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21】先客がいなくなったあと、ふと。③
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21】先客がいなくなったあと、ふと。③
海野さんに、彼女はいないらしい。
なんなら、俺と同じで付き合ったことも無いらしい。俺と違うとすれば、告白されてモテていたこと。そりゃ、こんだけイケメンならな、とか。学生時代の俺なら、告白されたら多分好きとか分からなくても付き合うだけ付き合ってみると思う。(最低とか思わないで欲しい)
恋バナはこれで終わりかと思えば、海野さんが「ああ」と言葉を続けた。
「ああ、でも」
「でも?」
「今は、恋してるよ」
「え!?」
たった今、好きな気持ちが俺と同じで分からないって言ったじゃん! を込めた「え!?」が出た。恋してるんじゃん!!
「え、待って。それってつまり、海野さんの初恋なんじゃ……!」
「そういうことになるね」
また、あはは~と笑う海野さん。イケメンならではの余裕っぷりだろうか。
「海野さんみたいなイケメンが告白したら、絶対OKじゃん」
「さぁ。俺は実らせたいけど、それは分からないよ」
「何で?」
「こればっかりは、相手の気持ち次第だからね。俺だって、フラれるかもしれないし。現在進行形で片思い中なわけ」
「確かに……」
「まぁ、俺も実らせるために行動あるのみなんだけど」
正論だ。それから、せっかく彼女がいないと聞いたのに、好きな人がいると聞いた時。またどこか胸の奥がチクリとした。
(あれ……? 何でまたチクリと胸が痛んだんだ?)
「あ~あ、なんだよ。皆恋してるなぁ……」
「まぁ恋って、焦ってするようなものでも無いでしょ。俺も初めてで自分でもびっくりしてるし。水野さんは水野さんのままで良いと、俺は思うけどな」
「そういうところまで、イケメンかよ~!」
「あはは。水野さん、お腹の空き具合はどう?」
「……ちょっと空いたかも」
「なら少しあっさりな、豚のしょうが焼き弁当はどう? 野菜の玉ねぎも多めにいれてるから、食べやすいと思うよ。俺も今日コレ食べるつもり」
「しょうが焼きとか、絶対美味いやつじゃん。頂きます」
「毎度有難うございます。お会計800円です」
「1000円から。袋大丈夫です」
他愛のない話をしながら、目的の弁当をようやく選び終える。いつもの袋に弁当を入れ終われば、帰り際に海野さんが言った。
「俺、今日晩御飯食べる時は水野さんのこと思い出すね」
「ああ、うん」
またね、と手を振った海野さんに、また無難な返事しか出来なかった。
(帰り際に、あんなことサラッていうイケメン怖い……!)
******
いつもイイネほか有難うございます。
海野さんに、彼女はいないらしい。
なんなら、俺と同じで付き合ったことも無いらしい。俺と違うとすれば、告白されてモテていたこと。そりゃ、こんだけイケメンならな、とか。学生時代の俺なら、告白されたら多分好きとか分からなくても付き合うだけ付き合ってみると思う。(最低とか思わないで欲しい)
恋バナはこれで終わりかと思えば、海野さんが「ああ」と言葉を続けた。
「ああ、でも」
「でも?」
「今は、恋してるよ」
「え!?」
たった今、好きな気持ちが俺と同じで分からないって言ったじゃん! を込めた「え!?」が出た。恋してるんじゃん!!
「え、待って。それってつまり、海野さんの初恋なんじゃ……!」
「そういうことになるね」
また、あはは~と笑う海野さん。イケメンならではの余裕っぷりだろうか。
「海野さんみたいなイケメンが告白したら、絶対OKじゃん」
「さぁ。俺は実らせたいけど、それは分からないよ」
「何で?」
「こればっかりは、相手の気持ち次第だからね。俺だって、フラれるかもしれないし。現在進行形で片思い中なわけ」
「確かに……」
「まぁ、俺も実らせるために行動あるのみなんだけど」
正論だ。それから、せっかく彼女がいないと聞いたのに、好きな人がいると聞いた時。またどこか胸の奥がチクリとした。
(あれ……? 何でまたチクリと胸が痛んだんだ?)
「あ~あ、なんだよ。皆恋してるなぁ……」
「まぁ恋って、焦ってするようなものでも無いでしょ。俺も初めてで自分でもびっくりしてるし。水野さんは水野さんのままで良いと、俺は思うけどな」
「そういうところまで、イケメンかよ~!」
「あはは。水野さん、お腹の空き具合はどう?」
「……ちょっと空いたかも」
「なら少しあっさりな、豚のしょうが焼き弁当はどう? 野菜の玉ねぎも多めにいれてるから、食べやすいと思うよ。俺も今日コレ食べるつもり」
「しょうが焼きとか、絶対美味いやつじゃん。頂きます」
「毎度有難うございます。お会計800円です」
「1000円から。袋大丈夫です」
他愛のない話をしながら、目的の弁当をようやく選び終える。いつもの袋に弁当を入れ終われば、帰り際に海野さんが言った。
「俺、今日晩御飯食べる時は水野さんのこと思い出すね」
「ああ、うん」
またね、と手を振った海野さんに、また無難な返事しか出来なかった。
(帰り際に、あんなことサラッていうイケメン怖い……!)
******
いつもイイネほか有難うございます。
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