ギロチン悪役令嬢の異世界配信~断罪回避するために幼少期から配信したら、色んな人から慕われる。え、スパチャでスキルが買えるんですか!?

大福金

文字の大きさ
8 / 11

リリーローズ

しおりを挟む
 色々と考えた結果、アルビダは直接聞くことにした。
 このままでは、良いアイデアも浮かんでこないまま、ただ時が過ぎていくだけ。
 
「あのうジェイデン様、妹のジュリア様のことが心配で、お茶会どころではないのですよね?」
「……えっ、確かにジュリアのことは心配なのですが……」

〝しまった……表情に出ていたのか?……考えを悟られるなんて失態だ〟

 ジェイデンは、自分が心ここに在らずだった事をアルビダに気付かれ、情けなく思い少し落ち込んでしまう。

 心の声が聞こえたから、内心がわかっただけで……。
 もっと違う言い回しをしたら良かった。
 どうしましょう。ええとええと……。

「あっ、いえその……表情に出ていたわけではなくて、ジェイデン様はお優しいので、大切な妹のジュリア様が病に伏せっていたら、きっと心配でお茶会どころではないかなと思いまして……」

〝ああ……なんだそういう事か……って! 僕は表情に出ていたのかって、言葉に出していたのか。そっちの方が恥ずかしいぞ〟

 今度は右手で口元を押さえ黙り込むジェイデン。耳だけ少し赤く染まっていた。

「そうではなっ……」
「え?」
「なんでもないです」

 危ない危ないですわ。そうではなくて、心の声が聞こえるだけです! と良いそうになってしまいましたわ。

〝とりあえず落ち着け。冷静に、動揺していたらアルビダ嬢を困らせてしまう〟

「んんっ、すまないね。気を使わせてしまって」

 ……何だかこちらこそすみません。

「いえ、大丈夫です」
「その……。アルビダ嬢の言ってる通り、僕は妹のことが心配で……」
「だって大切な妹さんなんですもの、心配なのは当たり前です」
「ありがとう。ただの病ならここまで心配しないんだ。謎の病にかかったみたいでね。病名が分からないんだ」

 ジェイデンは唇を軽く噛み締めた後、少し俯き深呼吸をした。
 呼吸を整え、心を落ち着かせたいのだろう。

「何人もの治癒師を呼び治療をして貰いましたが、病相が分からないことには治癒のしようがないのだと、全員から言われました。怪我や欠損まで治せる治癒師でさえ匙を投げた」
「そんな……でも分かります。わたくしのお母様の病気も、治癒師の方は治せませんでした。ですから……わたくしの夢はお母様の病気を治すことでした……っ」

 母を思い出したのだろう。アルビダは今にも泣きそうな瞳をしている。
 
「アルビダ嬢……」

 そんなアルビダを切なそうに見つめるジェイデン。自分と姿を重ねているようにも見える。

「え?」
「泣きたい時は我慢しなくて良いんですよ?」

 ジェイデンが優しくアルビダの頭を撫でた。

「ふぇ…… あっ、ありがとうございます」

 わたくしにお兄様はいませんが、いたらこんな感じでしょうか?
 何だか嬉しくて泣きそうですが、妖精さんに泣くのはダメだと言われました。どうにか心を落ち着かせるのです。

「わたくしは大丈夫です。大丈夫じゃないのはジェイデン様ですよね? 妹さんの所に行ってあげてください。今はそれが最優先です」

 アルビダは両手を胸の前で強く握り締め鼓舞する。

「アルビダ嬢……すまないね。甘えさせて貰うね」

 ジェイデンは再びアルビダの頭をふんわりと撫でた後、急いでその場を去って行った。

「このお礼は必ずするからね」

 ジェイデン様の妹ジュリア様の病気が治りますように。

 さてと、わたくしは会場に戻りましょう。

 アルビダは再びお茶会の会場に戻るのだった。



 ★★★


 何だか、あの場所だけすごく賑わっていますわね。

 会場に戻ると、多くの人が集まっているグループが目にとまる。
 気になりアルビダはその場所に近寄ると、どうやら一人の少女にたくさんの少女たちが群がっているようす。

 なるほど、中央にいる女性にみなさまが注目していますのね。
 着ているドレスのデザインが、他の人たちと少し違うようにも思います。オレンジ色の髪色に緑色の瞳……?

 ————あれ!?

 中央にいる方は……もしかしてリリーローズ様では!?
 
 アルビダはこの少女がリリーローズかもと思い、思わず一歩前に出たことで中央にいる少女と目があう。
 次の瞬間アルビダと目があった少女の頬が桃色に染まる。

「真紅に煌めく薔薇のように美しい髪……ああっ、あなた様はアルビダ・イングリットバークマン様ですか!?」

 少女が少し小刻みに震えながら、アルビダに話しかけた。
 そのことにより、その場にいた人の視線がアルビダに集中する。
 急に自分が注目されアルビダは、どうして良いのか分からず言葉に詰まる。
 大勢の人に見られてると思うだけで、恥ずかしくて耳まで赤く染まっていく。

 どうしましょう、こんなに注目されるなんて。
 でもお返事をしないのは失礼ですわ。

「イングリットバークマン公爵家が娘。アルビダ・イングリットバークマンです。皆様、仲良くしていただけますと嬉しいです」

 アルビダは恥ずかしいのを必死に堪え、精一杯挨拶のカーテシーを披露した。
 そんなアルビダの姿を、話しかけてきた少女は瞬きもせず、じっと見つめている。その姿はまるで、一瞬ひとときもアルビダの姿を見逃さないようにと見ているかのよう。

「あああっ、なんてなんて美しいのでしょう! 想像が掻き立てられますわ! アルビダ様とお呼びしてもよろしいですか? あっ、自己紹介がまだでしたっ! 私はシュトロン侯爵家が娘リリーローズ・シュトロンと申します! アルビダ様! 是非是非仲良くしてくださいませ!」

 頬を染め、鼻息荒く話しながら、興奮気味にアルビダに近寄るリリーローズ。

「ふぇ!?」

 そんなリリーローズに圧倒され、アルビダはどうして良いのか分からず固まってしまった。


 妖精さん? 
 リリーローズ様にお会いしましたが、わたくしの想像と違っていたのですが……あのう……本当に……仲良くして、大丈夫ですのよね?


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

王太子妃に興味はないのに

藤田菜
ファンタジー
眉目秀麗で芸術的才能もある第一王子に比べ、内気で冴えない第二王子に嫁いだアイリス。周囲にはその立場を憐れまれ、第一王子妃には冷たく当たられる。しかし誰に何と言われようとも、アイリスには関係ない。アイリスのすべきことはただ一つ、第二王子を支えることだけ。 その結果誰もが羨む王太子妃という立場になろうとも、彼女は何も変わらない。王太子妃に興味はないのだ。アイリスが興味があるものは、ただ一つだけ。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される

さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。 慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。 だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。 「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」 そう言って真剣な瞳で求婚してきて!? 王妃も兄王子たちも立ちはだかる。 「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。

【完結】記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。

ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。 毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。

処理中です...