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10】今日は忘れずに確認した②
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10】今日は忘れずに確認した②
今日は誰よりも早く定時で仕事を切り上げ、向かう先は家ではなく気になる弁当屋さん。入る前に目的だった店の名前を確認し、扉を開けて中へと入った。そこにいたのは、先客ではなく、イケメンで。
「あ!」
なんならちょっと、まだ2回しか訪れていない俺を覚えてくれているのが嬉しいと思ってしまった。
「こ、こんばんは」
美味しそうな匂いに、イケメンの笑顔。凄い。弁当を食べたわけでもないのに、既に何だか復活している。前にテレビ番組で、インタビューを受けていた人が言っていた言葉を思い出した。
『イケメンは健康に良いんですよ。おかげで私の寿命も彼のおかげで伸びています』
有難う。どこかの人。君のインタビューの言葉、今俺も感じているよ。
(イケメンは健康に良いって、確かに本当だな)
「お客さん?」
「はは、ちょっとボーッとしちゃいました」
どうぞ? と案内され、一歩前進む。今日はハンバーグが無かった。売り切れてしまったのかもしれない。気持ち、昨日より残っている弁当の数も少ない。
「ハンバーグ、食べてくれましたか?」
「はい! レンコン、美味しかったです。自分じゃレンコンなんて買わないので……」
「ですよね。僕もですよ。お店とかしてなきゃ、そうそうレンコンは買わないです」
あはは、と砕けた様子のイケメンと、美味しかったと伝えられたことに安堵した。
「お店の名前、海野食堂って言うんですね」
「もしかして、今知りました?」
「実は……この前も、弁当のことしか考えていなくて。家に帰って確認するの忘れた! って今日はちゃんと確認してくるぞって息込んで来たんです」
「お客さん、正直な人なんですね」
「あの、俺。水野っていうんで、お店の名前にてるなって親近感感じちゃって」
「そうなんですか! 僕、海野なんで本当に親近感を感じちゃいますね。良かったら、これからもご贔屓にして頂ければ」
「海野さん……ってことは、店長さん!?」
「まぁ、一応……」
俺と年が近い感じがしていたので、社員さんかなとか勝手に思ってしまっていた。まさか店長とは……。海野食堂、よし。覚えたぞ。
「失礼じゃ無ければ、俺と年が近いのかなって思っていたので。店長って凄いですね」
「いや、そんなことは無いですよ。僕25なんですけど、水野さんはおいくつなんですか?」
「俺もに25です!」
「わっ! 一緒!」
俺の声が大きく。ハッとしたときには、幾分前のめりの雰囲気で話していた。
「あ、すみません」
「いえいえ。僕としても嬉しいですよ」
そんな時だ。カラカラと扉が開く音がする。
「海野さんが奥じゃなくて、店内にいる~!」
「こんばんは、海野さん」
「こんばんは」
次のお客さんがやって来て、イケメン。海野さんの名前を呼んだ。可愛らしい声で、女性が複数。いけない。海野さんからしたら、仕事中だ。再びハッとして、とりあえず近くにあった弁当を手に取った。
「これ、お願いします」
「いいんですか?」
「はい。800円ですよね。どうぞ」
手に取る際に、金額が見えていた。実は今日、丁度準備してあって、すぐに手渡して店を後にした。
「有難うございます」
「海野さ~ん」
「はい、少々お待ちを」
チラリと海野さんが俺の顔を見るような視線を感じたが、俺は視線を合わせなかった。それよりも、邪魔にならないように、急いで店を出ることを考えている。弁当を受け取ってしまえば、あとは振り返ること無く俺は急いで家に帰ったのだった。
(俺は、ただのお客さんなのに)
********
今日は誰よりも早く定時で仕事を切り上げ、向かう先は家ではなく気になる弁当屋さん。入る前に目的だった店の名前を確認し、扉を開けて中へと入った。そこにいたのは、先客ではなく、イケメンで。
「あ!」
なんならちょっと、まだ2回しか訪れていない俺を覚えてくれているのが嬉しいと思ってしまった。
「こ、こんばんは」
美味しそうな匂いに、イケメンの笑顔。凄い。弁当を食べたわけでもないのに、既に何だか復活している。前にテレビ番組で、インタビューを受けていた人が言っていた言葉を思い出した。
『イケメンは健康に良いんですよ。おかげで私の寿命も彼のおかげで伸びています』
有難う。どこかの人。君のインタビューの言葉、今俺も感じているよ。
(イケメンは健康に良いって、確かに本当だな)
「お客さん?」
「はは、ちょっとボーッとしちゃいました」
どうぞ? と案内され、一歩前進む。今日はハンバーグが無かった。売り切れてしまったのかもしれない。気持ち、昨日より残っている弁当の数も少ない。
「ハンバーグ、食べてくれましたか?」
「はい! レンコン、美味しかったです。自分じゃレンコンなんて買わないので……」
「ですよね。僕もですよ。お店とかしてなきゃ、そうそうレンコンは買わないです」
あはは、と砕けた様子のイケメンと、美味しかったと伝えられたことに安堵した。
「お店の名前、海野食堂って言うんですね」
「もしかして、今知りました?」
「実は……この前も、弁当のことしか考えていなくて。家に帰って確認するの忘れた! って今日はちゃんと確認してくるぞって息込んで来たんです」
「お客さん、正直な人なんですね」
「あの、俺。水野っていうんで、お店の名前にてるなって親近感感じちゃって」
「そうなんですか! 僕、海野なんで本当に親近感を感じちゃいますね。良かったら、これからもご贔屓にして頂ければ」
「海野さん……ってことは、店長さん!?」
「まぁ、一応……」
俺と年が近い感じがしていたので、社員さんかなとか勝手に思ってしまっていた。まさか店長とは……。海野食堂、よし。覚えたぞ。
「失礼じゃ無ければ、俺と年が近いのかなって思っていたので。店長って凄いですね」
「いや、そんなことは無いですよ。僕25なんですけど、水野さんはおいくつなんですか?」
「俺もに25です!」
「わっ! 一緒!」
俺の声が大きく。ハッとしたときには、幾分前のめりの雰囲気で話していた。
「あ、すみません」
「いえいえ。僕としても嬉しいですよ」
そんな時だ。カラカラと扉が開く音がする。
「海野さんが奥じゃなくて、店内にいる~!」
「こんばんは、海野さん」
「こんばんは」
次のお客さんがやって来て、イケメン。海野さんの名前を呼んだ。可愛らしい声で、女性が複数。いけない。海野さんからしたら、仕事中だ。再びハッとして、とりあえず近くにあった弁当を手に取った。
「これ、お願いします」
「いいんですか?」
「はい。800円ですよね。どうぞ」
手に取る際に、金額が見えていた。実は今日、丁度準備してあって、すぐに手渡して店を後にした。
「有難うございます」
「海野さ~ん」
「はい、少々お待ちを」
チラリと海野さんが俺の顔を見るような視線を感じたが、俺は視線を合わせなかった。それよりも、邪魔にならないように、急いで店を出ることを考えている。弁当を受け取ってしまえば、あとは振り返ること無く俺は急いで家に帰ったのだった。
(俺は、ただのお客さんなのに)
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