10 / 18
9】何で俺の方を見たんだよ……!
しおりを挟む
9】何で俺の方を見たんだよ……!
あまり早く俺一人スタジオ入りしても、他の人が気を遣ってしまうだろうと、吹雪の控え室で打ち合わせと、談笑をしていると時間は案外と早く過ぎた。先に衣装に着替えて、どうですか? と聞かれた時には「似合っている」以外の言葉が無かった。俺に似合っていると言われ、また嬉しそう顔をしたからドキッとしてしまった。(しっかりしろ、俺)
そうこうしているうちに、ちょうど良い頃合い。スタッフの方が来る前に、スタジオへ向かっても良いだろうと、二人で控え室を後にした。
「皆さん、今日は宜しくお願い致します」
「おはようございます、宜しくお願いします」
「吹雪さん、入ります」
扉を開いて、いつものように挨拶をして入る。吹雪も同じく、挨拶をしながらスタジオへ。物腰は柔らかく、意外とちゃんと挨拶をしていて俺の中で吹雪の好感度が上がった。(別に低かったわけじゃないけど!)
早速カメラさんが、吹雪の方へ。俺も何度も顔合わせをしたことがある、カメラマンさんだった。
「え! もしかして、高橋君が吹雪君の専属マネージャーになったのかい!?」
「はい。吹雪もですが、うちの子と現場で顔を合わせることがありましたら、また宜しくお願い致します」
「あはは、しっかりしてるなぁ。でもなぁ……やっぱり高橋君も、また出来ると俺は思うんだよ」
うんうん、と吹雪を置いて話し出した言葉に、思わず「それは、内緒で……!」としーっとジェスチャーした。
「……」
「どうした? 吹雪」
「何でもありません」
「さぁ、今日の主役は吹雪なので、宜しくお願いしますね!」
俺は話を切り替えるように、カメラマンさんに吹雪をアピールし、そっと端へと避けようとしたのだが……。
「夏希さん」
「?」
「俺のこと、見てて下さいね」
「ふ~! 吹雪君、やる気十分だねぇ」
「では、撮影を始めたいと思います」
また何てことを言うんだと思ったが、カメラマンさんの声に色々かき消されて助かった。
「では、デートの設定での撮影になります。吹雪さん、視線をお願いします」
カシャッ!
照明とセットの前に立った吹雪。俺も高い方だか、同じく高い身長にスラリと伸びた手足は、洋服を何でも着こなしてしまう。季節が幾分早い撮影のためか薄着だったが、スタジオは暖かく過ごしやすかった。
カシャッ、カシャッ、カシャッ。
「良いね、吹雪くん」
カメラマンさんからの高評価に、思わず俺も嬉しくなる。
「恋人が此方にいると思って、今度は微笑んで貰えるかな?」
「分かりました」
(え?)
カメラを下ろしたカメラマンさんと、ポーズを変えた吹雪。カメラを構える前に一度俺の方を見て、ふっ……と笑った。
(え、何だ。今の)
(何で俺の方を見たんだよ……!)
全くもって、この新人・吹雪は分からないことが多い。変にドキドキする俺の気なんか知らないんだろう。
「吹雪君、その表情! 凄く良いよ!」
カシャ、カシャ、カシャ。
カメラマンさんだけは、一層盛り上がりカメラのシャッターを切る音が途絶えなかった。
********
お気に入り・イイネ有難うございます
あまり早く俺一人スタジオ入りしても、他の人が気を遣ってしまうだろうと、吹雪の控え室で打ち合わせと、談笑をしていると時間は案外と早く過ぎた。先に衣装に着替えて、どうですか? と聞かれた時には「似合っている」以外の言葉が無かった。俺に似合っていると言われ、また嬉しそう顔をしたからドキッとしてしまった。(しっかりしろ、俺)
そうこうしているうちに、ちょうど良い頃合い。スタッフの方が来る前に、スタジオへ向かっても良いだろうと、二人で控え室を後にした。
「皆さん、今日は宜しくお願い致します」
「おはようございます、宜しくお願いします」
「吹雪さん、入ります」
扉を開いて、いつものように挨拶をして入る。吹雪も同じく、挨拶をしながらスタジオへ。物腰は柔らかく、意外とちゃんと挨拶をしていて俺の中で吹雪の好感度が上がった。(別に低かったわけじゃないけど!)
早速カメラさんが、吹雪の方へ。俺も何度も顔合わせをしたことがある、カメラマンさんだった。
「え! もしかして、高橋君が吹雪君の専属マネージャーになったのかい!?」
「はい。吹雪もですが、うちの子と現場で顔を合わせることがありましたら、また宜しくお願い致します」
「あはは、しっかりしてるなぁ。でもなぁ……やっぱり高橋君も、また出来ると俺は思うんだよ」
うんうん、と吹雪を置いて話し出した言葉に、思わず「それは、内緒で……!」としーっとジェスチャーした。
「……」
「どうした? 吹雪」
「何でもありません」
「さぁ、今日の主役は吹雪なので、宜しくお願いしますね!」
俺は話を切り替えるように、カメラマンさんに吹雪をアピールし、そっと端へと避けようとしたのだが……。
「夏希さん」
「?」
「俺のこと、見てて下さいね」
「ふ~! 吹雪君、やる気十分だねぇ」
「では、撮影を始めたいと思います」
また何てことを言うんだと思ったが、カメラマンさんの声に色々かき消されて助かった。
「では、デートの設定での撮影になります。吹雪さん、視線をお願いします」
カシャッ!
照明とセットの前に立った吹雪。俺も高い方だか、同じく高い身長にスラリと伸びた手足は、洋服を何でも着こなしてしまう。季節が幾分早い撮影のためか薄着だったが、スタジオは暖かく過ごしやすかった。
カシャッ、カシャッ、カシャッ。
「良いね、吹雪くん」
カメラマンさんからの高評価に、思わず俺も嬉しくなる。
「恋人が此方にいると思って、今度は微笑んで貰えるかな?」
「分かりました」
(え?)
カメラを下ろしたカメラマンさんと、ポーズを変えた吹雪。カメラを構える前に一度俺の方を見て、ふっ……と笑った。
(え、何だ。今の)
(何で俺の方を見たんだよ……!)
全くもって、この新人・吹雪は分からないことが多い。変にドキドキする俺の気なんか知らないんだろう。
「吹雪君、その表情! 凄く良いよ!」
カシャ、カシャ、カシャ。
カメラマンさんだけは、一層盛り上がりカメラのシャッターを切る音が途絶えなかった。
********
お気に入り・イイネ有難うございます
34
あなたにおすすめの小説
アイドルですがピュアな恋をしています。
雪 いつき
BL
人気アイドルユニットに所属する見た目はクールな隼音(しゅん)は、たまたま入ったケーキ屋のパティシエ、花楓(かえで)に恋をしてしまった。
気のせいかも、と通い続けること数ヶ月。やはりこれは恋だった。
見た目はクール、中身はフレンドリーな隼音は、持ち前の緩さで花楓との距離を縮めていく。じわりじわりと周囲を巻き込みながら。
二十歳イケメンアイドル×年上パティシエのピュアな恋のお話。
魔法学校の城に囚われている想い人♡を救い出して結婚したい天才有能美形魔術師(強火執着)の話
ぱふぇ
BL
名門魔法学校を首席で卒業し、若くして国家機関のエースに上り詰めた天才魔術師パドリグ・ウインズロー(26歳)。顔よし、頭脳よし、キャリアよし! さぞかしおモテになるんでしょう? ええ、モテますとも。でも問題がある。十年越しの想い人に、いまだに振り向いてもらえないのだ。そんな片思い相手は学生時代の恩師・ハウベオル先生(48歳屈強男性)。無愛想で不器用、そしてある事情から、魔法学校の城から一歩も出られない身の上。先生を外の世界に連れ出すまで、全力求婚は止まらない!
26歳魔術師(元生徒)×48歳魔術師(元教師)
【短編】初対面の推しになぜか好意を向けられています
大河
BL
夜間学校に通いながらコンビニバイトをしている黒澤悠人には、楽しみにしていることがある。それは、たまにバイト先のコンビニに買い物に来る人気アイドル俳優・天野玲央を密かに眺めることだった。
冴えない夜間学生と人気アイドル俳優。住む世界の違う二人の恋愛模様を描いた全8話の短編小説です。箸休めにどうぞ。
※「BLove」さんの第1回BLove小説・漫画コンテストに応募中の作品です
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口で平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。
【完結】君の穿ったインソムニア
古都まとい
BL
建設会社の事務として働く佐野純平(さの じゅんぺい)は、上司のパワハラによって眠れない日々を過ごしていた。後輩の勧めで病院を受診した純平は不眠症の診断を受け、処方された薬を受け取りに薬局を訪れる。
純平が訪れた薬局には担当薬剤師制度があり、純平の担当薬剤師となったのは水瀬隼人(みなせ はやと)という茶髪の明るい青年だった。
「佐野さんの全部、俺が支えてあげますよ?」
陽キャ薬剤師×不眠症会社員の社会人BL。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
不器用に惹かれる
タッター
BL
月影暖季は人見知りだ。そのせいで高校に入って二年続けて友達作りに失敗した。
といってもまだ二年生になって一ヶ月しか経っていないが、悲観が止まらない。
それは一年まともに誰とも喋らなかったせいで人見知りが悪化したから。また、一年の時に起こったある出来事がダメ押しとなって見事にこじらせたから。
怖い。それでも友達が欲しい……。
どうするどうすると焦っていれば、なぜか苦手な男が声をかけてくるようになった。
文武両道にいつも微笑みを浮かべていて、物腰も声色も優しい見た目も爽やかイケメンな王子様みたいな男、夜宮。クラスは別だ。
一年生の頃、同じクラスだった時にはほとんど喋らず、あの日以降は一言も喋ったことがなかったのにどうして急に二年になってお昼を誘ってくるようになったのか。
それだけじゃない。月影君月影君と月影攻撃が止まない。
にこにことした笑顔になんとか愛想笑いを返し続けるも、どこか夜宮の様子がおかしいことに気づいていく。
そうして夜宮を知れば知るほどーー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる