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1】それは言えぬ恋心
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1】それは言えぬ恋心
俺の名前はトーマ。
この平和な国で、平和を守るための仕事をしている。何を隠そう、騎士団員の一員だ。どうだ? 恰好良いだろう? と、誰かに向けてかのアピールを一つ。
「まぁ……騎士団員っていったところで、俺はまだまだ経験不足なんだけど……」
ガキの頃、街中を凱旋している騎士団員のパレードを見た時。俺は騎士団に入団したいと思った。勿論、この国を守りたい気持ちもある。それと同じくらいある気持ちは、「ある人」への特別な感情。
「お、何だトーマ。まだまだ自分がひよっこだって思ってるのか~?」
ガハハッ! と俺の隣に座っていた親父が、肩を叩いて来た。
俺がこんなに真剣に考えているっていうのに……。そんなことを思っても仕方がないか。場所は俺の家ではなく、見知った顔と見知りばかりの酒場。おまけに鍛えられた男ばかりで、むさ苦しいときている。それも仕方がないことか。今だって。店にいる多くの客は騎士団員ばかり。自慢じゃないが、俺も騎士団員だ。酒場を出て町に出れば、それなりにモテる。
「ひよっこ」と言われる通り。俺は、この騎士団員の中じゃ、まだまだ「ひよっこ」。
酒場にいる連中は、俺よりも年上の親父ばかり。(親父といっても、まだ十分に若いが)
腕っぷしだって、俺が腕相撲で負けることだってザラだ。俺と年が近い団員もいるが、やたらと親父たちは、俺に絡んでくる。可愛がられているのは良いことだが、親父たちの可愛がりは、俺を揶揄うことばかりだ。今だってそう。
「うるせぇ! 俺だって、毎日訓練してるんだぞ!」
「見てみろ、この筋肉!」というように、叩かれた方から親父の手を離し。服を捲って腕を見せつけるようにしてやれば、別の席に座っていた親父が同じく酔いながら。機嫌よく笑いながら言った。
「トーマよぉ~、その勢いをアラン様の前で出してみりゃあ、少しはアラン様もお前さんに構ってくれるんじゃないか?」
この場にいない人物の名前に、ドキッとしながら俺は口を尖らせた。
「う゛っ…、うるさい! 何でアラン様の名前が出て来るんだよ。俺はアラン様に構って欲しいんじゃねぇよ!」
はい、嘘。
というのは、俺自身も、それから、酒場にいる全員。酔っている連中すら分かる事だった。違うとすれば、構って貰えるにしても、理由は別の……────。
(俺だってアラン様に構って欲しいが、それ以上のワケがあるんだよ!)
アラン様。
この国で、知らぬ者は生まれたばかりの赤ん坊くらいだろう。以前の騎士団長様も聡明で偉大な方だったが、年若くしてその方の次を継いだ人。誰よりも頭も良くて、綺麗な人で……────俺の初恋の人。(過去形じゃなく、現在進行形。絶対過去にしないんだからな)
この場にいる連中は、俺がひよっこであり、アラン様の忠犬としか思っていないだろうが俺は違う。忠犬どころか番犬。もし夢が叶うなら、アラン様の「恋人」に……なんて思っているわけで。だが、アラン様に「好きです」なんて言えるはずもなく。
「あー゛! 畜生! 親父、俺にも酒をくれ!」
酔わずにやっていられるかと、現実逃避するように酒に溺れようとしてしまった。
だって仕方ないだろう? 恋には誰だって臆病になるだろうが、俺の初恋の悩みは……。
(アラン様は、同じ男なんだから)
異性だったら、まだ頑張れば告白出来ただろう。だが相手は、この国の騎士団長で同じ男。そう簡単に告白なんて、夢のまた夢なのだ。
**********ここまで投稿した20230304
健全の短編の予定です。
別の完結「くっコロされたい騎士団長様」の別キャラメインです。
Rになる内容の場合は、その話のみRに変更可能ならば致します。
【宣伝】Pixivに久しぶり二次投稿しました。(自己満足の支部小説、まさかの私1件でしたが…)
俺の名前はトーマ。
この平和な国で、平和を守るための仕事をしている。何を隠そう、騎士団員の一員だ。どうだ? 恰好良いだろう? と、誰かに向けてかのアピールを一つ。
「まぁ……騎士団員っていったところで、俺はまだまだ経験不足なんだけど……」
ガキの頃、街中を凱旋している騎士団員のパレードを見た時。俺は騎士団に入団したいと思った。勿論、この国を守りたい気持ちもある。それと同じくらいある気持ちは、「ある人」への特別な感情。
「お、何だトーマ。まだまだ自分がひよっこだって思ってるのか~?」
ガハハッ! と俺の隣に座っていた親父が、肩を叩いて来た。
俺がこんなに真剣に考えているっていうのに……。そんなことを思っても仕方がないか。場所は俺の家ではなく、見知った顔と見知りばかりの酒場。おまけに鍛えられた男ばかりで、むさ苦しいときている。それも仕方がないことか。今だって。店にいる多くの客は騎士団員ばかり。自慢じゃないが、俺も騎士団員だ。酒場を出て町に出れば、それなりにモテる。
「ひよっこ」と言われる通り。俺は、この騎士団員の中じゃ、まだまだ「ひよっこ」。
酒場にいる連中は、俺よりも年上の親父ばかり。(親父といっても、まだ十分に若いが)
腕っぷしだって、俺が腕相撲で負けることだってザラだ。俺と年が近い団員もいるが、やたらと親父たちは、俺に絡んでくる。可愛がられているのは良いことだが、親父たちの可愛がりは、俺を揶揄うことばかりだ。今だってそう。
「うるせぇ! 俺だって、毎日訓練してるんだぞ!」
「見てみろ、この筋肉!」というように、叩かれた方から親父の手を離し。服を捲って腕を見せつけるようにしてやれば、別の席に座っていた親父が同じく酔いながら。機嫌よく笑いながら言った。
「トーマよぉ~、その勢いをアラン様の前で出してみりゃあ、少しはアラン様もお前さんに構ってくれるんじゃないか?」
この場にいない人物の名前に、ドキッとしながら俺は口を尖らせた。
「う゛っ…、うるさい! 何でアラン様の名前が出て来るんだよ。俺はアラン様に構って欲しいんじゃねぇよ!」
はい、嘘。
というのは、俺自身も、それから、酒場にいる全員。酔っている連中すら分かる事だった。違うとすれば、構って貰えるにしても、理由は別の……────。
(俺だってアラン様に構って欲しいが、それ以上のワケがあるんだよ!)
アラン様。
この国で、知らぬ者は生まれたばかりの赤ん坊くらいだろう。以前の騎士団長様も聡明で偉大な方だったが、年若くしてその方の次を継いだ人。誰よりも頭も良くて、綺麗な人で……────俺の初恋の人。(過去形じゃなく、現在進行形。絶対過去にしないんだからな)
この場にいる連中は、俺がひよっこであり、アラン様の忠犬としか思っていないだろうが俺は違う。忠犬どころか番犬。もし夢が叶うなら、アラン様の「恋人」に……なんて思っているわけで。だが、アラン様に「好きです」なんて言えるはずもなく。
「あー゛! 畜生! 親父、俺にも酒をくれ!」
酔わずにやっていられるかと、現実逃避するように酒に溺れようとしてしまった。
だって仕方ないだろう? 恋には誰だって臆病になるだろうが、俺の初恋の悩みは……。
(アラン様は、同じ男なんだから)
異性だったら、まだ頑張れば告白出来ただろう。だが相手は、この国の騎士団長で同じ男。そう簡単に告白なんて、夢のまた夢なのだ。
**********ここまで投稿した20230304
健全の短編の予定です。
別の完結「くっコロされたい騎士団長様」の別キャラメインです。
Rになる内容の場合は、その話のみRに変更可能ならば致します。
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