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【高校編】分岐・山ノ内瑛
【side???】
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同じ部活の同級生、山ノ内瑛が設楽先輩を好きだってことを、オレは中学の時からたまたま知っていた。
そんなオレでも、山ノ内の発言は結構驚いたーー「設楽先輩に構ってほしいから」。あ、それ、言っちゃうんだ……みたいな。
講堂の壇上にいた設楽先輩は、目を白黒させていた。
それから、そおっと(みんなしてたと思う)鹿王院先輩のほうを伺う。
設楽先輩の許婚、噂では尻に敷かれてるだのなんだの、な。
(あれ?)
ふつー、だった。困ってる顔も怒ってる顔もしてなかった。ただ、少し苦笑いしてた。
(いいのかな)
許婚、目の前で告白(もどき)されてますよー?
余裕の表情とも、また違った。
……や、それこそ、違うのか? オレは山ノ内が設楽先輩好きだって知ってるからあれを「告白」だと思うけど、知らない人からしたらそうでもないのか?
「なぁ」
ふ、と隣のやつに声を掛けられた。
「山ノ内、まさか設楽先輩のこと好きなのか?」
「だよね」
やっぱりそうとしか取れないよなぁ。
謎は教室に帰ってから解けた。
「噂だぞ、ほんとーに秘密なんだけどな」
ヒソヒソと耳元で話される。話してるのは幼稚園から青百合に通ってるヤツで、高校からはオレと同じ特進クラス。
そいつが、どうやら青百合組から噂を仕入れてきたらしかった。
「うん」
「鹿王院さんと設楽さん、許婚……っていうか、婚約、なくなってるらしい」
「……マジ?」
だとしたら、山ノ内チャンスなんですけど!?
「うん。高校卒業したら正式に発表するらしいんだけど」
「なんで秘密なの?」
いまどき許婚がいること自体珍しいんだから、まぁなくなったらなくなったで堂々としてりゃいーんじゃないだろうか。
「なんか家のゴタゴタ? らしいぜ~」
「ゴタゴタ?」
「落ち着くまでどうの」
「へぇ」
華麗なる一族、ってのも大変なんだなぁ、とオレはぼけーっと思った。それで鹿王院先輩は落ち着いてたのか?
設楽先輩は目を白黒させたあと顔を赤くしたり青くしたりと忙しそうだったけれど……。あれはどういう反応なんだろうか?
それからしばらくして、選挙結果が出た。
「おお、設楽先輩当選」
「一部の根強いファンからの投票が大きかったらしいぜ」
「根強いファンって」
オレは少し笑って答えた。
「アイドルのファン投票じゃないんだから」
なんだその言い方、と思うけれど、とにかく「鉄の女」「氷の女王」設楽華先輩が来年の7月までは風紀委員長だ。
「ところでさ」
「ん?」
「鹿王院先輩、立候補なんかしてなかったよな?」
生徒会長のところにあるのは、立候補なんかしてなかった「鹿王院樹」の文字。
「ここの学校、立候補してなくても投票できんだよ」
「なにそれ」
「でも通常、立候補してなきゃ票は入んないらしいから」
そいつは「鹿王院樹」の文字を見つめた。
「規格外なんだろーなぁ」
そのあとの生徒会総会、壇上に立つ鹿王院先輩と設楽先輩はなんだかお似合いな気がしてオレは尻のすわりが悪かった。
部活で山ノ内に会う。飄々として明るくて、いつも通り。
「山ノ内さあ」
「ん? 何」
「こないだの、あれ」
「あれってなんなん」
「……設楽先輩への告白?」
告白、で山ノ内は苦笑いした。
「やー、あれなぁ。ついなぁ」
「なんか返事あったの」
「返事いうか」
うーん、と山ノ内は困ったように笑う。その笑い方さえ整ってて、オレは少し羨ましくなった。
「フラれた?」
「フラれてへんわ」
む、とした顔で山ノ内は言う。
「注意しづらくなるからやめて言われた」
「髪?」
ん、と山ノ内は頷く。
「せやけど黒染めしたらコレで構ってもらえへんやーん?」
「お前なぁ、子供みたいなことを」
「ガキやもーん」
山ノ内はすねたように笑うけど、まぁそれも設楽先輩への一途な恋心ゆえってことでいいんだろうか。
そんな会話をしてしばらくしてーー学園は学園祭に突入した。
あのセレブ然としたあのお祭りで、あんな騒動が起きるなんて、この時は思ってもいなかったのだった。
そんなオレでも、山ノ内の発言は結構驚いたーー「設楽先輩に構ってほしいから」。あ、それ、言っちゃうんだ……みたいな。
講堂の壇上にいた設楽先輩は、目を白黒させていた。
それから、そおっと(みんなしてたと思う)鹿王院先輩のほうを伺う。
設楽先輩の許婚、噂では尻に敷かれてるだのなんだの、な。
(あれ?)
ふつー、だった。困ってる顔も怒ってる顔もしてなかった。ただ、少し苦笑いしてた。
(いいのかな)
許婚、目の前で告白(もどき)されてますよー?
余裕の表情とも、また違った。
……や、それこそ、違うのか? オレは山ノ内が設楽先輩好きだって知ってるからあれを「告白」だと思うけど、知らない人からしたらそうでもないのか?
「なぁ」
ふ、と隣のやつに声を掛けられた。
「山ノ内、まさか設楽先輩のこと好きなのか?」
「だよね」
やっぱりそうとしか取れないよなぁ。
謎は教室に帰ってから解けた。
「噂だぞ、ほんとーに秘密なんだけどな」
ヒソヒソと耳元で話される。話してるのは幼稚園から青百合に通ってるヤツで、高校からはオレと同じ特進クラス。
そいつが、どうやら青百合組から噂を仕入れてきたらしかった。
「うん」
「鹿王院さんと設楽さん、許婚……っていうか、婚約、なくなってるらしい」
「……マジ?」
だとしたら、山ノ内チャンスなんですけど!?
「うん。高校卒業したら正式に発表するらしいんだけど」
「なんで秘密なの?」
いまどき許婚がいること自体珍しいんだから、まぁなくなったらなくなったで堂々としてりゃいーんじゃないだろうか。
「なんか家のゴタゴタ? らしいぜ~」
「ゴタゴタ?」
「落ち着くまでどうの」
「へぇ」
華麗なる一族、ってのも大変なんだなぁ、とオレはぼけーっと思った。それで鹿王院先輩は落ち着いてたのか?
設楽先輩は目を白黒させたあと顔を赤くしたり青くしたりと忙しそうだったけれど……。あれはどういう反応なんだろうか?
それからしばらくして、選挙結果が出た。
「おお、設楽先輩当選」
「一部の根強いファンからの投票が大きかったらしいぜ」
「根強いファンって」
オレは少し笑って答えた。
「アイドルのファン投票じゃないんだから」
なんだその言い方、と思うけれど、とにかく「鉄の女」「氷の女王」設楽華先輩が来年の7月までは風紀委員長だ。
「ところでさ」
「ん?」
「鹿王院先輩、立候補なんかしてなかったよな?」
生徒会長のところにあるのは、立候補なんかしてなかった「鹿王院樹」の文字。
「ここの学校、立候補してなくても投票できんだよ」
「なにそれ」
「でも通常、立候補してなきゃ票は入んないらしいから」
そいつは「鹿王院樹」の文字を見つめた。
「規格外なんだろーなぁ」
そのあとの生徒会総会、壇上に立つ鹿王院先輩と設楽先輩はなんだかお似合いな気がしてオレは尻のすわりが悪かった。
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「ん? 何」
「こないだの、あれ」
「あれってなんなん」
「……設楽先輩への告白?」
告白、で山ノ内は苦笑いした。
「やー、あれなぁ。ついなぁ」
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うーん、と山ノ内は困ったように笑う。その笑い方さえ整ってて、オレは少し羨ましくなった。
「フラれた?」
「フラれてへんわ」
む、とした顔で山ノ内は言う。
「注意しづらくなるからやめて言われた」
「髪?」
ん、と山ノ内は頷く。
「せやけど黒染めしたらコレで構ってもらえへんやーん?」
「お前なぁ、子供みたいなことを」
「ガキやもーん」
山ノ内はすねたように笑うけど、まぁそれも設楽先輩への一途な恋心ゆえってことでいいんだろうか。
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