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20.逮捕します。
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一行はふたたび聖エルモ病院に戻ってきていた。
「どうだ。優羽やドクター中森の気配を感じられるか」
「いまのところ特に感じないわね。誰もいないのかしら。まぁ少し離れているからかもしれないし、その例のフロアにいってみましょう」
いぶかしげに眉を寄せる美朱だったが、病院の待合室は人通りも多い。それらの気配が紛れていても不思議ではないだろう。
「わかった」
エレベーターにのり例のフロアに向かう。ただし直接フロアに止まれば誰かに見とがめられる可能性もある。念のため一つ下のフロアで降りて階段をのぼる。
その途中で看護師などにも目撃されてはいたが、幸いなことに見舞客と思われたのか特に反応はなかった。
「……やっぱり最初の時も別に認識阻害の術をかけなくても良かったんじゃないか」
「それは結果論ね。どこまでの人間が事情を知っていて、研究に携わっているかはわからないじゃない。あのときは場合によっては病院の人間全員ぐるだって事だって考えられたのだから、術をかけて関係者だって思い込ませるのには意味があったわ」
美朱は平然とした顔で言い放つと、それからすぐに口元に笑みを浮かべる。
「それに誠の女装姿なんて、滅多にみられるものじゃないもの」
言いながらスマホの画面を尽きだしてきたため、誠は画面をのぞき込む。
そこには看護師姿の誠がはっきりと映し出されていた。
「ちょ、おま。いつの間に。消せっ、いますぐ消せっ」
「消してもいいけど。もう中学時代の友達の間にライムでばらまいたから遅いと思うわよ」
「なん……だと……」
愕然として肩を落とす。美朱はぽんと誠の肩に手を乗せる。
「大丈夫。ちゃんとこの子は誠子ちゃんですって言っておいたから」
「お前な。世界にはしてもいいこととわるいことがあるんだぞ」
「あら。だったらまずはちゃんと貸しを返してもらおうかしら」
「ぐっ……」
美朱の言葉に声が詰まる。実際美朱には多大な借りがある。美朱がいなければ、誠は今頃は何もする事はできなかっただろう。
「ま、ライムで送ったっていうのは嘘だけどね」
「ちょ……。はぁ。もういい」
ぺろっと舌をだしつつ言う美朱に、やりきれない怒りを覚えながらも誠は階段を登る。どうやらそんな話をしているうちにも例のフロアに到着したようだった。
「んー。ここまで来ても誰の気配も感じないわね。ここには誰もいないってことかしら。それとも気配を消しているの」
「ふむ。ドクター中森は幾ばくかの術は使えるようじゃが、あくまで科学者じゃ。それでここまで完全に気配が消せるものかのう。ここにはいない可能性の方が高いとは思うが、どうしたものかの」
錯乱坊主が一人ごちる。
「何にしても研究室までいってみるしかないな。もしかしたら機械も含めて撤収した後なのかもしれないが」
「そうね。いってみましょう」
美朱の言葉に誠はうなずいて、それから隠し部屋まで向かってみる。特に閉鎖されていたりはせずに、何の問題も無く研究室にたどり着いていた。
誠が美朱に視線を送るが、美朱は首を横に振るう。気配は感じられないようだ。
とりあえずセキュリティには佐由理にもらったIDカードをかざしてみる。すでに手を打たれて開かない事も懸念していたものの、鍵は難なく開いていた。
扉に手をかけようとした瞬間、しかしその手を美朱がつかむ。
さらに声を出しそうになる誠の口を反対の手でいちどふさいで、そのあとにそのまま口元に人差し指を当てる。
どうやら静かにという事らしい。確かにこの先に何があるかはわからない。確かに警戒するに越したことはない。
なにやら小声で術を唱えていたようだ。その後に美朱が扉をゆっくりと開ける。
しかし特に何事もなく、ただ部屋の中が見えただけだ。
「何も変わっていない……か」
声には出さずに口の中でつぶやく。
ドクター中森がいっていた霊体発生装置もそのままおかれている。しかしドクター中森の姿はここには見えない。
「誰もいない……みたいね」
美朱は辺りを見回しながらも息を吐き出す。
その瞬間だった。
『やーやー。君たちを待っていたよ』
「ドクター中森!?」
その声はどこからともなく響いた。
『見ての通り私はここにはいない、が。君たちの望みである霊体発生装置はまだそこにあるよ。いやー、ははは。移動させたかったんだけどね。これちょっと重すぎて移動させるのは無理だったんだよねぇ。まー、そんな訳で仕方ないので、君たちをおびき寄せる撒き餌として使うことにしたんだけどねぇ。実のところ壊されたらダメっていうのはその通りなんだよねー。こりゃ困ったわー。ははははは。いやー、とんでもない事になりましたよ。これはー』
笑いながら話すが、どこかその声の中に何か挑むような空気をまとわせていた。
『まぁでも完成した幽体兵器のテストにちょうどいいって事でもあるかな。さぁU-02よ。彼らを片付けるのだ』
ドクター中森が告げると共に部屋の中に優羽の姿が浮かび上がる。
優羽はまぶたを閉じたまま、ただそこにあった。
誠達には全く目をやることもなく。
「どうだ。優羽やドクター中森の気配を感じられるか」
「いまのところ特に感じないわね。誰もいないのかしら。まぁ少し離れているからかもしれないし、その例のフロアにいってみましょう」
いぶかしげに眉を寄せる美朱だったが、病院の待合室は人通りも多い。それらの気配が紛れていても不思議ではないだろう。
「わかった」
エレベーターにのり例のフロアに向かう。ただし直接フロアに止まれば誰かに見とがめられる可能性もある。念のため一つ下のフロアで降りて階段をのぼる。
その途中で看護師などにも目撃されてはいたが、幸いなことに見舞客と思われたのか特に反応はなかった。
「……やっぱり最初の時も別に認識阻害の術をかけなくても良かったんじゃないか」
「それは結果論ね。どこまでの人間が事情を知っていて、研究に携わっているかはわからないじゃない。あのときは場合によっては病院の人間全員ぐるだって事だって考えられたのだから、術をかけて関係者だって思い込ませるのには意味があったわ」
美朱は平然とした顔で言い放つと、それからすぐに口元に笑みを浮かべる。
「それに誠の女装姿なんて、滅多にみられるものじゃないもの」
言いながらスマホの画面を尽きだしてきたため、誠は画面をのぞき込む。
そこには看護師姿の誠がはっきりと映し出されていた。
「ちょ、おま。いつの間に。消せっ、いますぐ消せっ」
「消してもいいけど。もう中学時代の友達の間にライムでばらまいたから遅いと思うわよ」
「なん……だと……」
愕然として肩を落とす。美朱はぽんと誠の肩に手を乗せる。
「大丈夫。ちゃんとこの子は誠子ちゃんですって言っておいたから」
「お前な。世界にはしてもいいこととわるいことがあるんだぞ」
「あら。だったらまずはちゃんと貸しを返してもらおうかしら」
「ぐっ……」
美朱の言葉に声が詰まる。実際美朱には多大な借りがある。美朱がいなければ、誠は今頃は何もする事はできなかっただろう。
「ま、ライムで送ったっていうのは嘘だけどね」
「ちょ……。はぁ。もういい」
ぺろっと舌をだしつつ言う美朱に、やりきれない怒りを覚えながらも誠は階段を登る。どうやらそんな話をしているうちにも例のフロアに到着したようだった。
「んー。ここまで来ても誰の気配も感じないわね。ここには誰もいないってことかしら。それとも気配を消しているの」
「ふむ。ドクター中森は幾ばくかの術は使えるようじゃが、あくまで科学者じゃ。それでここまで完全に気配が消せるものかのう。ここにはいない可能性の方が高いとは思うが、どうしたものかの」
錯乱坊主が一人ごちる。
「何にしても研究室までいってみるしかないな。もしかしたら機械も含めて撤収した後なのかもしれないが」
「そうね。いってみましょう」
美朱の言葉に誠はうなずいて、それから隠し部屋まで向かってみる。特に閉鎖されていたりはせずに、何の問題も無く研究室にたどり着いていた。
誠が美朱に視線を送るが、美朱は首を横に振るう。気配は感じられないようだ。
とりあえずセキュリティには佐由理にもらったIDカードをかざしてみる。すでに手を打たれて開かない事も懸念していたものの、鍵は難なく開いていた。
扉に手をかけようとした瞬間、しかしその手を美朱がつかむ。
さらに声を出しそうになる誠の口を反対の手でいちどふさいで、そのあとにそのまま口元に人差し指を当てる。
どうやら静かにという事らしい。確かにこの先に何があるかはわからない。確かに警戒するに越したことはない。
なにやら小声で術を唱えていたようだ。その後に美朱が扉をゆっくりと開ける。
しかし特に何事もなく、ただ部屋の中が見えただけだ。
「何も変わっていない……か」
声には出さずに口の中でつぶやく。
ドクター中森がいっていた霊体発生装置もそのままおかれている。しかしドクター中森の姿はここには見えない。
「誰もいない……みたいね」
美朱は辺りを見回しながらも息を吐き出す。
その瞬間だった。
『やーやー。君たちを待っていたよ』
「ドクター中森!?」
その声はどこからともなく響いた。
『見ての通り私はここにはいない、が。君たちの望みである霊体発生装置はまだそこにあるよ。いやー、ははは。移動させたかったんだけどね。これちょっと重すぎて移動させるのは無理だったんだよねぇ。まー、そんな訳で仕方ないので、君たちをおびき寄せる撒き餌として使うことにしたんだけどねぇ。実のところ壊されたらダメっていうのはその通りなんだよねー。こりゃ困ったわー。ははははは。いやー、とんでもない事になりましたよ。これはー』
笑いながら話すが、どこかその声の中に何か挑むような空気をまとわせていた。
『まぁでも完成した幽体兵器のテストにちょうどいいって事でもあるかな。さぁU-02よ。彼らを片付けるのだ』
ドクター中森が告げると共に部屋の中に優羽の姿が浮かび上がる。
優羽はまぶたを閉じたまま、ただそこにあった。
誠達には全く目をやることもなく。
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