精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

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第023話 我が身既に鉄、我が心既に空

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 町の外壁ゾーンを潜り抜け、ヤク達が本気を出そうとしたところで、敢えての停車。

 なんでやねんという二頭の抗議の鳴き声が上がる中、馬車から降りてみる。

 と、そこにシュタッシュタッと精霊さん達が軽やかに現れた。

 いや、君達。

 いつも、なんかテレポーテーション的挙動しとるやん。

 気付いたら、そこにおるやん。

 そんなツッコミはさておき。

『わがみすでに、こてっちゃん』

 じゅーじゅーって焼かれたいお年頃なのかな。

『わがこころ、すでにくくう』

 酢豚が食べたいのかな。

『ごちゅーしん!!』

 という訳で、精霊さんの報告をまとめると。

 どうも怪しいのが二パターン存在していたようだ。

 一つは最近荒稼ぎしている田舎者にちょっかいを出そうとする勢力。

 もう一つは何かを探るか、どうにか謎の薬師に接触しようとしてきている勢力。

 前者は優しく折檻されている(現在進行形)ので、問題無し。

 後者に関しては、不思議パワーで足止めしたりしてたので、問題無し。

 世は並べて事も無し。

 ビバ平穏。

 平和最高。

「何かあったの?」

 訝し気なリサさんに、微笑みを一つ。

「今日も平和です」

 ぱしんと鞭を鳴らしてみた。

 帰路も問題無く順調でした。

 出物を考えれば、帰り道にでも伏兵を置くかなと考えていたけど。

 ベンガロト草はちょっとした林の中でも生えている極一般的な植物なので。

 リサさんの村くらい奥地に行けば良い品質のものが手に入るというだけなのだ。

 そこに必ずしも薬師が向かうとは考えないのだろう。

 でも、そろそろ用心を始めないといけないな。

 なんせブラック企業での経験が警鐘をガンガン鳴らし始めている。

 目立つ杭は乱打せよ、飛ぶ鳥は撃てが合言葉だ。

 力を付けそうな相手は潰すし、儲かりそうな話はしゃぶりつくすのが嗜み。

 そんな世界も存在しているのだ。

 若干黒い雰囲気に苛まれながらも、村の中心まで到着。

 引き続き、大入り満員の人だかり。

 前回は日用品の山に嬉しいという感じだったけど、今回は奢侈品に大歓喜といった感じ。

 居並ぶお姉さま達のひらひらたなびく布に対する視線の鋭さは、物理的な裁断力すら感じるのですよ。

 勿論男性陣は底の方に隠している小樽の群れを目敏くサーチしているのだろう。

 まぁ、なにはともあれ。

「ただいま戻りました」

「おかえりなさい!!」

 挨拶は大切だ。

 相変らず、荷物はリサさんを始め村人の皆さんに任せる。

 今の私に必要なのは休息だとばかりに家に戻った。

 しかし、行ったり来たりばかりで我が家にあんまり滞在出来ないな。

 そんな事を考えながら、眠りに就いた。

 すやすや。

 朝靄が薄く立ち込める、秋の早朝。

 随分と冷え込んだもんだと扉を開けて外を眺めてみると、辺りは一変していた。

 何だか不思議なモニュメントが建ち並び、村の中心に向かって飾りつけられていたのだ。

 半日程度の時間しかなかったのによくやるなと思いながら、朝ご飯を持ってきてくれたリサさんに手を振ってみる。

 さて、収穫祭の始まりかな。

 期待を隠せないリサさんとうごうご蠢く精霊さん達を眺めながら。

 こりゃ、無事には済まないなと一つ確信してみた。
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