17 / 92
おまけ①
【大正裏通りラヂヲ】第壱回
しおりを挟む
♠さて、始まりました、「大正裏通りラヂヲ」。パーソナリティは私、犬神零と――
♦椎葉桜子です。よろしくお願いします。
♠この番組は、『久遠の呪祓師──怪異探偵犬神零の大正帝都アヤカシ奇譚』の刊行を記念し、裏話や制作エピソードなどを語っていく、という趣旨のようです。
♦問題は、それが何で私たちの仕事なの? ってところね。普通、そういうのは作者があとがきに書くものじゃない?
♠あー、作者、自分の言葉にすると全く伝わらなくなるタイプですからねー。
♦確かにそうね。SNSの呟きとか、ほとんど意味不明だもの。だからって、仕事を押し付けられるのは勘弁して欲しいわ。
♠まあまあ、紅茶でも飲みながら……
♦いらないです。――そもそも、何であなた、美味しく淹れる腕がないのに紅茶派なの? 紅茶に失礼よ。
♠これには深い訳がありまして。『キャラクターに何か分かりやすい欠点を付けると良い』という創作論を読んだ作者が、真に受けた結果ですね。ほら、私、見た目もいいし頭も切れる、完璧超人じゃないですか。だから意外性のある欠点をですね……。
♦なら、作者は間違えてるわ。欠点はひとつじゃないもの。
♠…………
♦こんなどうでもいい話は置いておいて、本題に行きますわよ。まずは、私がずっと気になってるところから。――なんで舞台に『神田明神』を選んだのかしら?
♠これは私、聞いています。……作者はどうも、古い建物や遺構というものに興味を惹かれるようでしてね。ある時、知ってしまったんですよ――地下鉄万世橋駅の存在を。
♦知ってるわ。現在の東京メトロ銀座線にあった幻の駅ね。
♠はい。当時の地下鉄は、今のように地面の下にトンネルを掘る訳ではなく、地上から穴を掘り、蓋をする工法で工事が進められたんです。その時に問題となったのが、神田川でして。水路を変更するなど、相当大規模な工事が必要だったようです。
♦だから、神田川の手前に、期間限定で暫定的に設けられたのが、万世橋駅だった、って事ね。
♠現在も、その遺構は存在するようです。浪漫がありますよね。
♦万世橋といえば、国鉄の駅も寂しく姿を消したわよね。
♠開業当時は、今の東京駅のようなターミナル駅として建てられた、立派なものだったそうです。しかし、東京駅が開業してからは、その役割が縮小され、関東大震災で焼失してからは、すっかり簡素なものになってしまったようです。
♦話の導入に無理矢理ねじ込んできたくらいには、作者の思い入れがあるみたいね。
♠……これ、実は、本当は地下鉄駅を登場させたかったけれど、銀座線の開通は昭和に入ってからというのを後で知って、変更したらしいですよ。
♦時代モノを書くんなら、しっかり調べなさいよ。
♠全くその通り。――で、地図で見て、万世橋の近くにある目立つランドマークが神田明神だった、というのが、舞台をここに選んだ理由なようですよ。
♦嘘……適当過ぎない?
♠適当ですね。しかも、これだけ語っておきながら、作者、東京へは、修学旅行以来、行った事がないそうです。
♦何で舞台を東京にしたのよ……。
♠絵になるんですよね、東京の地名は。――作者が崇拝するアーティストの楽曲に、東京の地名が多く出てくるものがあり、そういったところに憧れ的なものがあるようです。
♦……まぁ、それは分からないでもないわ。
♠作者の嗜好は登場人物に投影されますから。……桜子さんのモデルもいるみたいですよ。
♦知らなかったわ……。
♠令和の世で大正百十一年を生きる方々の生き方に感銘を受けて、何としてもモダンガールを登場させたかったようです。
♦モダンガールは、婦人解放運動の象徴とも言える存在ね。大正時代は十五年と短かったけれど、世の中の考え方が大きな転換期を迎えた、とても内容の濃い時代よね。
♠厳密に言うと、モダンガール・モダンボーイといった人たちは、関東大震災後に多く現れたという説があり、桜子さんはその中でも先鋭のような存在、という設定です。
♦道理で。服を買うのに困ってるのよ、正直なところ。
♠日本橋の百貨店にでも行けば……
♦百貨店で買い物ができるだけの給料を払ってから言ってくださる?
♠…………
♦と、こんな感じで、作者もまだまだ大正時代の事を学びながら、執筆を進めています。
♠この話、中編の一話完結という話にはなっていますけど、シリーズものとして連作していきます。大正十二年まで続くようです。
♦それ以上言うとネタバレするからやめなさい。
♠すいません……。
♦なので、今回は書籍化という栄誉を頂いた訳ですけれど、次があろうがなかろうが、シリーズの執筆は続けていくつもりのようですので、アルファポリス上でお付き合い頂けると嬉しいです。
♠あと、我々が登場する本格ミステリも公開しております。十八歳以上の方は、スリースペースよりご覧いただけます。
♦……とこんな感じでいいのかしら?
♠次はあるんですかね?
♦知る訳ないじゃない。
♠……という訳で、「大正裏通りラヂヲ」でした。お付き合い、ありがとうございました!
♦また続編でお会いしましょう~♪
♦椎葉桜子です。よろしくお願いします。
♠この番組は、『久遠の呪祓師──怪異探偵犬神零の大正帝都アヤカシ奇譚』の刊行を記念し、裏話や制作エピソードなどを語っていく、という趣旨のようです。
♦問題は、それが何で私たちの仕事なの? ってところね。普通、そういうのは作者があとがきに書くものじゃない?
♠あー、作者、自分の言葉にすると全く伝わらなくなるタイプですからねー。
♦確かにそうね。SNSの呟きとか、ほとんど意味不明だもの。だからって、仕事を押し付けられるのは勘弁して欲しいわ。
♠まあまあ、紅茶でも飲みながら……
♦いらないです。――そもそも、何であなた、美味しく淹れる腕がないのに紅茶派なの? 紅茶に失礼よ。
♠これには深い訳がありまして。『キャラクターに何か分かりやすい欠点を付けると良い』という創作論を読んだ作者が、真に受けた結果ですね。ほら、私、見た目もいいし頭も切れる、完璧超人じゃないですか。だから意外性のある欠点をですね……。
♦なら、作者は間違えてるわ。欠点はひとつじゃないもの。
♠…………
♦こんなどうでもいい話は置いておいて、本題に行きますわよ。まずは、私がずっと気になってるところから。――なんで舞台に『神田明神』を選んだのかしら?
♠これは私、聞いています。……作者はどうも、古い建物や遺構というものに興味を惹かれるようでしてね。ある時、知ってしまったんですよ――地下鉄万世橋駅の存在を。
♦知ってるわ。現在の東京メトロ銀座線にあった幻の駅ね。
♠はい。当時の地下鉄は、今のように地面の下にトンネルを掘る訳ではなく、地上から穴を掘り、蓋をする工法で工事が進められたんです。その時に問題となったのが、神田川でして。水路を変更するなど、相当大規模な工事が必要だったようです。
♦だから、神田川の手前に、期間限定で暫定的に設けられたのが、万世橋駅だった、って事ね。
♠現在も、その遺構は存在するようです。浪漫がありますよね。
♦万世橋といえば、国鉄の駅も寂しく姿を消したわよね。
♠開業当時は、今の東京駅のようなターミナル駅として建てられた、立派なものだったそうです。しかし、東京駅が開業してからは、その役割が縮小され、関東大震災で焼失してからは、すっかり簡素なものになってしまったようです。
♦話の導入に無理矢理ねじ込んできたくらいには、作者の思い入れがあるみたいね。
♠……これ、実は、本当は地下鉄駅を登場させたかったけれど、銀座線の開通は昭和に入ってからというのを後で知って、変更したらしいですよ。
♦時代モノを書くんなら、しっかり調べなさいよ。
♠全くその通り。――で、地図で見て、万世橋の近くにある目立つランドマークが神田明神だった、というのが、舞台をここに選んだ理由なようですよ。
♦嘘……適当過ぎない?
♠適当ですね。しかも、これだけ語っておきながら、作者、東京へは、修学旅行以来、行った事がないそうです。
♦何で舞台を東京にしたのよ……。
♠絵になるんですよね、東京の地名は。――作者が崇拝するアーティストの楽曲に、東京の地名が多く出てくるものがあり、そういったところに憧れ的なものがあるようです。
♦……まぁ、それは分からないでもないわ。
♠作者の嗜好は登場人物に投影されますから。……桜子さんのモデルもいるみたいですよ。
♦知らなかったわ……。
♠令和の世で大正百十一年を生きる方々の生き方に感銘を受けて、何としてもモダンガールを登場させたかったようです。
♦モダンガールは、婦人解放運動の象徴とも言える存在ね。大正時代は十五年と短かったけれど、世の中の考え方が大きな転換期を迎えた、とても内容の濃い時代よね。
♠厳密に言うと、モダンガール・モダンボーイといった人たちは、関東大震災後に多く現れたという説があり、桜子さんはその中でも先鋭のような存在、という設定です。
♦道理で。服を買うのに困ってるのよ、正直なところ。
♠日本橋の百貨店にでも行けば……
♦百貨店で買い物ができるだけの給料を払ってから言ってくださる?
♠…………
♦と、こんな感じで、作者もまだまだ大正時代の事を学びながら、執筆を進めています。
♠この話、中編の一話完結という話にはなっていますけど、シリーズものとして連作していきます。大正十二年まで続くようです。
♦それ以上言うとネタバレするからやめなさい。
♠すいません……。
♦なので、今回は書籍化という栄誉を頂いた訳ですけれど、次があろうがなかろうが、シリーズの執筆は続けていくつもりのようですので、アルファポリス上でお付き合い頂けると嬉しいです。
♠あと、我々が登場する本格ミステリも公開しております。十八歳以上の方は、スリースペースよりご覧いただけます。
♦……とこんな感じでいいのかしら?
♠次はあるんですかね?
♦知る訳ないじゃない。
♠……という訳で、「大正裏通りラヂヲ」でした。お付き合い、ありがとうございました!
♦また続編でお会いしましょう~♪
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。