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<ジルベール>シリアス ルート
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―― ジルベールの家で、起きたの二度目だな
明るい日差しに、目を覚ます。気付けば、ベッドで寝ていた。何時ものと違う、広くて高級なベッドだ。持ち主は何処だと探せば、俺の家にあるベッドより広くて快適に眠れそうなソファで寝ていた。
―― なんか誰かに手を握られていた気がするが、気のせいか
なにか見たくないものを、見ていた気がする。痛くて悲しくて、どうしようもない感情が渦巻いていく。誰かを呼んで、ただひたすら後悔が重なりあっていく。そんなとき誰かが、手を握ってくれた気がするんだ。
―― ジルベールだよな
ここはジルベールの家で、俺のほかにいるのはあいつだけだ。他の奴だったら、怖すぎる。
―― あとで礼を、言おう
「全く、寝ていても顔が、良い奴だ」
良く寝ているから、起こすのも気が引ける。しばらく眺めることにして、傍によって見下ろす。
さすが公式で唯一美形認定されているやつだ。寝ていても、顔が良い。
少し悪戯心が湧いて、鼻を掴む。
昨日と違って、気分が軽い。きっとジルベールのおかげだろう。世話になったのに何してるのかと思うが、気の迷いというやつだ。許してもらいたい。
「起きてるだろう」
さすがに息苦しくて目覚めるだろうと思っていたのだが、目を開けない。さすがにおかしいと思って、声をかけると罰が悪そうに目を開けた。
「なぜ寝たふりを、続けてたんだ」
「……ちょっと、気まずくて」
起き上がったと思えば、なぜか少し視線をそらされる。気まずいのは、おかしなことをしてしまった俺のほうだ。すぐに離せば気づかれることもなかったのに、なにをやっているのだろうか。
「いつから、起きてた」
「その寝ていても、顔が良いって……」
「なぜそれで、気まずくなるんだ。お前の顔が良いのは、周知の事実だろ」
「えっあの、ありがとう」
なぜか礼を、言われた。訳が分からない。ジルベールは公式でも美形と明言されている。ようするのただの事実だ。
そういえば性格も良いよな。なんというか、人が良いって感じることが多い気がする。あと頭も良いよな。見た目も中身も良いなて、完璧人間か。
―― ジルベールなら、良かったのに
僕のように、愚かじゃないから。きっと――も、――も、みんな
「レイザード」
「なんでもない」
名を呼ばれて、意識が戻る。目の前でジルベールが、案じるようにこちらを見ている。
今なにを、考えていた。何を、思っていた。自分に問うても、答えが出ない。ただ沸いて出た暗い感情に引きずられそうになっていた。
―― ああ、そうだ
自分じゃなければ、そう思ったんだ。ジルベールなら、僕のような愚かな行動はしかなったんじゃないかって。
―― 僕?
自分とは違う一人称に、内心で首をかしげる。誰のものだと考えて、バグの中で現れる子供が浮かぶ。いつも子供の視点で見ているから、顔が分からない。ただ両親の顔立ちは、整っているから子供も顔が良いんじゃないかとは思う。
―― バグが、悪化しているのか
今までは、ただ見ていただけだ。けど今のは子供の意識が、自分の中に入ってきたような妙なものだ。意識の境界が、あいまいになったような。
「腹が減った」
「えっ? あっ、今作るよ。待ってて」
また意識を持っていかれそうになって、ジルベールが向けてくる視線に気づく。心配させて、しまっている。
昨日の今日だ。余計な心配を、かけたくない。だから無理やり話題をそらす。
幸いジルベールは、つっこんでくることもなく接してくれた。
―― 話してしまおうか
ジルベールの作ってくれた朝食を食べながら、馬鹿なことを思う。
変な声が聞こえる。知らないはずの幻覚が見える。こんなことを言えば人が良いジルベールとはいえど、さすがに頭がおかしいと思われて離れていくかもしれない。
想像して少しテンションが下がった。けどそれでもいいのかもとも思っている。少なくともジルベールに迷惑をかけることはなくなる。
―― 本当に?
こんなに、良くしてくれる。どう考えても迷惑でしかないのに、そうではないと言って案じてくれる。良いやつで、確かに迷惑をかけたくないと思っている。それは間違いなく事実だ。
バグが直るのは、何時になるか分からない。直るどころか、ひどくなる可能性だってある。だから離れた方が、きっと正しい。
「味はどうかな。口に合う?」
「ああ、美味い」
ただ正直に、美味いと返す。ただそれだけで、嬉しそうな笑顔が返ってくる。温かな気持ちになる。そんな資格などないと思いながら、同時に手放したくないと思ってしまっている。
『僕が――した』
暗い暗い声が、聞こえる。鮮明ではない。雑音にさえぎられて、はっきりと聞こえない。ただ胸がざわつく。
「お代わりを、もらえるか」
「もちろんだよ。すぐよそってくるよ」
バグに浸食されそうな、一種恐怖のような感情に支配されそうになる。様子がおかしくなれば、またジルベールに心配をかけてしまう。ごまかすために言葉を続けて、返ってきた笑顔に暗いものが消えていくように感じた。
明るい日差しに、目を覚ます。気付けば、ベッドで寝ていた。何時ものと違う、広くて高級なベッドだ。持ち主は何処だと探せば、俺の家にあるベッドより広くて快適に眠れそうなソファで寝ていた。
―― なんか誰かに手を握られていた気がするが、気のせいか
なにか見たくないものを、見ていた気がする。痛くて悲しくて、どうしようもない感情が渦巻いていく。誰かを呼んで、ただひたすら後悔が重なりあっていく。そんなとき誰かが、手を握ってくれた気がするんだ。
―― ジルベールだよな
ここはジルベールの家で、俺のほかにいるのはあいつだけだ。他の奴だったら、怖すぎる。
―― あとで礼を、言おう
「全く、寝ていても顔が、良い奴だ」
良く寝ているから、起こすのも気が引ける。しばらく眺めることにして、傍によって見下ろす。
さすが公式で唯一美形認定されているやつだ。寝ていても、顔が良い。
少し悪戯心が湧いて、鼻を掴む。
昨日と違って、気分が軽い。きっとジルベールのおかげだろう。世話になったのに何してるのかと思うが、気の迷いというやつだ。許してもらいたい。
「起きてるだろう」
さすがに息苦しくて目覚めるだろうと思っていたのだが、目を開けない。さすがにおかしいと思って、声をかけると罰が悪そうに目を開けた。
「なぜ寝たふりを、続けてたんだ」
「……ちょっと、気まずくて」
起き上がったと思えば、なぜか少し視線をそらされる。気まずいのは、おかしなことをしてしまった俺のほうだ。すぐに離せば気づかれることもなかったのに、なにをやっているのだろうか。
「いつから、起きてた」
「その寝ていても、顔が良いって……」
「なぜそれで、気まずくなるんだ。お前の顔が良いのは、周知の事実だろ」
「えっあの、ありがとう」
なぜか礼を、言われた。訳が分からない。ジルベールは公式でも美形と明言されている。ようするのただの事実だ。
そういえば性格も良いよな。なんというか、人が良いって感じることが多い気がする。あと頭も良いよな。見た目も中身も良いなて、完璧人間か。
―― ジルベールなら、良かったのに
僕のように、愚かじゃないから。きっと――も、――も、みんな
「レイザード」
「なんでもない」
名を呼ばれて、意識が戻る。目の前でジルベールが、案じるようにこちらを見ている。
今なにを、考えていた。何を、思っていた。自分に問うても、答えが出ない。ただ沸いて出た暗い感情に引きずられそうになっていた。
―― ああ、そうだ
自分じゃなければ、そう思ったんだ。ジルベールなら、僕のような愚かな行動はしかなったんじゃないかって。
―― 僕?
自分とは違う一人称に、内心で首をかしげる。誰のものだと考えて、バグの中で現れる子供が浮かぶ。いつも子供の視点で見ているから、顔が分からない。ただ両親の顔立ちは、整っているから子供も顔が良いんじゃないかとは思う。
―― バグが、悪化しているのか
今までは、ただ見ていただけだ。けど今のは子供の意識が、自分の中に入ってきたような妙なものだ。意識の境界が、あいまいになったような。
「腹が減った」
「えっ? あっ、今作るよ。待ってて」
また意識を持っていかれそうになって、ジルベールが向けてくる視線に気づく。心配させて、しまっている。
昨日の今日だ。余計な心配を、かけたくない。だから無理やり話題をそらす。
幸いジルベールは、つっこんでくることもなく接してくれた。
―― 話してしまおうか
ジルベールの作ってくれた朝食を食べながら、馬鹿なことを思う。
変な声が聞こえる。知らないはずの幻覚が見える。こんなことを言えば人が良いジルベールとはいえど、さすがに頭がおかしいと思われて離れていくかもしれない。
想像して少しテンションが下がった。けどそれでもいいのかもとも思っている。少なくともジルベールに迷惑をかけることはなくなる。
―― 本当に?
こんなに、良くしてくれる。どう考えても迷惑でしかないのに、そうではないと言って案じてくれる。良いやつで、確かに迷惑をかけたくないと思っている。それは間違いなく事実だ。
バグが直るのは、何時になるか分からない。直るどころか、ひどくなる可能性だってある。だから離れた方が、きっと正しい。
「味はどうかな。口に合う?」
「ああ、美味い」
ただ正直に、美味いと返す。ただそれだけで、嬉しそうな笑顔が返ってくる。温かな気持ちになる。そんな資格などないと思いながら、同時に手放したくないと思ってしまっている。
『僕が――した』
暗い暗い声が、聞こえる。鮮明ではない。雑音にさえぎられて、はっきりと聞こえない。ただ胸がざわつく。
「お代わりを、もらえるか」
「もちろんだよ。すぐよそってくるよ」
バグに浸食されそうな、一種恐怖のような感情に支配されそうになる。様子がおかしくなれば、またジルベールに心配をかけてしまう。ごまかすために言葉を続けて、返ってきた笑顔に暗いものが消えていくように感じた。
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