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『あなたならどう生きますか?~両想いを確認した直後に「余命半年」の宣告を受けました~』
1-27「三郎の母親」
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「三郎の母親」
稀世の後ろに立ち、鏡台の鏡越しに、確認をしながら、直がメイクを進めていく。最初は、年寄りのするメイクに不安があったが、決して古臭いものでなく、現代の若者にあった自然なメイクと、その時々の直の心遣いが心地よかった。
「直さん、ところで、三朗さんのお母さんの遺影の写真と、直さんってちょっと似てはりますよね。」
「そうかいな。」
「はい、なんとなく輪郭とか目鼻立ちが似てるような気がして。サブちゃんのお父さん、お母さん、生きてはったら、私、謝らないかんかったかなって思って、代わりに直さんに聞いてもらえたら、サブちゃんのお母さんに話をした気になれるかなって。」
うっすらと涙を浮かべている稀世に、直が優しく言葉をかけた。
「謝らないかん事ってなんや。わしでよかったら、聞いとくで。」
「じゃあ、お言葉に甘えて、サブちゃんのお父さんとお母さんに聞いてもらってるつもりで話させてもらいます。私、安稀世は、三朗さんの事が大好きです。三朗さんも私の事を好きと言ってくれました。
今回、直さんのおかげで、結婚することになりました。お父さん、お母さん、先にひとつお詫びしておきます。私、あと半年の命しかありません。三朗さんを半年後にはバツイチにしてしまいます。お父さん、お母さん、生きてはったら、こんなポンコツな女やったら、きっと三朗さんの事、「やられへんわ」って、きっと言わはったと思います。
だから、謝ります。こんなポンコツな女ですけど、最後まで、三朗さんといっしょに居させてください。三朗さんには。迷惑と負担をたくさんかけるかもしれませんが、どうか、お許しくださいね。以上です。」
稀世の後ろで、直の手が止まり、肩が震えている。直の頬に涙がつたう。
「稀世ちゃん、あんたほんまに優しいなぁ。あほボン三朗にはもったいなさすぎる嫁や。ただ、ひとつ、あんた間違えてることがある。」
「えっ、なんですか?」
「今から話すことは、絶対に三朗に内緒にできるか?まりあちゃんも。」
ふたりは、顔を合わせ、アイサインをかわし、そっと頷いた。
直がゆっくりと話し出した。
「三朗には、三十年内緒にしてきてんねんけど、三朗の母親、ひろ子は、実はわしの娘なんや。驚いたか?このばばあが三朗のほんまの祖母やねん。三朗は、そんなこと全く知らんから、「商店街のうるさいばばあ」としか思ってないけどな。少し長くなるけどええか?」
稀世は、驚きが隠せなかったが、三朗の事を知りたかったことと、「私を家族」と言ってくれた直の事も詳しく知っておきたいと思い、黙って頷いた。
直の話によると、五十二年前。1969年、直は商店街の中の菅野電気店に十七歳で嫁ぎ二年目だった。初めての子供をお腹に宿し、幸せの絶頂にあった。当時の日本は高度成長にあり、ベトナム戦争への反戦デモで荒れる東京や大学以外は、平和でのんびりとしていて、門真駅東商店街はまだニコニコ商店街となる前で、今の倍以上、賑わっていた。
直には、七歳年上の姉がおり、近所の大きなレンコン農家に嫁いでいた。姉は、結婚して五年、子宝に恵まれず、その家の舅、姑から、「子をよお産まん、嫁は農家には不要じゃ。」と毎日のように、いけずをされていた。そんな、直の姉に長男の夫は優しくしてくれていたが、その親を黙らすことはできなかった。
そこで、直の最初の子を姉の家に養女に出すことになったという。「ひろ子」と名付けられた、直の長女は、菅野家の戸籍に入ることなく、姉の家の子として育つこととなった。レンコン農家で家は潤っており、建前上初孫となったひろ子を直の姉の義父、義母はかわいがってくれた。しかし、ひろ子が十七歳の時、義父が相場に失敗し、農業の権利を売却せざるを得なくなった。
1986年、バブル直前の新築ラッシュに合わせ、当時の防燃材として建築資材として重宝されていた、アスベスト建材の工場を残った畑に立て、再建を図った。時代の流れも追い風になり、工場はフル回転で、十七歳のひろ子も日々、家の仕事を手伝い、高校を卒業と同時に、フルタイムで土日の休みも無く家業にいそしんだ。
ひろ子が喀血したのは、高校を卒業した最初の夏だった。アスベストによる健康被害が問題になる前で、病院に行っても原因のはっきりしない肺病扱いで、治療は進まず、体調は日に日に悪くなっていった。直の姉もひろ子のことを心配したが、受注の業務の忙しさから、ひろ子は働かざるを得ず、ある日ついに入院することになった。
当時、ひろ子の楽しみは、月に一度、向日葵寿司でお寿司を食べることだった。当時の向日葵寿司は、初代の大将が店を切り盛りし、三朗の父が修行に入り二年目だった。ひろ子と三朗の父は、非常に仲が良く、「寿司職人として一人前になったら結婚しよう。」と将来を誓い合う間柄になっていた。
そんな中、突然のひろ子の入院に驚いた三朗の父は、病院に飛び込んだ。偶然、直も居合わせた病室で聞いたのは、「ひろ子は、あと五年は生きられない。」との厳しい医師の宣告だった。ひろ子は、三朗の父に、「私の事はもう忘れて。」と別れを告げたが、当時二十一歳の三朗の父は諦めなかった。三十五歳で娘ふたりの母親であり、そして電気屋の女将としてだけでなく、商店街でも活躍していた直に相談した。「うちの親父と直の姉の家を説得してほしい。」ということだった。
直は、「余命五年のひろ子と一緒になるのは、あんたにとって重荷になる話やから、考え直しや。」と言ったが、聞く耳を持たず、三朗の父は結婚へと突っ走った。ひろ子もその思いに押し切られ、その翌月に両家の親の反対を無視してふたりで入籍した。飲食店の嫁が喀血しては、客が離れると初代大将も最初、眉をひそめたため、安月給の中、ふたりは激安アパートを借り、三朗の父は向日葵寿司に通い、ひろ子は自宅療養に努めた。
奇跡的にひろ子の体調は一時的にやや改善し、喀血は止まった。その年に、ふたりの間に三朗が生まれた。ひろ子は「一郎」とつけようと言ったが、「郎」の字で赤ん坊が「いい男に育つ」より、「朗」の字は「ほがらか」の意味があり、「三人でほがらかに仲良くずっと長生きしよう。」との三朗の父の意見で、長男であるにもかかわらず「三朗」と名付けられた。ひろ子は、完治しきらない体調にもかかわらず、三朗を大事に育て、三年を迎えた。三朗の七五三のお参りの際に、家族みんなでおみくじを引いた。ひろ子のおみくじは「末吉」で健康運「気を付けるべし」と出た。
二十二歳を迎えたひろ子は、病院の定期診断で、肺がんが発見された。「やっぱり、余命五年やったんか。」とひろ子は落ち込んだが、三朗の父と幼少の三朗に励まされ、結果的に、三朗が高校に入るまで家族と一緒に向日葵寿司の二階で生活した。わずか、十七年弱の結婚生活だったが、ひろ子は笑顔で旅立っていった。三朗の父も三朗もひろ子を笑顔で送った。
直の話は、そこでいったん止まった。しばらくして稀世に優しく語りかけた。
「稀世ちゃん、三朗が「余命半年」と言われたあんたと結婚するって言って、譲れへんのは、父親と母親の姿を見てきたからやろな。三十一年前に、三朗の父親が、ひろ子が「あと五年の命」と言われて、諦めてたら、自分は生まれていないこともあるやろうし、五年と言われたひろ子の命が、家族の愛に支えられ、十七年の思い出を残せたちゅうことがあるんやろな。
そんで、三朗の頭の中には、その生活に涙は無く、何より、ひろ子が笑って旅立ち、家族も笑って送った、幸せな生活を稀世ちゃんとも送りたいと考えての事やと思うわ。
そんなんやから、稀世ちゃん、安心しいな。三朗の父親も母親のひろ子も、稀世ちゃんが三朗と結婚することに対しては、絶対天国で喜んでっからな。「余命半年上等」ってな。それは、わしが保証したる。わしの話は以上や。」
話終わった直は、鏡を見て、血の気が引いた。手がわなわなと震え、真っ青な顔をして叫んだ。
「あかん、稀世ちゃん!あんた何泣いてんねん。化粧、やり直しやないか!まりあちゃんも目、解け落ちてんで!あー、もう六時二十五分や、急いで直さな!」
稀世の後ろに立ち、鏡台の鏡越しに、確認をしながら、直がメイクを進めていく。最初は、年寄りのするメイクに不安があったが、決して古臭いものでなく、現代の若者にあった自然なメイクと、その時々の直の心遣いが心地よかった。
「直さん、ところで、三朗さんのお母さんの遺影の写真と、直さんってちょっと似てはりますよね。」
「そうかいな。」
「はい、なんとなく輪郭とか目鼻立ちが似てるような気がして。サブちゃんのお父さん、お母さん、生きてはったら、私、謝らないかんかったかなって思って、代わりに直さんに聞いてもらえたら、サブちゃんのお母さんに話をした気になれるかなって。」
うっすらと涙を浮かべている稀世に、直が優しく言葉をかけた。
「謝らないかん事ってなんや。わしでよかったら、聞いとくで。」
「じゃあ、お言葉に甘えて、サブちゃんのお父さんとお母さんに聞いてもらってるつもりで話させてもらいます。私、安稀世は、三朗さんの事が大好きです。三朗さんも私の事を好きと言ってくれました。
今回、直さんのおかげで、結婚することになりました。お父さん、お母さん、先にひとつお詫びしておきます。私、あと半年の命しかありません。三朗さんを半年後にはバツイチにしてしまいます。お父さん、お母さん、生きてはったら、こんなポンコツな女やったら、きっと三朗さんの事、「やられへんわ」って、きっと言わはったと思います。
だから、謝ります。こんなポンコツな女ですけど、最後まで、三朗さんといっしょに居させてください。三朗さんには。迷惑と負担をたくさんかけるかもしれませんが、どうか、お許しくださいね。以上です。」
稀世の後ろで、直の手が止まり、肩が震えている。直の頬に涙がつたう。
「稀世ちゃん、あんたほんまに優しいなぁ。あほボン三朗にはもったいなさすぎる嫁や。ただ、ひとつ、あんた間違えてることがある。」
「えっ、なんですか?」
「今から話すことは、絶対に三朗に内緒にできるか?まりあちゃんも。」
ふたりは、顔を合わせ、アイサインをかわし、そっと頷いた。
直がゆっくりと話し出した。
「三朗には、三十年内緒にしてきてんねんけど、三朗の母親、ひろ子は、実はわしの娘なんや。驚いたか?このばばあが三朗のほんまの祖母やねん。三朗は、そんなこと全く知らんから、「商店街のうるさいばばあ」としか思ってないけどな。少し長くなるけどええか?」
稀世は、驚きが隠せなかったが、三朗の事を知りたかったことと、「私を家族」と言ってくれた直の事も詳しく知っておきたいと思い、黙って頷いた。
直の話によると、五十二年前。1969年、直は商店街の中の菅野電気店に十七歳で嫁ぎ二年目だった。初めての子供をお腹に宿し、幸せの絶頂にあった。当時の日本は高度成長にあり、ベトナム戦争への反戦デモで荒れる東京や大学以外は、平和でのんびりとしていて、門真駅東商店街はまだニコニコ商店街となる前で、今の倍以上、賑わっていた。
直には、七歳年上の姉がおり、近所の大きなレンコン農家に嫁いでいた。姉は、結婚して五年、子宝に恵まれず、その家の舅、姑から、「子をよお産まん、嫁は農家には不要じゃ。」と毎日のように、いけずをされていた。そんな、直の姉に長男の夫は優しくしてくれていたが、その親を黙らすことはできなかった。
そこで、直の最初の子を姉の家に養女に出すことになったという。「ひろ子」と名付けられた、直の長女は、菅野家の戸籍に入ることなく、姉の家の子として育つこととなった。レンコン農家で家は潤っており、建前上初孫となったひろ子を直の姉の義父、義母はかわいがってくれた。しかし、ひろ子が十七歳の時、義父が相場に失敗し、農業の権利を売却せざるを得なくなった。
1986年、バブル直前の新築ラッシュに合わせ、当時の防燃材として建築資材として重宝されていた、アスベスト建材の工場を残った畑に立て、再建を図った。時代の流れも追い風になり、工場はフル回転で、十七歳のひろ子も日々、家の仕事を手伝い、高校を卒業と同時に、フルタイムで土日の休みも無く家業にいそしんだ。
ひろ子が喀血したのは、高校を卒業した最初の夏だった。アスベストによる健康被害が問題になる前で、病院に行っても原因のはっきりしない肺病扱いで、治療は進まず、体調は日に日に悪くなっていった。直の姉もひろ子のことを心配したが、受注の業務の忙しさから、ひろ子は働かざるを得ず、ある日ついに入院することになった。
当時、ひろ子の楽しみは、月に一度、向日葵寿司でお寿司を食べることだった。当時の向日葵寿司は、初代の大将が店を切り盛りし、三朗の父が修行に入り二年目だった。ひろ子と三朗の父は、非常に仲が良く、「寿司職人として一人前になったら結婚しよう。」と将来を誓い合う間柄になっていた。
そんな中、突然のひろ子の入院に驚いた三朗の父は、病院に飛び込んだ。偶然、直も居合わせた病室で聞いたのは、「ひろ子は、あと五年は生きられない。」との厳しい医師の宣告だった。ひろ子は、三朗の父に、「私の事はもう忘れて。」と別れを告げたが、当時二十一歳の三朗の父は諦めなかった。三十五歳で娘ふたりの母親であり、そして電気屋の女将としてだけでなく、商店街でも活躍していた直に相談した。「うちの親父と直の姉の家を説得してほしい。」ということだった。
直は、「余命五年のひろ子と一緒になるのは、あんたにとって重荷になる話やから、考え直しや。」と言ったが、聞く耳を持たず、三朗の父は結婚へと突っ走った。ひろ子もその思いに押し切られ、その翌月に両家の親の反対を無視してふたりで入籍した。飲食店の嫁が喀血しては、客が離れると初代大将も最初、眉をひそめたため、安月給の中、ふたりは激安アパートを借り、三朗の父は向日葵寿司に通い、ひろ子は自宅療養に努めた。
奇跡的にひろ子の体調は一時的にやや改善し、喀血は止まった。その年に、ふたりの間に三朗が生まれた。ひろ子は「一郎」とつけようと言ったが、「郎」の字で赤ん坊が「いい男に育つ」より、「朗」の字は「ほがらか」の意味があり、「三人でほがらかに仲良くずっと長生きしよう。」との三朗の父の意見で、長男であるにもかかわらず「三朗」と名付けられた。ひろ子は、完治しきらない体調にもかかわらず、三朗を大事に育て、三年を迎えた。三朗の七五三のお参りの際に、家族みんなでおみくじを引いた。ひろ子のおみくじは「末吉」で健康運「気を付けるべし」と出た。
二十二歳を迎えたひろ子は、病院の定期診断で、肺がんが発見された。「やっぱり、余命五年やったんか。」とひろ子は落ち込んだが、三朗の父と幼少の三朗に励まされ、結果的に、三朗が高校に入るまで家族と一緒に向日葵寿司の二階で生活した。わずか、十七年弱の結婚生活だったが、ひろ子は笑顔で旅立っていった。三朗の父も三朗もひろ子を笑顔で送った。
直の話は、そこでいったん止まった。しばらくして稀世に優しく語りかけた。
「稀世ちゃん、三朗が「余命半年」と言われたあんたと結婚するって言って、譲れへんのは、父親と母親の姿を見てきたからやろな。三十一年前に、三朗の父親が、ひろ子が「あと五年の命」と言われて、諦めてたら、自分は生まれていないこともあるやろうし、五年と言われたひろ子の命が、家族の愛に支えられ、十七年の思い出を残せたちゅうことがあるんやろな。
そんで、三朗の頭の中には、その生活に涙は無く、何より、ひろ子が笑って旅立ち、家族も笑って送った、幸せな生活を稀世ちゃんとも送りたいと考えての事やと思うわ。
そんなんやから、稀世ちゃん、安心しいな。三朗の父親も母親のひろ子も、稀世ちゃんが三朗と結婚することに対しては、絶対天国で喜んでっからな。「余命半年上等」ってな。それは、わしが保証したる。わしの話は以上や。」
話終わった直は、鏡を見て、血の気が引いた。手がわなわなと震え、真っ青な顔をして叫んだ。
「あかん、稀世ちゃん!あんた何泣いてんねん。化粧、やり直しやないか!まりあちゃんも目、解け落ちてんで!あー、もう六時二十五分や、急いで直さな!」
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