士官学校の爆笑王 ~ヴァイリス英雄譚~

まつおさん

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第二十六章「ベルゲングリューン城」(3)

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「ほぁ……」

 ベルゲングリューン城を一通り見て回った冒険者ギルド、イグニア第二支部のソフィアさんが放心状態になっている。
 作戦会議室、と僕が勝手に名付けた円卓の間には、ソフィアさん、商人のギュンターさん、リップマン子爵、それからアルフォンス宰相閣下が座っていた。
 ちなみに、アウローラのコーディネートはソフィアさんとアルフォンス宰相閣下には大好評だった。
 宰相閣下は、僕の身なりを見るなり、ほう、と嘆息して、 

「君は若いのに、伝統と格式というものを正しく理解しているようだ」

 って褒めてもらえた。
 アウローラにコーデしてもらいましたって言ったら、宰相閣下の心臓が止まってしまうかもしれないと思ったので、とりあえず黙っておくことにした。

「伯の話題は商人たちの噂話で尽きることはありませんでしたが……、こんなすばらしいお城をお持ちだとは知りませんでした……。各国の王城でも、これほど壮麗なものはそうそうありますまい……」
「……いえ、それって、大変まずいことだと思うんですが……」

 僕が恨みがましい目でリップマン子爵とアルフォンス宰相閣下を見ると、リップマン子爵はニヤニヤ笑い、宰相閣下は目をそらした。

「ですが、使用人の方はおられないのですか? 伯が淹れてくださったジェルディク産の珈琲コーヒーはたしかに格別でしたが……」
「たしかに……。しばらく見ないうちに腕を上げたようだね」
「私、珈琲をブラックで飲めたのって、初めてかも」

 宰相閣下とソフィアさんがギュンターさんに同意する。

「帝国の首都、リヒタルゼンでいい豆が買えたんです」

 僕は宰相閣下とソフィアさんに微笑んでから、ギュンターさんの質問に答える。

「ご不便をおかけして申し訳ないんですが、これまでも、これからも、僕は使用人を雇うつもりはないんです。ギュンターさん」
「理由をお聞きしても?」
「家ではゆっくりしたいので」

 僕がそう言うと、宰相閣下がこっそり笑った。

「彼の目上の人間に対する礼儀作法はなっていなくてね。とても見ていられない。きっと、自分がそうされるのを嫌うからだろう」
「宰相閣下、それって、どういうことなのですか?」

 ソフィアさんが宰相閣下に尋ねる。

「エリオット陛下は至尊のお方で、ユリーシャ王女殿下は『ヴァイリスの至宝』と呼ばれるお方。最大限の礼節を尽くしてしかるべきだ。当然、我々臣下はそのように接する」
「はい」
「だが、エリオット陛下はかつては大陸に名を馳せる冒険者であり、ユリーシャ王女殿下には同年代の話し相手もおられない。時として、ひたすら礼節を尽くす臣下を寂しそうにご覧になることがある」

 宰相閣下はそう言いながら、僕を指差した。

「この男は、言葉遣いこそ最低限の礼節を保っておるが、陛下への接し方はまるで親戚のおじさんのようだ。私などはいつも側にいて冷や汗が止まらないのだが、この男はこの通り、ふてぶてしいほどにけろっとしておる」
「……わかる気がします」

 ソフィアさんが僕を見て言った。

「ソフィアさん、『偉い人には友達のように、偉くない人には偉い人のように』接するのが僕のポリシーなんです」
「私の胃痛軽減のために、その恐ろしいポリシーを今すぐ変えてくれ。偉い人には偉い人のように接しなさい」

 宰相閣下がげんなりしたように言うけれど、半分以上あきらめが入っているようだ。

「と、まぁ、こういう男でね。規律を守ることよりも、王や王女殿下が真に望まれる態度で臨もうとするところがある。ようするに、この男自身、誰かから阿諛追従あゆついしょうされることを好まないということだ」
「なるほど、よくわかりました。ありがとうございます、宰相閣下」

 ギュンターさんが笑った。

「ギュンターさん、『あゆついしょう』ってナニ?」
「相手のご機嫌を取って、気に入られるために媚びへつらうことです。私たち商人の得意技ですから、ベルゲングリューン伯と接する時には気をつけなければいけませんね」

 片眼鏡モノクルを一度外しながら、商家の若旦那が朗らかに笑う。

「でもたしかに……、ギュンターさんがそういう人だったら、この場にはお呼びしていなかったかも」

 そこまで言ってから、僕はリップマン子爵の方を向いた。

「ところで、リップマン子爵がさっきからずっと黙っているのは、言葉遣いが心配だから?」
「さ、左様でございます」

 アルフォンス宰相閣下は苦笑して、リップマン子爵にひらひらと手を振った。

「この場では気を使わなくともよい。君の故郷言葉くにことばで構わんよ」
「ぷはぁっ……、助かります、宰相閣下」

 リップマン子爵が深呼吸して、一同からどっと笑いが起こった。

「さて、そろそろ本題に入ってはどうかね? ベルゲングリューン伯」

 アルフォンス宰相閣下に促され、僕は話を切り出した。

「えー、先ほどギュンターさんとのお話でもありましたように、私は使用人を雇うことは考えておりません。その理由は、宰相閣下が見事に言い当てられた通りなのですが……」

 僕は苦笑しながら、続ける。

「一方で、この分不相応なお城は、リップマン子爵が悪ノリで作ったせいで部屋数が何百とあり、一部屋ずつ掃除しても1年以上かかる計算になります」
「1年以上……」
「なはは! 悪ノリはひどいっぺよ!」

 悪ノリでこんな建築を短工期で成し遂げてしまうのもヤバいんだけど。
 そういえば、後から知ったんだけど、リップマン子爵はこう見えて土属性魔法の使い手で、建築に役立つ魔法だけに特化して勉強して、『建築魔法』という分野のパイオニアなんだとか。

「そこで、昨日考えて、思い付いたんです。まず、僕はギルドを創設します」
「……ギルド」
「はい。名付けて、『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』です」
「ほう……」

 アルフォンス宰相閣下とギュンターさんが顔を見合わせた。

「ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルドは、今後ベルゲングリューン市の都市開発において必要な区画整理、土地開発、治水、下水処理、農地開墾、商業誘致、交易路の設置、設備建設、防疫・衛生管理、治安維持、その他あらゆる公共事業と、それに付随する様々な雇用の募集および斡旋、監督を行うためのギルドです」
「なるほど……、通例ではその時々で事業ごとに人足を募るものを、窓口を設けて一度に広く募るということかね?」

 アルフォンス宰相閣下の問いに、僕はうなずいた。

「これまで荒野だったベルゲングリューン市をまともな市街地にするためには、従来のやり方では何十年とかかるでしょう。それらの事業をすべてギルドとして一元管理して、広く、常時受注・発注できる仕組みにすれば、雇用は拡大し、人口も増え、都市とまではいかなくても、ちょっとした町並みぐらいにはなるのかな、と」
「「「「……」」」」

 宰相閣下、リップマン子爵、ソフィアさん、ギュンターさんは黙って僕の話を聞いている。
 よし、興味は持ってくれたみたいだ。

「幸いにして、今は若獅子祭の影響で市街には人が溢れかえっています。若獅子祭で少しは名前を知られた僕がそういうことを始めたと知れば、興味を持って見に来てくれる人はいるでしょう」
「謙遜しすぎよ……、殺到するわよ、きっと」

 ソフィアさんが苦笑する。

「少し話は変わりますが、冒険者ギルドでお仕事をさせてもらっていて、ある深刻な問題に気付きました。それは、低難度クエストと高難度クエストの格差です」
「ああ、そうね……」
「どういうことかね?」

 ベテラン職員のソフィアさんは僕の言いたいことをすぐに理解してくれたが、他の三人はよくわからないようだった。

「和平期間が長く続いたこともあって、近年では街道の治安が良くなってきたので、山賊や盗賊団の討伐といった、中堅冒険者にとって手頃なクエストが少なくなってきているんです」

 ソフィアさんが説明してくれた。

「冒険者ギルドの依頼が、初心者向けのクエストと上級者向けクエストばかりになって、中級者向けのクエストがほとんどないということですか?」

 ギュンターさんの問いに、ソフィアさんはうなずいた。

「そうすると、具体的にどんな被害が生じるのでしょうか?」
「まず、近年、中級者の戦死者が急増しています。上級者向けのクエストを無理に受注していることが原因です」
「ああ……」
「あと、中級者が初心者向けのクエストも受注してしまうので、低難易度クエストを冒険者同士で取り合うという、あまり好ましくない状況が続いています」

 その一方で、士官学校クエストのように、普通の冒険者たちから見向きもされないクエストもあったりするから、それはそれでややこしい問題なんだよね。

「今回の『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』は、そうした初級、中級冒険者にとっては魅力的な収入源になるのではないかと思うんです。冒険者ギルドと同じシステムなら、彼らも受注しやすいでしょうし、実際、冒険者ギルドで公共事業の募集をすることだって、これまでにありましたし……」
「天使……、やっぱりあなたは私の天使ちゃんだわ!!!」

 感極まったソフィアさんが突然叫んで、アルフォンス宰相閣下が子猫のようにビクッと背中を震わせた。

「それがうまくいけば……、まともな仕事がなくて悪態を付く中級冒険者の連中が冒険者ギルドからいなくなるのね……」
「はい」

 僕はソフィアさんにニッコリと笑った。

「で、ここからが本題です」

 僕は4人を見渡した。

「平日の午前から夕方まで、我がベルゲングリューン城の一階を一般開放します」
「へっ?」
「なんと……」
「一階の大広間で仕事の受注ができるようにして、『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』の本部とします」
「おおっ……」
「『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』の業務で必要となるだけの部屋はすべてお貸ししますし、その目的はベルゲングリューン市の開拓ですから、当然ながら家賃も取りません」
「す、すごい……、冒険者ギルドのお家賃もヴァイリス王国から徴収されているのに……」
「コ、コホン」
「あ、も、申し訳ありません、宰相閣下……」

 気まずそうに咳払いをした宰相閣下に、ソフィアさんが慌てて頭を下げた。

「この『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』のギルドマスターは、あなたです。ソフィアさん」
「えっ?! えええええええっ!? きゃ、きゃあっ!!!」

 ソフィアさんが驚きのあまり椅子を大きく浮かせ、そのまま後ろに落下しかけたところをリップマン子爵がその恰幅のいい身体からは想像もつかないような、おどろくべき素早さで制止した。
 たぶん、ソフィアさんの身を案じたというよりは、入魂の椅子が破損するのを阻止したに違いない。

「ソフィアさんの事務処理能力の高さ、責任感の強さ、精神的なタフさは冒険者ギルドで見てきたから知っています。今の冒険者ギルドから貴女を引き抜くことは心苦しいですし、支部長からも恨み言を言われそうですけど、でも、『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』が立ち上がれば、イグニア第二支部もきっと、ラクになると思うんです」
「それは……きっとそうでしょうね。うん、間違いなくそうなると思うわ」
「僕にはソフィアさんしかいないんです。ソフィアさんじゃないとダメなんです。どうにか、お願いできないでしょうか」
「……その言い方は、ずるいわよ……」

 条件面やいくつかの確認を済ませた後、ソフィアさんは顔を紅くしながら承諾してくれた。

「……ところで、とても素晴らしいお話で、ベルゲングリューン伯の非凡さをまざまざと見せつけていただいたのですが、私を招聘していただいたのには、他にも理由がおありなのでは?」

 『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』の話が一段落ついたところで、ギュンターさんが僕に尋ねた。

「実はそうなんです。ギルドで一階の部屋のいくつかを使うにしても、まだ死ぬほど部屋が残っているわけです」
「ええ、そうでしょうね……」
「『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』が賑わいを見せれば、人が集まってくる。せっかく人が集まっても、この辺には何もないわけですよ。ほら、イグニアの片田舎だし、ベルゲングリューン市もこれからだし……」
「ハッ……、ま、まさか……」

 ギュンターさんが大きく目を見開いて、片眼鏡がぽろ、と落ちたが、本人はそんなことなどまったく気にせずにこちらを凝視した。

「ベルゲングリューン城の1階を商店街にします」
「「「は?」」」

 真意を悟ったギュンターさん以外の三人が、ぽかん、と口を開けた。
 ギュンターさんは興奮で身体を震わせている。

「飲食店をしたいお店には厨房もお貸ししましょう。城内だけで『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』の職員を含む利用者が必要とする物が全て揃うような商店街にします」
「城下町というのはあるが……、城内を商店街に……」

 アルフォンス宰相閣下が唸った。

「ギュンターさんはそのためにお呼びしました。我が城にふさわしい商店のピックアップと誘致を、ギュンターさんにお願いできればな、と」

「……あ、あなたは……」

 ギュンターさんが勢いよくガタン、と立ち上がったので、椅子が大きく傾いた。
 その瞬間、リップマン子爵がダイビングして倒れかけた椅子をキャッチした。

「あなたは商人になるべきです!!! もう冒険者なんて危険な稼業の道はやめて、私と商人の道を歩みましょう!!」
「あはは、その反応は、快諾いただけると考えて良いですか? ちなみに、条件についてはこちらの羊皮紙にまとめておきました」
「こんな申し出を断るぐらいなら、商人など志すべきではありませんよ!」

 ギュンターさんはそう言いながら、羊皮紙の内容を確認する。

「条件面も問題ありません。もう少し取っても良いのでないですか?」
「いや、十分でしょう。最初に質のいいお店が揃うことが一番重要だと思います。二番乗り以降は条件を上げていきます」
「そうすると、今後ベルゲングリューン伯の提案には誰もが一番乗りを狙うようになる。なるほど……いや、あなたは策士ですな……」
「そういうわけなので、リップマン子爵。せっかく完成したところ申し訳ないんだけど、お城の一階を、『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』と各商店が出店できるように、ざっと改装してもらえないかな?」

 僕がそう言うと、リップマン子爵はどん、と自分の胸を叩いた。

「おやすい御用だっぺよ! 元々、一階は伯爵様がなんぞどえらいことを思い付いた時のために、改装しやすい設計にしとるからね」
「そうだったの?」
「まぁ、まさかお城ん中を商店街にするとまでは思わんかったけどな、わはは!!!」

 リップマン子爵が朗らかに笑うと、他の三人も同じように笑った。

「さて……、これが今回の一番重要なポイントなのですが……」

 僕は四人を見渡しながら言った。

「『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』の職員、それから各商店には、『ベルゲングリューン城内会』に入っていただきます」
「ベルゲングリューン城内会……?」

 ソフィアさんが怪訝そうに首をかしげる。

「そう、城内会。要するに、『みんなでお城をキレイに使おうね』という会です。会の役割は、城内外の分担清掃、ゴミ等の廃棄物の処理、その他。とにかくお城の一階部分をピカピカに保つことです」

 僕はそう宣言した。

「『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』は家賃免除、各店舗も緩めの条件にしていますが、その代わり、城内会のルールは絶対厳守です。お城をキレイに使ってくれない場合は、警告なしで強制退去にします」
「ぷっ……、ふふふふっ、わははははははははははっ!!!」

 それまで大人しく聞いていたアルフォンス宰相閣下は、とうとうこらえきれないという風に笑い始めた。

「つまり、君はあれかね。使用人を雇いたくないという理由だけで、ここまでの計画を立てたということか? ギルドを設立し、彼らと商店の連中に、城内を管理させるために……」
「さすが宰相閣下。……バレちゃいましたか」
「くくくっ……まったく君というやつは……うわははははははっ!!!」
「『ベルゲングリューン市開拓事業推進ギルド』の営業時間は平日の午前から夕方まで。商店の営業時間もそれに準じるので、僕が士官学校から帰る頃には毎日お掃除が終わってお城はピカピカの状態です。キレイなお城に一人でのんびり過ごせますし、週末は誰も来ないので、宰相閣下もこれまで通り、釣りを楽しんでいただくことができます」
「素晴らしい。実は君の計画を聞いていた時、もう釣りができないのではないかと気が気でなかったのだよ」

 にっこりと笑うアルフォンス閣下を、ソフィアさんがびっくりしたように見て、それから僕の方を見た。
 僕が心の中で考えていることを知ったら、ソフィアさんはもっとびっくりするだろうな。

 ベルゲングリューン市が市として完成した暁には……。
 ソフィアさんには市長になってもらうつもりでいるのだ。
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