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10】撮影終わり
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10】撮影終わり
「お疲れ様です。今日の撮影は、全て終了です」
「お疲れ様でした」
パチパチと拍手ととおに、カメラマンさんがホクホクと嬉しそうな顔で俺の傍にやって来てくれた。手にしたカメラの画面を見せてくれる。
「僕的には今日一番はコレかな」
「どれですか?」
画面を一緒に覗き込めば、確かに。顔が良いの一言に尽きる吹雪の顔があった。
「これは……」
「良いよねぇ」
「はい……」
思わず口元を隠しながら感嘆の声を漏らせば、カメラマンさんが意外だったと言葉を続けた。
「吹雪君、前に撮影した時はずっとクールで恰好良い系だったのに、こんな表情も見せてくれるんだね。恋人がいるみたいにって依頼した通りだから、本当に好きな人が先にいるみたいだ」
「本当だ」
「高橋君の表情も、僕は好きだったけどね」
「もう昔のことですよ」
「えー……」
「あの」
「わっ……! 吹雪、お疲れ様」
「今日はお疲れ様でした。また宜しくお願いします」
驚く俺の隣で、カメラマンさんに礼儀正しく頭を下げた吹雪。
「勿論だとも!」
喜ぶカメラマンさんと、スタッフさんたちに挨拶されながら、俺たちは再び楽屋へと戻って行った。その道中だ。
「吹雪、今日の撮影凄く良かったよ」
「……」
「吹雪?」
スタッフの人たちも褒めてくれて、好印象だった。俺も今日の撮影が、どんな風になって雑誌に載るんだろうと楽しみになっている。もう既に早く雑誌を買いたいと思っているくらいだ。俺が嬉々として話すとなりで、吹雪は静かだった。
「夏希さん、俺のこと見てくれてました?」
「ああ、うん。そりゃあ……」
見てたよ。というか、知っているだろう? 一瞬俺の方を見てたよな? とは、続かなかった。
「ドキドキしました?……うっ!」
思わず吹雪の額を弱い力ながら、小突いたしまった。
「そういうこと、本当に俺以外に言うなよ?」
絶対に勘違いしてしまう人が出てしまうから。少し怒っている風を装ってみたが、怒っているように見えているだろうか。
「だから、俺は夏希さんにしか、こんなこと言いませんよ」
逆に捕まえるように掴まれた腕が、細い身体に対して意外と力が強くて驚いた。
(吹雪も、やっぱり男なんだな)
視線が吹雪に捕まれた腕を見れば、吹雪がすぐに気づいて「すみません」と手を離した。
「すみません……」
「大丈夫だって。俺、そんなにやわじゃないし。ほら、ここは通路だから早く控え室に戻るぞ」
しょげた様子の吹雪の頭を、ワシワシと撫でた。セットの乱れた髪が、どことなく幼く見える。綺麗だと思っていた白髪に触れれば、柔らかかった。
「夏希さん」
「おっと、悪い」
今度は俺が手を離した。吹雪の頬が赤い。
「なんだ。今度は吹雪がドキドキしたのか?」
何て笑っていえば、「そうですよ」と言われてしまった。
********
お気に入り・イイネ有難うございます
「お疲れ様です。今日の撮影は、全て終了です」
「お疲れ様でした」
パチパチと拍手ととおに、カメラマンさんがホクホクと嬉しそうな顔で俺の傍にやって来てくれた。手にしたカメラの画面を見せてくれる。
「僕的には今日一番はコレかな」
「どれですか?」
画面を一緒に覗き込めば、確かに。顔が良いの一言に尽きる吹雪の顔があった。
「これは……」
「良いよねぇ」
「はい……」
思わず口元を隠しながら感嘆の声を漏らせば、カメラマンさんが意外だったと言葉を続けた。
「吹雪君、前に撮影した時はずっとクールで恰好良い系だったのに、こんな表情も見せてくれるんだね。恋人がいるみたいにって依頼した通りだから、本当に好きな人が先にいるみたいだ」
「本当だ」
「高橋君の表情も、僕は好きだったけどね」
「もう昔のことですよ」
「えー……」
「あの」
「わっ……! 吹雪、お疲れ様」
「今日はお疲れ様でした。また宜しくお願いします」
驚く俺の隣で、カメラマンさんに礼儀正しく頭を下げた吹雪。
「勿論だとも!」
喜ぶカメラマンさんと、スタッフさんたちに挨拶されながら、俺たちは再び楽屋へと戻って行った。その道中だ。
「吹雪、今日の撮影凄く良かったよ」
「……」
「吹雪?」
スタッフの人たちも褒めてくれて、好印象だった。俺も今日の撮影が、どんな風になって雑誌に載るんだろうと楽しみになっている。もう既に早く雑誌を買いたいと思っているくらいだ。俺が嬉々として話すとなりで、吹雪は静かだった。
「夏希さん、俺のこと見てくれてました?」
「ああ、うん。そりゃあ……」
見てたよ。というか、知っているだろう? 一瞬俺の方を見てたよな? とは、続かなかった。
「ドキドキしました?……うっ!」
思わず吹雪の額を弱い力ながら、小突いたしまった。
「そういうこと、本当に俺以外に言うなよ?」
絶対に勘違いしてしまう人が出てしまうから。少し怒っている風を装ってみたが、怒っているように見えているだろうか。
「だから、俺は夏希さんにしか、こんなこと言いませんよ」
逆に捕まえるように掴まれた腕が、細い身体に対して意外と力が強くて驚いた。
(吹雪も、やっぱり男なんだな)
視線が吹雪に捕まれた腕を見れば、吹雪がすぐに気づいて「すみません」と手を離した。
「すみません……」
「大丈夫だって。俺、そんなにやわじゃないし。ほら、ここは通路だから早く控え室に戻るぞ」
しょげた様子の吹雪の頭を、ワシワシと撫でた。セットの乱れた髪が、どことなく幼く見える。綺麗だと思っていた白髪に触れれば、柔らかかった。
「夏希さん」
「おっと、悪い」
今度は俺が手を離した。吹雪の頬が赤い。
「なんだ。今度は吹雪がドキドキしたのか?」
何て笑っていえば、「そうですよ」と言われてしまった。
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