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ep.28
しおりを挟むグレイスは陰茎を下からすくうように手のひらに乗せた。アーサーの形を確かめるように、覚えるように細い指が撫でていく。
口では「いや」「だめ」「やだ」と繰り返すグレイスだが、このたくましい陰茎に与えられる快楽の虜になっているのは明白だった。
強情になっていたグレイスも、そろそろアーサーの言葉を素直に受け止めてくれるだろう。
「……姫様、私が皇帝陛下にいただいた褒美は、何だと思いますか? もちろんスカーレット皇女殿下ではありませんよ。……褒美は陛下が私に与えたのではなく、私が望んだのです」
「…………わたくし、なの?」
グレイスの赤い唇が、少しの怯えに戦慄きながら答える。
アーサーが微笑むのを見て、グレイスはこみ上げる涙を我慢できなかった。
「わたくしを……っ、お嫁さんにしてくれるの?」
「はい」
「本当にわたくしでいいの……? アーサーはソードマスターで、ドラゴンから国を救った英雄で、望めばきっとなんだって手に入るのに、……何もないわたくしなどでいいの?」
「姫様がいいのです」
泣きじゃくるグレイスを抱き締めて、アーサーは唇を噛み締めた。
「申し訳ございません。私がはっきりしなかったせいで、姫様をこんなに苦しめてしまいました。本当はもっとずっと前から、姫様をお慕い申しておりました」
「そうなの……?」
きょとんと目を見開くグレイスは、少し嬉しそうにも見えた。これまでのグレイスの恋は、決して一方通行ではなかったのだ。
「はい。ですが私は自分の平民という身分が、姫様を貰い受けるには相応しくないと二の足を踏んでおりました。姫様のお気持ちに応える前に、自分の立場を固めたいという下らない男の矜持を優先したのです」
「それだけ私との結婚を真剣に考えてくれてたってこと?」
「急にすごく前向きになりましたね」
「なによぉ、早く言ってくれれば良かったのに!」
嬉しさを表情に滲ませたグレイスは、反省するアーサーの胸板をツンツンつついて責める。
早く言えも何も、「あなたの護衛騎士ではなく、あなたの夫にしてください」と言おうとした瞬間に睡眠薬で眠らせたのはグレイスであった。
「それじゃあ、お父様もお許しくださったのね?」
「はい。褒美をくださるとおっしゃったので、陛下が私に与えられる最も高い爵位と、グレイス皇女が欲しいと申し上げました」
「アーサー……!」
アーサーのお嫁さんになりたいというグレイスの願いを叶えるために、アーサーが水面下で準備してくれていたのだと思うと、感動で胸が打ち震える。
それなのに自分はアーサーに睡眠薬と媚薬を盛って、彼の意思を無視して既成事実を作り上げようとしていたのだ。そう考えると途端に恥ずかしさと申し訳なさがこみ上げてきた。
ぎゅうぎゅうときつく抱き着いていたグレイスの腕が緩んだことに気がついたアーサーが覗き込むと、グレイスは「あんなことをしてごめんなさい」と消え入りそうな声で言う。
彼女が突っ走りがちなことにはもう慣れたアーサーは、猛省する様子にくすりと笑った。
しかしそのアーサーの顔は真っ赤に茹っていて、吐く息は荒かった。
「アーサー……?」
未だ硬いままの陰茎が、おなかの上から子宮をぐっと押し潰す。先ほどまで穏やかに話していたはずのアーサーの目がどろりと欲に溶けて、グレイスを見下ろしていた。
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