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アルビダ様、推しです!
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「さぁさぁ、アルビダ様こちらの席に座ってくださいませ」
「あっ、ありがとうございます」
リリーローズに促され、椅子に座るアルビダ。目の前の丸いテーブルにはたくさんのお茶菓子が並べられてあり思わず「ほうっ」感嘆の声がもれる。
赤、青、黄色……と色とりどりのお茶菓子に目を奪われている時に、ふと何かを感じ取り気になった方角に目線を送ると、対面の席に座っているリリーローズがアルビダを凝視していた。
「あの……リリーローズ様?」
「あっ、私ったらアルビダ様があまりにも美しいので見惚れてました」
「へっ、ああっ、ありがとうございます」
面と向かって美しいと言われ、恥ずかしいやら、どう対応して良いのか分からず、アルビダはお礼を言った後、顔を下げてしまう。
〝ああっ、照れているアルビダ様も可愛いですわ。頬が桃色に染まり何だかとてもいじらしくてツンツンと頬を触りたい。お茶菓子に感動している姿も眼福ですわ。全て目に焼き付けました。ああっ、お茶会に来て良かった。アルビダ様がお茶会に来ると知った時は、この日が待ち遠しくて興奮して眠れなかった。だけど、今は会いたかったアルビダ様が目の前に座っている! はい最高! 好き〟
ええと……どうしたら……リリーローズ様がずっとわたくしを見ています。瞬きもほとんどしていません。それにこの心の声は一体……。
リリーローズ様がわたくしの事を可愛いとか好きとか……聞こえてくるのですが、これは本当なのでしょうか? 心のスキルを疑うわけでではないのですが。
それにわたくし達は今日が初対面ではなかったのでしょうか?
明らかにわたくしの事を知っている様子ですが……。
聞いてみるべきでしょうか?
ああっ、こんな時そばにロビンや妖精さんがいたら相談しますのに。
「あのう……リリーローズ様」
「なんでしょう? アルビダ様、私のことは是非リリーと呼んでくださいませ。どうか、お願いしますわ」
リリーローズはスクっと席を立ち上がると、鼻息荒く愛称で呼んでほしいと懇願する。
「わかりました。リリー様。わたくし誰かのことを愛称で呼んだことがないので少し照れますわね」
少し恥ずかしそうに微笑むが、内心は嬉しそうなアルビダ。
〝フォぉぉおxおっぉ!? アルビダ様の初めてを頂いちゃいましたよ! いいの? やったわねリリー! それにしても、はにかんだ笑顔が眩しすぎて目がどうにかなる所でした〟
「ひゃっ!」
ううう。リリー様の心の声を聞くと恥ずかしくてどうにかなりそうです。どうしてこんなにもわたくしを褒めてくれるのかしら……。
「あの……リリー様、失礼な質問になるのですが、わたくしと会うのは今日が初めてではなかったのでしょうか?」
「はい。アルビダ様は覚えていないかもしれませんが、四年前に一度シュトロン邸に、お母様と一緒に来られた事があるんですよ。私の母と、アルビダ様のお母様は学生時代からの旧友なのですよ」
「えっ、そうなのですか! 忘れてしまっていて申し訳ありません」
アルビダは立ち上がり、リリーローズに向かって頭を下げた。
「わわわっ、アルビダ様頭を上げてください。当時の私の姿は今の私とは全く違うので、分からないのも無理ありませんから」
「ですが……」
「お願いです! 席に座って話しましょう」
「はい」
わたくしったら、シュトロン邸に行った事があるなんて……過去に誰かのお屋敷に行ったことなんて、二度くらいしかないはずなのに。
「幼い時の私の姿は、肌の色も黒くて、髪の色もこげ茶色で癖っ毛が酷くて、もじゃもじゃの髪型をしていたんですよ」
こんな髪型だったよと言わんばかりに、リリーローズは肩下まで伸びた、自分の髪を手に取りくしゃくしゃにして頭に乗せる。
くしゃくしゃで……こげ茶色の髪……!!
「もしかして、わたくしに沢山の絵を見せてくれた……」
「そう! そうですよ。それが私です! あの時の私は自分に全く自信がなくて、浅黒い肌の色ももじゃもじゃの髪も全て嫌いでした。だけど、アルビダ様と会って全て好きになりました」
過去を思い出しながら話すリリーローズの瞳は少し潤んできた。
その時の感情を思い出したのだろう。
「お母様と一緒に来られていたアルビダ様が、外で絵を描いていた私を偶然見つけて、一緒に遊んでくれたのです。その時私に言ってくれた言葉は、今も私の心の奥に刻まれています」
私が? 遊んだ記憶はありますが……言葉……。
「アルビダ様は『貴方の描いたドレスの絵は最高に素敵。こんな色使い初めてみました。わたくし、このドレス着てみたいです。それに嫌だと言うその髪型も、唯一無二で誰一人いないって素敵よね。だって、真っ直ぐにする事なんて簡単ですわ、だけどその髪型を作るのは難しいと思います。わたくしはフワフワしていて好きですわ』そう言ってアルビダ様は自分の髪をくしゃくしゃにして、私と同じ頭を作るのは難しいですわって笑ってくれたんです」
「思い出しました。見せてくれたドレスの絵が素敵で、髪型だってわたくしはとっても可愛いと思いました。あの時の女の子がリリー様だったんですね」
アルビダは当時のリリーの事を思い出したのだろう、瞳を輝かせ嬉しくて微笑む。
「私は本当にあの言葉に救われたのです。言われてみれば、髪の毛を真っ直ぐにしようと思えば簡単にできたんですよ。それを後から知って……だけど。アルビダ様と会った日から、あの髪型がお気に入りになったので、何もしませんでした」
自分の発した何気ない言葉を、宝物のように大切に思ってくれている事が嬉しくて、アルビダはリリーのことがどんどん気になっていく。初め、この人は大丈夫なのかと、怪しんでいた自分を恥じるほどに。
「だけど成長とともに髪に癖がなくなって、今は毛先だけがカールしています。髪色も肌の色もこのように変わりました。ですがそれも私の個性だと、気に入っていますよ」
「リリー様」
「ふふふ。それに、アルビダ様が褒めてくれた絵も、今ではお仕事として活躍していますのよ?」
リリーローズは席を立ち上がると、アルビダの近くまで歩いて行き、ドレスを見せるようにクルリと回った。
「このドレスも私がデザインした、最新のドレスなんですよ」
「あっ……だからさっき、みなさまがリリー様の所に集まっていたんですね」
「はい、そうなんです! みんなこのドレスを気に入ってくれたみたいで、たくさんの注文をいただきました」
リリーローズが舌を出し悪戯に笑う姿に釣られて、アルビダもクスクスと声を出して笑うのだった。
「あっ、ありがとうございます」
リリーローズに促され、椅子に座るアルビダ。目の前の丸いテーブルにはたくさんのお茶菓子が並べられてあり思わず「ほうっ」感嘆の声がもれる。
赤、青、黄色……と色とりどりのお茶菓子に目を奪われている時に、ふと何かを感じ取り気になった方角に目線を送ると、対面の席に座っているリリーローズがアルビダを凝視していた。
「あの……リリーローズ様?」
「あっ、私ったらアルビダ様があまりにも美しいので見惚れてました」
「へっ、ああっ、ありがとうございます」
面と向かって美しいと言われ、恥ずかしいやら、どう対応して良いのか分からず、アルビダはお礼を言った後、顔を下げてしまう。
〝ああっ、照れているアルビダ様も可愛いですわ。頬が桃色に染まり何だかとてもいじらしくてツンツンと頬を触りたい。お茶菓子に感動している姿も眼福ですわ。全て目に焼き付けました。ああっ、お茶会に来て良かった。アルビダ様がお茶会に来ると知った時は、この日が待ち遠しくて興奮して眠れなかった。だけど、今は会いたかったアルビダ様が目の前に座っている! はい最高! 好き〟
ええと……どうしたら……リリーローズ様がずっとわたくしを見ています。瞬きもほとんどしていません。それにこの心の声は一体……。
リリーローズ様がわたくしの事を可愛いとか好きとか……聞こえてくるのですが、これは本当なのでしょうか? 心のスキルを疑うわけでではないのですが。
それにわたくし達は今日が初対面ではなかったのでしょうか?
明らかにわたくしの事を知っている様子ですが……。
聞いてみるべきでしょうか?
ああっ、こんな時そばにロビンや妖精さんがいたら相談しますのに。
「あのう……リリーローズ様」
「なんでしょう? アルビダ様、私のことは是非リリーと呼んでくださいませ。どうか、お願いしますわ」
リリーローズはスクっと席を立ち上がると、鼻息荒く愛称で呼んでほしいと懇願する。
「わかりました。リリー様。わたくし誰かのことを愛称で呼んだことがないので少し照れますわね」
少し恥ずかしそうに微笑むが、内心は嬉しそうなアルビダ。
〝フォぉぉおxおっぉ!? アルビダ様の初めてを頂いちゃいましたよ! いいの? やったわねリリー! それにしても、はにかんだ笑顔が眩しすぎて目がどうにかなる所でした〟
「ひゃっ!」
ううう。リリー様の心の声を聞くと恥ずかしくてどうにかなりそうです。どうしてこんなにもわたくしを褒めてくれるのかしら……。
「あの……リリー様、失礼な質問になるのですが、わたくしと会うのは今日が初めてではなかったのでしょうか?」
「はい。アルビダ様は覚えていないかもしれませんが、四年前に一度シュトロン邸に、お母様と一緒に来られた事があるんですよ。私の母と、アルビダ様のお母様は学生時代からの旧友なのですよ」
「えっ、そうなのですか! 忘れてしまっていて申し訳ありません」
アルビダは立ち上がり、リリーローズに向かって頭を下げた。
「わわわっ、アルビダ様頭を上げてください。当時の私の姿は今の私とは全く違うので、分からないのも無理ありませんから」
「ですが……」
「お願いです! 席に座って話しましょう」
「はい」
わたくしったら、シュトロン邸に行った事があるなんて……過去に誰かのお屋敷に行ったことなんて、二度くらいしかないはずなのに。
「幼い時の私の姿は、肌の色も黒くて、髪の色もこげ茶色で癖っ毛が酷くて、もじゃもじゃの髪型をしていたんですよ」
こんな髪型だったよと言わんばかりに、リリーローズは肩下まで伸びた、自分の髪を手に取りくしゃくしゃにして頭に乗せる。
くしゃくしゃで……こげ茶色の髪……!!
「もしかして、わたくしに沢山の絵を見せてくれた……」
「そう! そうですよ。それが私です! あの時の私は自分に全く自信がなくて、浅黒い肌の色ももじゃもじゃの髪も全て嫌いでした。だけど、アルビダ様と会って全て好きになりました」
過去を思い出しながら話すリリーローズの瞳は少し潤んできた。
その時の感情を思い出したのだろう。
「お母様と一緒に来られていたアルビダ様が、外で絵を描いていた私を偶然見つけて、一緒に遊んでくれたのです。その時私に言ってくれた言葉は、今も私の心の奥に刻まれています」
私が? 遊んだ記憶はありますが……言葉……。
「アルビダ様は『貴方の描いたドレスの絵は最高に素敵。こんな色使い初めてみました。わたくし、このドレス着てみたいです。それに嫌だと言うその髪型も、唯一無二で誰一人いないって素敵よね。だって、真っ直ぐにする事なんて簡単ですわ、だけどその髪型を作るのは難しいと思います。わたくしはフワフワしていて好きですわ』そう言ってアルビダ様は自分の髪をくしゃくしゃにして、私と同じ頭を作るのは難しいですわって笑ってくれたんです」
「思い出しました。見せてくれたドレスの絵が素敵で、髪型だってわたくしはとっても可愛いと思いました。あの時の女の子がリリー様だったんですね」
アルビダは当時のリリーの事を思い出したのだろう、瞳を輝かせ嬉しくて微笑む。
「私は本当にあの言葉に救われたのです。言われてみれば、髪の毛を真っ直ぐにしようと思えば簡単にできたんですよ。それを後から知って……だけど。アルビダ様と会った日から、あの髪型がお気に入りになったので、何もしませんでした」
自分の発した何気ない言葉を、宝物のように大切に思ってくれている事が嬉しくて、アルビダはリリーのことがどんどん気になっていく。初め、この人は大丈夫なのかと、怪しんでいた自分を恥じるほどに。
「だけど成長とともに髪に癖がなくなって、今は毛先だけがカールしています。髪色も肌の色もこのように変わりました。ですがそれも私の個性だと、気に入っていますよ」
「リリー様」
「ふふふ。それに、アルビダ様が褒めてくれた絵も、今ではお仕事として活躍していますのよ?」
リリーローズは席を立ち上がると、アルビダの近くまで歩いて行き、ドレスを見せるようにクルリと回った。
「このドレスも私がデザインした、最新のドレスなんですよ」
「あっ……だからさっき、みなさまがリリー様の所に集まっていたんですね」
「はい、そうなんです! みんなこのドレスを気に入ってくれたみたいで、たくさんの注文をいただきました」
リリーローズが舌を出し悪戯に笑う姿に釣られて、アルビダもクスクスと声を出して笑うのだった。
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