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第024話 収穫祭の開催を宣言します
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雲の上を歩くように浮ついた雰囲気を振りまきながら、ひょっこひょっこと歩くリサさん。
色々と上機嫌に説明してくれた。
動物の骨と藁で作られた正体不明なモニュメントに関しては。
どうも、創世神話を模したものらしく、シーンごとに作られているそうだ。
基本的にはあのモニュメントは主神である女神を司っている。
という事は、あの不気味なオブジェは駄女神なのかと思うと暗い笑いが沸き起こってくる。
不気味さを助長しているのが、藁で作られた案山子モドキに古着を着せている事なのだが。
お下がりも出来ないような古着は、あぁやって使うのが習わしだとか。
祭りの最後にオブジェごとキャンプファイヤーで焼却する。
その灰を畑に撒く事により、神の力を土壌に取り込むという事なのだが。
畑に枯渇している栄養素の取り込みに関して、宗教と絡めて毎年きちんと実行出来る形になっているのが偉いなと。
先人の知恵だろうけど、馬鹿に出来ない説得力を持っている。
感心しながら歩を進め村の中心に出てみると。
広場に各家から持ち出したテーブルが所狭しと並んでいた。
上には冷えても困らないものから配膳が始まっている。
子供達と暇な大人がつまみ食いをしようと虎視眈々と狙っているが、お姉様方の鉄壁のディフェンスであえなく撃沈しているのが面白い。
テーブルの群れが囲んでいる中央にはバーベキューコンロのような開放型の竈が築かれており。
串に刺さった肉達が、艶やかな照りをアピールしながらくるくる回っている。
私達が行商に出ている間、リサさんの家族を筆頭に村人の皆さんで狩りまくった努力の成果と聞き、ありがたいなと面映ゆくなってしまった。
あまり交流の無い人達と挨拶を交わしていると、にわかにざわめきが起こる。
美しく着飾った妙齢の女性達が湯気の昇る皿と酒を持って登場したのだ。
古来より祭りとは神事。
神事に付き物なのは、旨い幸と酒、そして出会いなのだ。
その主役となる女性陣が現れた瞬間、男性陣の動きが止まる。
熱に浮かされたような瞳と紅潮した頬に、あぁ、収穫祭だなと笑み崩れてしまった。
と、矍鑠とした老人がゆっくりと歩を進め、中心に位置する。
ちなみにこの老人。
セディスさんとセベルさんのお父さん。
つまり、先代の村長さんだ。
「さぁさ。本来なら祭りなどぉ、どでぇ無理だぁ思ってぇぃたがぁ……」
声を張り上げて、収穫祭の宣言を述べると場はいきなり最高潮を迎えた。
乾杯、乾杯、乾杯三唱。
エールの泡は飛び散り、子供は興奮で泣き叫ぶ。
まごう事無く、田舎の祭りだ。
そのエネルギーを肌で感じ、ぶるると震えてしまう。
人間の原風景。
収穫の喜びを、生の喜びを、いと高き神に感謝を、その思いにどこか感動してしまう。
と、一人しんみりしていると、リサさんと一緒に壮年の男性が一人。
私と同じくらいかなと思って眺めていると、こちらに近づいてくる。
「父です」
リサさんの紹介に、男性の手が伸びてくるので、拳を作ってこつん。
「ライズぃいます。いつもこいつの面倒見てもらってぇ。すまんこってす」
頭を掻き掻きのライズさん。
「私こそ、ずっとお手をお借りして、恐縮です」
そんな挨拶を返し、取り急ぎテーブルに走って杯をゲット。
そっとライズさんに渡して、乾杯。
抜けるような秋の空の下。
祝いの席で交わす、エールの味。
うまい、うますぎる。
空が語りかけてくるうまさだ。
日頃どれだけリサさんが頑張っているか合戦を急遽執り行い、リサさんの顔面が紅潮で満ちたタイミングで退散。
それからはあまり会う機会の無かった村人との挨拶ラッシュだ。
こういう機会でもなければ、中々交流出来ない。
ブラック会社時代に培った、顔判断能力を駆使して、顔と名前を頑張って覚えていく。
こういうつながりは、後々になって重要になるのだ。
うん。
ミシマ、覚えた。
色々と上機嫌に説明してくれた。
動物の骨と藁で作られた正体不明なモニュメントに関しては。
どうも、創世神話を模したものらしく、シーンごとに作られているそうだ。
基本的にはあのモニュメントは主神である女神を司っている。
という事は、あの不気味なオブジェは駄女神なのかと思うと暗い笑いが沸き起こってくる。
不気味さを助長しているのが、藁で作られた案山子モドキに古着を着せている事なのだが。
お下がりも出来ないような古着は、あぁやって使うのが習わしだとか。
祭りの最後にオブジェごとキャンプファイヤーで焼却する。
その灰を畑に撒く事により、神の力を土壌に取り込むという事なのだが。
畑に枯渇している栄養素の取り込みに関して、宗教と絡めて毎年きちんと実行出来る形になっているのが偉いなと。
先人の知恵だろうけど、馬鹿に出来ない説得力を持っている。
感心しながら歩を進め村の中心に出てみると。
広場に各家から持ち出したテーブルが所狭しと並んでいた。
上には冷えても困らないものから配膳が始まっている。
子供達と暇な大人がつまみ食いをしようと虎視眈々と狙っているが、お姉様方の鉄壁のディフェンスであえなく撃沈しているのが面白い。
テーブルの群れが囲んでいる中央にはバーベキューコンロのような開放型の竈が築かれており。
串に刺さった肉達が、艶やかな照りをアピールしながらくるくる回っている。
私達が行商に出ている間、リサさんの家族を筆頭に村人の皆さんで狩りまくった努力の成果と聞き、ありがたいなと面映ゆくなってしまった。
あまり交流の無い人達と挨拶を交わしていると、にわかにざわめきが起こる。
美しく着飾った妙齢の女性達が湯気の昇る皿と酒を持って登場したのだ。
古来より祭りとは神事。
神事に付き物なのは、旨い幸と酒、そして出会いなのだ。
その主役となる女性陣が現れた瞬間、男性陣の動きが止まる。
熱に浮かされたような瞳と紅潮した頬に、あぁ、収穫祭だなと笑み崩れてしまった。
と、矍鑠とした老人がゆっくりと歩を進め、中心に位置する。
ちなみにこの老人。
セディスさんとセベルさんのお父さん。
つまり、先代の村長さんだ。
「さぁさ。本来なら祭りなどぉ、どでぇ無理だぁ思ってぇぃたがぁ……」
声を張り上げて、収穫祭の宣言を述べると場はいきなり最高潮を迎えた。
乾杯、乾杯、乾杯三唱。
エールの泡は飛び散り、子供は興奮で泣き叫ぶ。
まごう事無く、田舎の祭りだ。
そのエネルギーを肌で感じ、ぶるると震えてしまう。
人間の原風景。
収穫の喜びを、生の喜びを、いと高き神に感謝を、その思いにどこか感動してしまう。
と、一人しんみりしていると、リサさんと一緒に壮年の男性が一人。
私と同じくらいかなと思って眺めていると、こちらに近づいてくる。
「父です」
リサさんの紹介に、男性の手が伸びてくるので、拳を作ってこつん。
「ライズぃいます。いつもこいつの面倒見てもらってぇ。すまんこってす」
頭を掻き掻きのライズさん。
「私こそ、ずっとお手をお借りして、恐縮です」
そんな挨拶を返し、取り急ぎテーブルに走って杯をゲット。
そっとライズさんに渡して、乾杯。
抜けるような秋の空の下。
祝いの席で交わす、エールの味。
うまい、うますぎる。
空が語りかけてくるうまさだ。
日頃どれだけリサさんが頑張っているか合戦を急遽執り行い、リサさんの顔面が紅潮で満ちたタイミングで退散。
それからはあまり会う機会の無かった村人との挨拶ラッシュだ。
こういう機会でもなければ、中々交流出来ない。
ブラック会社時代に培った、顔判断能力を駆使して、顔と名前を頑張って覚えていく。
こういうつながりは、後々になって重要になるのだ。
うん。
ミシマ、覚えた。
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