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27.確信
しおりを挟む廊下で一息ついていると、鳴海先輩が現れた。
「お疲れさま、凛音」
「鳴海先輩!」
「大盛況だな。寮長として誇らしいよ」
「ありがとうございます」
「でも、疲れてないか?」
鳴海先輩の優しい声に、ほっとした。
「少し疲れましたけど、みんなが喜んでくれるので嬉しいです」
「そうか……」
鳴海先輩の表情が、少し複雑になった。
「凛音」
「はい」
「今度、時間がある時に話をしないか?」
「話?」
「君について、伝えたいことがあるんだ」
鳴海先輩の真剣な表情に、胸がどきんとした。
午後4時、学園祭が終了した。
「お疲れさまでした!」
クラス全体で挨拶すると、大きな拍手が起こった。
「大成功だったね」
「凛音のおかげだ」
「本当にありがとう」
クラスメイトたちの感謝の言葉に、胸が熱くなった。
片付けを終えて、メイド服から制服に着替える。鏡を見ると、いつもの自分に戻っていた。でも、なんだか特別な一日を過ごした実感があった。
教室を出ると、夏目くんが待っていた。
「お疲れ」
「夏目くん、ありがとう。今日は本当に助かった」
「……別に」
でも、夏目くんの表情は満足そうだった。
「凛音」
振り返ると、圭人先輩が立っていた。
「お疲れさまでした。約束の件ですが……」
「あ、はい」
「今からお時間をいただけますか?」
圭人先輩の真剣な表情に、胸がどきどきした。
夏目くんの表情が、一瞬曇った。
「行ってきます」
夏目くんに声をかけて、圭人先輩と一緒に歩き始めた。
「どちらに?」
「静かに話せる場所に」
圭人先輩が案内してくれたのは、学園の中庭だった。夕日が美しく、とても静かな場所だった。
「凛音くん」
「はい」
「今日、改めて確信しました」
「確信?」
「私は、あなたを愛しています」
圭人先輩の告白に、心臓が跳ね上がった。
「以前もお伝えしましたが、今日のあなたを見て、その気持ちがより一層強くなりました」
「圭人先輩……」
「お返事を急がせるつもりはありません。でも、私の気持ちを知っていてください」
圭人先輩の瞳が、真剣に見つめてくる。
「私は、あなたと共に歩みたいのです」
夕日に照らされた圭人先輩の横顔が、とても美しかった。
でも、ぼくの心は複雑だった。
圭人先輩の想い。夏目くんの気持ち。東雲先輩の愛情。陽翔の昔からの想い。蒼真兄の保護欲。みんなの気持ち。
どうすれば、みんなを傷つけずに済むのだろう。
「お返事は……」
「今すぐでなくて構いません。ただ、私の気持ちを受け取ってください」
圭人先輩が優しく微笑んだ。
この先、どんな日々が待っているのだろう。
そんなことを考えながら、夕暮れの中を歩いていた。
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