あなたの月 8月

渋谷かな

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日常をぶっ飛ばせ!

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「ほっこりしますな。」
 葉月は縁側でお茶を飲んでいる。
「コケッ!」
 チキンも縁側でお茶を飲んでいる。
「ピヨッ!」
 ピヨ2も縁側でお茶を飲んでいる。
「たまには姉妹でお茶を飲むのもいいわね。」
「そうね。お団子も美味しいし。」
 真理亜と楓もお茶を飲んでいる。
「お母さんも仲間に入れて!」
 母のひばりも縁側でお茶を飲んでいる。
「なんて平和なんだ。」
 一同は思った。このままでいいんじゃねえ? と。
「どうして事件を起こさなければいけないの?」
「それが物語だからだよ。」
「物語!? 物語なんか、大っ嫌いだー!」
 ほっこり縁側部には事件は必要ないのだ。
「しかも事件というのは、日常と主人公、登場人物の紹介と共に、第一話で打ち上げるべき花火らしいぞ。」
「もう既に24話なんですけど。」
 これが現実である。
「でも、私たち、ほっこりとじんわりの日常の物語なんだけど?」
「それでも例えるとパンチパーマのおばさんが魚をくわえたドラ猫を追いかける、ドラ猫、魚食い逃げ事件なんかもあるわよ。」
「他に幼稚園児がゾウさんパンツでお尻を見せまくる、幼児わいせつ事件もある。」
 日常モノでも、難事件ばかりだ。
「事件に大きいも小さいもない!」
「事件は縁側で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」
「要するに、日常で魚を食べたら喉に魚の骨が刺さったみたいな、魚の骨殺人事件だ! これが不特定多数の人間を襲ったものなら、魚の骨無差別殺人だ!」
「おお!? 事件らしくなってきた!」
 結局、物語は大なり小なり事件がある。
「そうか、それで物語は探偵モノや刑事モノが多いのか。事件ばっかりだからな。」
「人が、人が死んでいるんだぞ!?」
「毎回、見ず知らずの人が殺される不幸を呼ぶ展開だな。」
 物語の事件の必然性は悲しいね。
「そこで正義のヒーローが現れて事件を解決する!」
「おお! 真実はいつも一つ! ですな。」
「じっちゃんの名にかけて! もね。」
 これが事件からの決意である。
「確かに意思表明があると盛り上がるわよね。」
「例えば「俺は海賊王になる!」とかね。」
「分かりやすい。」
「鬼に食べられた妹を「絶対に助けるんだ!」とかもあるわね。」
「あるある。」
 決意=決めゼリフは奥の一般大衆の共感を得る。分かりやすいしね。
「しかし、どうすれば海賊王になれるのか? どうすれば妹を助けることができるのか? 全く分からないで困る。」
「確かに!? どうすれば望ものを得ることができるのだろう!?」
 この先が見えない、方法が分からないというのが第4の要素、苦境である。
「私たちも日常モノで、目指すモノや、叶えたいモノ。助けたいモノ。守りたいモノが無いからな。」
「アハッ!」
 正に私たちは苦境である。
「平和っていいわね~。」
「コケッ!」
「ピヨッ!」
 この物語は縁側でお茶を飲むだけの物語がいいな・・・・・・。
 つづく。
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