転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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第五章 懐かしい友との再会

第十二話 魔道具店に行きたい!! (上)

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 ルーシェは、リヨンネから貰ったそのカタログをとても大切にしていた。
 箱の中に入れ、ほら穴の巣の中にある棚に置いている。巣にやってくると時々それを取り出してはジッと眺めている。
 アルバート王子は、ルーシェがリヨンネからわざわざカタログを貰うほど、そんなに生活魔道具が好きだとは思ってもみなかった。
 だから王子は、ルーシェに「どの魔道具が欲しいんだ?」と尋ねる。
 可愛いルーシェが望むなら、何でもその望みを叶えてやりたいと思っている王子である。
 しかし、ルーシェは「……今は見ているだけで楽しいんだ」と答え、魔道具の何が欲しいのか教えてくれなかった。
 そして生活魔道具のカタログの表紙を熱心に見つめ、手で触っているのだ。

 最近、ルーシェは物思いに耽る様子がよく見られた。
 ぶつぶつと小声で独り言を言っている。

「これ……絶対校章だよな。やっぱり、この世界に俺と同じようにいるのかな」

 そうしたおかしな様子に、アルバート王子が「どうしたのか」と尋ねても、ルーシェは理由を話すことはなかった。
 彼は彼で、悶々とした気持ちでこう考えていたのだ。

(あああああああああああああああ、このカタログを作った魔道具の店に行きたい!! 行って、このカタログのマークを作った奴に会いたい)

(もしこれが学校の校章なら、俺と同じ高校から異世界転生しているということになる。そいつは一体、誰なんだ!!)

 紫竜は、この異世界に転生して八年目を迎えようとしていた。
 九歳のアルバート王子の前で卵を割った時が、異世界転生人生のはじめだったからだ。
 他の転生者も同時に転生していたら、同じ八歳ということになるだろう。
 あの時、トラックは、ほぼ同時に高校の生徒達を跳ね飛ばしていたからだ。

(トラックに跳ね飛ばされた時、歩道には七人、八人の生徒達がいた)
 
 ルーシェは顎に手をやって考え込む。

(俺の隣には、友親ともちかがいた)

 三橋友親は、ルーシェの前世である沢谷雪也の親友だった。
 彼とは幼稚園の頃からの仲だった。
 ルーシェが竜に転生した後、自分と同じようにトラックに跳ね飛ばされた生徒達はどうなったのだろうかと考えたこともあった。
 自分は人間ではない竜に転生したのだ。同じように、人間ではない生き物に転生している可能性も大いにあるだろうと思っていた。
 そう思うと、この広い異世界で、再び巡り合うことなど到底出来ないだろうと早々に諦めていた。そしてアルバート王子とのキャッキャウフフの楽しい生活の中で、過去の生のことを忘れていたのだ。

(俺が竜に転生したように、一緒に死んだ奴だって、馬や犬、牛や熊、猫や虫にだって転生する可能性があったんだ。そんなのになっていたら、転生していても、見つけ出すこともできやしない)

 でも、このカタログを作った奴は人間に転生しているのだろう。馬や犬にカタログは作れないからだ。

(……会いたい)

 そう、そいつに無性に会いたかった。
 校章を店のマークにしているんだ。同じ高校の奴に違いない。
 そしてわざわざそれをカタログの表紙に入れるということは、そいつは。

(そいつは転生者を探している。探して、会いたいと思っているからわざわざ表紙に入れて目立つようにしたんだ)

(あああああああああ、誰が転生したのか気になる。気になって仕方ねー。もう店まで行って、会いにいきたい。飛んで会いにいったらダメかな)


 リヨンネは、その魔道具店は西南地域にあると話していた。
 カタログの店は、カルフィー魔道具店という名前だった。
 奥付を見ると、店の住所も載っている。

 ルーシェは立ち上がると、また棚の中をガサガサと探ってアルバート王子に尋ねた。

「王子。地図はどこ? どこにあるの?」

「棚の中に入っているだろう」

 アルバート王子は立ち上がって、棚の上から地図を取り出した。
 頂戴というように手を差し出すルーシェに、アルバート王子は地図を渡さずにこう言った。

「ルー、お前は最近どうしたんだ。何故、そんなに落ち着かないのだ」

「落ち着いているよ。王子、地図を頂戴」

「地図をどうするんだ」

「広げて見るんだ。この魔道具店の場所を知りたい」

 ルーシェは真っ黒い大きな瞳で王子の顔をじっと見つめる。驚くほど整った綺麗な顔立ちで、大きなその黒目がちの瞳にじっと見つめられると、王子は彼が愛おしくてたまらなくなった。
 地図を渡さずに、ルーシェの顎を持ち、身をかがめて口付けようとする王子の胸をルーシェは押した。

「チューはしちゃだめだ。チューはだめ」

「どうしてだ」

 抱きしめようとするその王子の腕から逃れようとジタバタとするルーシェ。

「私とキスするのが嫌なのか」

「…………嫌じゃない。好きだ」

「じゃあ、いいだろう」

「…………」

 好きだけど、好きだけど、キスだけで終わらなくなる。
 絶対に終わらなくなる。
 いつもそうなんだ。
 王子のことが大好きだし、愛しているし、王子にチューされるのも大好きだ。抱っこされるのもエッチするのも大好きだ!!!!

 二人の巣は、まさしく“愛の巣”状態で、アルバート王子と紫竜はこの巣に来るとついつい寝台に雪崩こむことがほとんどであった。
 若い男と若い竜であるからして、当然のことだった。

 そして今も、自分を覗き込むハンサムなアルバート王子の顔を見ているだけで、もうたまらない。
 また口づけようと近づいてくる彫りの深い顔。

(もう、大好きだから困るんだ!!!!)

 王子の唇が、ルーシェの唇に上から覆いかぶさる。その大きな手が、ルーシェのシャツの裾から中に入り、胸の淡い突起に優しく触れ出す。揉むように摘ままれると、たちまちルーシェは熱く息を吐いて甘く声を漏らし始めた。

「あ……ああん」

 もうこうなってしまったらダメだった。
 ルーシェは地図を渡してもらうことも忘れ、王子の背中に手を回して抱き着き、王子は王子でまた、ルーシェの後頭部を手で押さえて貪るように口づける。互いの服を脱ぎ捨てると、床の上に抱き合ったまま転がる。その身体が上になったり下になったりと激しい状況に、もうルーシェは気になる転生者のことも頭の中から消えて、どこか遠くへ追いやられてしまった。

(これだからダメなんだ)

 とルーシェは思いながらも、愛し合うことが止まらない二人だった。
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