あなたならどう生きますか?両想いを確認した直後の「余命半年」宣告

M‐赤井翼

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『あなたならどう生きますか?~両想いを確認した直後に「余命半年」の宣告を受けました~』

1-28「結納式」

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「結納式」
 六時三十分。三朗は、笹井の指示に合わせ、ふたつのテーブルをつないだ席の奥に座って、結納の段取り書を何度も読み返していた。テーブルには、関西式に結納品が並べられている。トントントンと階段を降りる音が聞こえてきた。
 赤い生地に金糸、銀糸で鮮やかな刺繍が施された、振袖で直に手を引かれ、稀世が姿を見せた。後ろにまりあも続いている。
「き、綺麗や…。」
三朗は、立ち上がり、口がふさがらない状態で、あほずらをさらしている。
「三朗、そんなん言われたら、わし照れるがな。」
と直がふざけて返すと、みんな大笑いした。
「あ、あほーっ!だ、だれが、直さんに言うてんねん。稀世さんに言うてるに決まってるやないか。」
「あほ、サブちゃん、みんなの前で、恥ずかしいからやめて。」
と稀世が照れながら、三朗の前の席に着いた。稀世の横には、まりあが座わり、三朗の横には直が座った。笹井が大きなカメラを持ち、写真を撮ってくれている。
 直がかしこまって
「このたびは稀世様と、私どもの三朗との縁談をご了承くださいまして、ありがとうございます。本日はお日柄もよろしく、結納の儀を執り行わせていただきます。」
と発声し、皆に頭を下げた、三人もそれに続いた。
「長井家からの結納の品でございます。幾久しくお納めください。」
「ありがとうございます。幾久しくお受けします。稀世からの請書でございます。幾久しくお納めください。」
「(中身を確認して)相違ございません。お受けいただきありがとうございました。」
直が目録をまりあに渡し、まりあが請書を直に渡し、双方が口上を交わした。
 続いて、三朗が緊張で裏返った声で
「け、結婚記念品として、稀世さんに婚約指輪をお送りします。皆さんの前でお披露目させてください。」
と言った瞬間、みんなから笑い声が漏れた。三朗と稀世は立ち上がり、三朗が、稀世の左手を取り、母親の形見の指輪を稀世の薬指にゆっくりと入れた。直とまりあが拍手を送った。まりあは、涙ぐんでいる。
「本日は誠にありがとうございました。おかげさまで無事に結納を収めることができました。今後とも末永くよろしくお願いします。」
「こちらこそありがとうございました。今後とも末永くよろしくお願いいたします。」
と直とまりあが中締めの言葉を発し、三朗と稀世が立ち上がった。
「本日は私たちのために、このような席を設けていただき、ありがとうございました。これからふたりで力を合わせて幸せな家庭を築いてまいります。今後とも温かく見守っていただきますよう、よろしくお願いします。」
とふたりで、直とまりあに宣言した。そこで三朗が
「ちょっといいですか。これは僕からなんですけど。」
と言って、カウンターの裏からふたつの花束を出した。広義と徹三に最初に稀世に送ったひまわりを買った檜生花店に受け取りに行ってもらった花束だった。最初に直、そしてまりあに「ピンクのバラとかすみ草」の花束を渡した。
「今日は、本当にありがとうございました。花屋の檜與平ひのきよへいさんの奥さんからの受け売りですが、ピンクのバラとかすみ草の花言葉は、「感謝」です。おふたりの協力なしには、稀世さんと結婚することはできませんでした。本当にありがとうございました。そして、これからも若輩者の私たちを支えてください。よろしくお願いします。」
とふたりに頭を下げた。
「あほボンの三朗にしては、やるやないか。」
「サブちゃん、ありがとう。そしておめでとう。稀世の事、頼むね。」
とふたりから言葉をもらった。そして、もう一度、カウンターの裏に行き、抱えるような大きさの花束を取り出した。「大量の向日葵とカミツレ」の花束だった。
「おっ、それもわしにか?」
直が茶化した。三朗は苦笑いしたが、すっと真面目な顔になり、
「すんません、これは、稀世さんにです。稀世さんと初めて会った日は、一本の向日葵で始まりました。一本の向日葵の花言葉は「一目惚れ」でした。今日は九十九本の向日葵とカミツレの花束を送らせていただきます。九十九本の向日葵の花言葉は、「永遠の愛、ずっといっしょに居よう」です。そしてカミツレの花言葉は「安らぎ」です。僕の親父とおかんがそうであったように、決して金銭的には裕福ではありませんが、毎日、笑顔で安らかに過ごせるように稀世さんを守っていきますので、どうか受け取ってください。」
と稀世に花束を差し出した。稀世も感極まって、眼に涙を浮かべ、
「サブちゃん、ありがとう。サプライズってこれの事やったんやね。一生の思い出にするわ。ほんまにありがとう。」
と花束を受け取った。笹井が
「はいこっち向いて。」
と写真を撮ってくれた。最後に全員で
「今後とも末永くよろしくお願いします。」
と締めた。
 稀世が隣のまりあに
「まりあさん、本当にお世話になりました。そして、ありがとうございました。」
と抱擁する姿を見て、三朗と直もほろっと来た。
「じゃあ、写真撮りますから、お店の前に移りましょう。」
と笹井が声をかけて、店の引き戸を開けると、パパーン、パパパパパーンとクラッカーが鳴り、一斉に、「三朗くん、稀世さん、おめでとうございまーす。」
と広義、徹三を先頭に、商店街のみんなが集まっていてくれた。笹井がみんなを前に
「まずはおふたりで。続いて四人で。そして、みんなで集合写真を撮りましょう。ご協力の程、よろしくお願いしますねー。」
と言い記念写真の段取りに入った。みんな笑顔だった。




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