23 / 106
第023話 我が身既に鉄、我が心既に空
しおりを挟む
町の外壁ゾーンを潜り抜け、ヤク達が本気を出そうとしたところで、敢えての停車。
なんでやねんという二頭の抗議の鳴き声が上がる中、馬車から降りてみる。
と、そこにシュタッシュタッと精霊さん達が軽やかに現れた。
いや、君達。
いつも、なんかテレポーテーション的挙動しとるやん。
気付いたら、そこにおるやん。
そんなツッコミはさておき。
『わがみすでに、こてっちゃん』
じゅーじゅーって焼かれたいお年頃なのかな。
『わがこころ、すでにくくう』
酢豚が食べたいのかな。
『ごちゅーしん!!』
という訳で、精霊さんの報告をまとめると。
どうも怪しいのが二パターン存在していたようだ。
一つは最近荒稼ぎしている田舎者にちょっかいを出そうとする勢力。
もう一つは何かを探るか、どうにか謎の薬師に接触しようとしてきている勢力。
前者は優しく折檻されている(現在進行形)ので、問題無し。
後者に関しては、不思議パワーで足止めしたりしてたので、問題無し。
世は並べて事も無し。
ビバ平穏。
平和最高。
「何かあったの?」
訝し気なリサさんに、微笑みを一つ。
「今日も平和です」
ぱしんと鞭を鳴らしてみた。
帰路も問題無く順調でした。
出物を考えれば、帰り道にでも伏兵を置くかなと考えていたけど。
ベンガロト草はちょっとした林の中でも生えている極一般的な植物なので。
リサさんの村くらい奥地に行けば良い品質のものが手に入るというだけなのだ。
そこに必ずしも薬師が向かうとは考えないのだろう。
でも、そろそろ用心を始めないといけないな。
なんせブラック企業での経験が警鐘をガンガン鳴らし始めている。
目立つ杭は乱打せよ、飛ぶ鳥は撃てが合言葉だ。
力を付けそうな相手は潰すし、儲かりそうな話はしゃぶりつくすのが嗜み。
そんな世界も存在しているのだ。
若干黒い雰囲気に苛まれながらも、村の中心まで到着。
引き続き、大入り満員の人だかり。
前回は日用品の山に嬉しいという感じだったけど、今回は奢侈品に大歓喜といった感じ。
居並ぶお姉さま達のひらひらたなびく布に対する視線の鋭さは、物理的な裁断力すら感じるのですよ。
勿論男性陣は底の方に隠している小樽の群れを目敏くサーチしているのだろう。
まぁ、なにはともあれ。
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい!!」
挨拶は大切だ。
相変らず、荷物はリサさんを始め村人の皆さんに任せる。
今の私に必要なのは休息だとばかりに家に戻った。
しかし、行ったり来たりばかりで我が家にあんまり滞在出来ないな。
そんな事を考えながら、眠りに就いた。
すやすや。
朝靄が薄く立ち込める、秋の早朝。
随分と冷え込んだもんだと扉を開けて外を眺めてみると、辺りは一変していた。
何だか不思議なモニュメントが建ち並び、村の中心に向かって飾りつけられていたのだ。
半日程度の時間しかなかったのによくやるなと思いながら、朝ご飯を持ってきてくれたリサさんに手を振ってみる。
さて、収穫祭の始まりかな。
期待を隠せないリサさんとうごうご蠢く精霊さん達を眺めながら。
こりゃ、無事には済まないなと一つ確信してみた。
なんでやねんという二頭の抗議の鳴き声が上がる中、馬車から降りてみる。
と、そこにシュタッシュタッと精霊さん達が軽やかに現れた。
いや、君達。
いつも、なんかテレポーテーション的挙動しとるやん。
気付いたら、そこにおるやん。
そんなツッコミはさておき。
『わがみすでに、こてっちゃん』
じゅーじゅーって焼かれたいお年頃なのかな。
『わがこころ、すでにくくう』
酢豚が食べたいのかな。
『ごちゅーしん!!』
という訳で、精霊さんの報告をまとめると。
どうも怪しいのが二パターン存在していたようだ。
一つは最近荒稼ぎしている田舎者にちょっかいを出そうとする勢力。
もう一つは何かを探るか、どうにか謎の薬師に接触しようとしてきている勢力。
前者は優しく折檻されている(現在進行形)ので、問題無し。
後者に関しては、不思議パワーで足止めしたりしてたので、問題無し。
世は並べて事も無し。
ビバ平穏。
平和最高。
「何かあったの?」
訝し気なリサさんに、微笑みを一つ。
「今日も平和です」
ぱしんと鞭を鳴らしてみた。
帰路も問題無く順調でした。
出物を考えれば、帰り道にでも伏兵を置くかなと考えていたけど。
ベンガロト草はちょっとした林の中でも生えている極一般的な植物なので。
リサさんの村くらい奥地に行けば良い品質のものが手に入るというだけなのだ。
そこに必ずしも薬師が向かうとは考えないのだろう。
でも、そろそろ用心を始めないといけないな。
なんせブラック企業での経験が警鐘をガンガン鳴らし始めている。
目立つ杭は乱打せよ、飛ぶ鳥は撃てが合言葉だ。
力を付けそうな相手は潰すし、儲かりそうな話はしゃぶりつくすのが嗜み。
そんな世界も存在しているのだ。
若干黒い雰囲気に苛まれながらも、村の中心まで到着。
引き続き、大入り満員の人だかり。
前回は日用品の山に嬉しいという感じだったけど、今回は奢侈品に大歓喜といった感じ。
居並ぶお姉さま達のひらひらたなびく布に対する視線の鋭さは、物理的な裁断力すら感じるのですよ。
勿論男性陣は底の方に隠している小樽の群れを目敏くサーチしているのだろう。
まぁ、なにはともあれ。
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい!!」
挨拶は大切だ。
相変らず、荷物はリサさんを始め村人の皆さんに任せる。
今の私に必要なのは休息だとばかりに家に戻った。
しかし、行ったり来たりばかりで我が家にあんまり滞在出来ないな。
そんな事を考えながら、眠りに就いた。
すやすや。
朝靄が薄く立ち込める、秋の早朝。
随分と冷え込んだもんだと扉を開けて外を眺めてみると、辺りは一変していた。
何だか不思議なモニュメントが建ち並び、村の中心に向かって飾りつけられていたのだ。
半日程度の時間しかなかったのによくやるなと思いながら、朝ご飯を持ってきてくれたリサさんに手を振ってみる。
さて、収穫祭の始まりかな。
期待を隠せないリサさんとうごうご蠢く精霊さん達を眺めながら。
こりゃ、無事には済まないなと一つ確信してみた。
39
あなたにおすすめの小説
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる