ、互いに視線が合って俺よりも先にイケメン店員さんの口が動いた。
「あ!」
なんならちょっと、まだ2回しか訪れていない俺を覚えてくれているのが嬉しいと思ってしまった。
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