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36、よく効く薬
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起きた途端に元気よく喋るものだなと思っていたのが、やはり身体はまだ辛いようで、今朝目を覚ましても、身体は起こせないらしく。うとうとと、ただ眠ったり起きたりを繰り返すアギレオに一声だけ掛け、水汲みへと外に出る。
今日は何か食べさせなければ、あれはどうか、これなら口にできるかと頭を巡らせ、食堂で女性達に知恵を借りる方が確かだなと。一日の算段を立てながら、川の水をたっぷりと汲み上げる。
さて、と、桶を担ごうとするところに、ハルカレンディア、と呼びかけられて振り返った。
浅い木箱を両手で抱え、砦のみなに薬を届けて歩いているところか、早足にこちらへと向かうレビを待って。
「ケレブシア、昨夜はありがとう」
何もできなくて…、と、ため息をつくレビに、まさか、と笑ってしまう。
このまだ年若い魔術師が、懸命に積み上げた学究や研鑽で薬師をかね、走り回ってくれることがどれだけ心強く、なにより実際に砦の面々を助けていることだろうか。
あれもこれも、と、己の知る彼の功績を挙げるのに、それはいいんだけど!、などと慌てて止めさせようとするのが彼らしい。
アギレオに薬を持っていくというので、並んで川沿いを歩きはじめた。
「――だから、外傷はもうとりあえずいいと思うんだけど…」
治療方針を説明してくれるのに、相槌を打ちながら耳を傾け。それが、不意に途切れてしまうのに、うん?と隣を振り返る。
「あの…あのさ…」
「? ああ」
こちらへと向けられる面が、また難しい顔をしているな、と、眦をゆるめて頷き。
「お頭の傷だけど、多分、戦闘で受けたのは応急処置をしてあったんじゃないかと思う」
「……。…そうなのか」
誰が、といえば、谷のエルフしかあり得ないのか。
それをどう思うべきなのか、どう言えばいいのか決めかね、彼が何を言おうとしているのかと、耳を傾け。
「…丁寧な扱いとは言えねえだろうし、拷問は人道にもとることで、かばえねえし、かばいたいってことでもないんだけど」
うん、と、何か言いづらいことを言おうとしているらしい、うつむき加減の横顔に、声を邪魔せぬよう静かに頷き。
「戦略上の目的があったってことで、わざと痛めつけようとか、苦しめてやろうとか、そういう感じじゃないのかもと、思って…」
「…そうか……」
言い表しがたいような、不思議な感じがする。
昨夜のアギレオも、同じようなことを言ったのを思い出し。
痛めつけられたのは己ではない。当のアギレオや、仲間の傷を懸命に癒やす彼にとっての方が、その意味は重いだろうに。
「……俺は、エルフは嫌いだけど。エルフがエルフを好きなのとか、誇りに思ってるのって、悪いことじゃないと思うし…」
「――!」
そこまで聞いてようやく、レビが何を伝えたいのかということを理解し、目を瞠ってしまう。
「…ありがとう、ケレブシア。……優しい子だ」
彼がかばっているのは、谷のエルフではなく、己の誇りなのだ。
「“子”とか言うんじゃねえよ!」
思いがけぬ心ある言葉に胸のとろけるような心地のままで、顔を赤くするレビに、おっとすまないと、けれど笑ってしまう。
「桶を担いでいなければ、今すぐ抱きしめたいくらいだ、ケレブシア。ありがとう…」
「あっそ。じゃあちょうど水汲みの時に会ってよかった!」
フンと勢い鼻を鳴らして言い返され、思わず二人、吹き出すように笑ってしまった。
口をこじ開けてでも飲ませる、と、息巻いてアギレオのところへ薬を持ち込むレビと別れ、汲んだ水を瓶に移すと、己は己で、その足で食堂へと向かった。
ちょうど昼食の支度をする頃だ。扉を開けた向こう、食卓の並ぶ広間には人気はないが、その奥の厨房では、女性達の話し声と、調理の音が賑やかに鳴っている。
忙しいところに邪魔になるだろうか、と、様子を窺うのをすぐに見つかり。
「ハル。どうしたの、小腹でも空いた?」
ふっふ、などと、楽しげに笑って声を掛けてくれるダイナに、つられるようこちらまで頬が緩んでしまう。
「いや、私は大丈夫だ。食事の時間まで待てるとも」
肩を竦めて返せば、いい子だね!と向けられる破顔に、ふふとこちらでも笑息を零し。
アギレオのことなのだ、と、持ちかければ、ああ。と、すぐに真摯な顔つきで頷きを寄越され。どんな様子かと問われ、昨夜目を覚ましたと報告したり、今朝の様子を伝えたりして、話を切り出す。
「ずいぶん体力を失っているようだから、何か食べさせたいのはやまやまなのだが。身体を起こせないままでは、口まで運んでやったとしても喉に詰まらせそうだし」
「…なるほどね。水は飲めた?」
「んッ、うん、ああ。そうだな、水は昨夜も…少しずつなら、なんとか飲めるようだ」
思わずへどもどしてしまうのに、そうか…と、気に掛けず口元に拳をやって思案してくれるダイナの返答を、待ち。
「それなら、まずは乳でも飲ませてみるか。もうちょっと重くても飲めそうなら、果物でも摺ってやって…。そこまで行きゃ、元気になれるもんなら、向こうから腹が減ったって言い出すだろうからね。そしたら、食いたいもんでも聞いてやってよ」
なるほど、なるほど、と、聞きながら一つひとつに頷きを重ねて。
「よしよし、そっからだね。あのデカブツに、赤ん坊みたいに乳飲ましてやろ」
ちょっと待ってね、と、山羊の乳を取りに厨房へと戻ってくれるダイナの、言いように目を丸くして。彼女の背を見て遅ればせながら、ひとり笑いをこらえる羽目になった。
そんな風にして幾日かが過ぎて。
食事を運んでやれば、己の肩を貸しながらとはいえ寝台の上に身を起こせるようになり、下の世話をされるのは嫌がって、見ていない間に杖にすがって歩くほどまでになった。
寝たまま身をずらすというのは怪我のどれかに響くようで、場所を空けろと押しつけるのも不憫に思って。けれど、勝手にどちらかに偏って寝ている傍へと、隙を突いては身を寄せて眠れるのが嬉しい。
冷えがちだった肌は寝着越しにもあたたかく、骨が当たるようだった身体も、みるみる柔らかさを取り戻している。
どこも痛まぬか、寝苦しくはないかと耳をそばだて、うとうとと浮き沈みする意識にアギレオの寝息を聞いて。
「…ん、」
位置を変えようとしたらしいアギレオの腕が頭に乗り、身動きの邪魔かと、少し身をずらす。
「…うお。…なんだお前、潰しちまうぜ…」
重い瞼を上げて目を開き、すぐ近くで同じように眠たげにしている混色の瞳を見上げれば、勝手に頬が緩む。
「まだ私を潰すほどは重くないな」
もぞと退けようとする身を、首から頭をすくうようにして抱き寄せられ、身を寄せ直す。
枕と首の間に挟まれた腕があたたかい。
「ずいぶん戻っただろ。食ってなかったせいだ、食い始めりゃすぐさ」
運動しなけりゃ太っちまう、と、片目を眇めて笑うのに、そうか、と少し思案して。
「ん、うん?」
枕を提供してくれる腕で巻き込むようにして、器用に耳の先をつままれるのに、痛いと訴え目を上げ。
「セックスしてえな」
そうとしか言いようのない、好色そうな片笑みを浮かべている顔に、ひとつ瞬いて、それから噴き出してしまう。
「まだそこまでは動けないだろう。まずは杖なしで歩くところからだな」
「歩けるさ。…歩けるが、」
逆の手が伸びてきて、尻を掴んで抱き寄せられ、くすぐったいと笑いながらも、感心してしまう。なるほど、ずいぶん力が入るようにはなったらしい。
「……急かしても明日か。“身を清めて”こなくちゃな?」
「――…」
口を開いて、けれど、思っていることが咄嗟に言葉に出ない。
うん?と、眉を上げられ、枕に擦りつけるようにして顔を隠す。
「…身は、清めてから帰ってきている。……」
説明するのが難しく、弁明は尚のこと。
お前が目を覚ましてからは毎晩、と、小さな声でつけ足すのに、言葉が返されなくて、余計に行き場がない。
決して、起き上がれないアギレオをどうこうしようと思っていたわけではない。だが、アギレオがいない間は手を触れなかった場所まで、丁寧に水にすすいであって。
習慣になっているのかと問うなら、アギレオのいない間は違ったのだから、そうとはいえない。目を覚ましたのを見て期待していたのかといえば、そうでもないのだ。
言い表しがたさに心中もごもごとするところに、指を食い込ませるように尻を掴まれ、顔を上げる。耳の先まで熱い。
「せっかく準備してたんなら、無駄にならねえようにしなくっちゃな?」
意地の悪い笑みを浮かべる顔に眉を下げ、それから、準備との言葉に、はたと思いつく。
「やはり明日にしよう、アギレオ」
「あン? なんでだよ」
詰るようにやたらに尻を揉む手を掴んで下ろさせ、握っておく。
「お前はまだ無茶に動かない方がいい。無理をさせないように、きちんと準備しておこう」
ぶほ、と、間近で噴き出され、少し眉を寄せながら飛沫を拭って。
「何をキチンと準備すんだかな。鉄とケツは熱い内に打てっつうじゃねえか」
耳慣れぬ言い回しに、グフ、と。今度はこちらの方がおかしな具合に笑いをよじらせてしまう。なんだそれは、と、笑いながら、動き出そうともぞもぞする手をしっかりと握って抱え込み。
鎖骨の固さに額を擦り付けるようにして、懐にもぐり込んでしまう。
「……ならば、明日も熱くしておこう」
肌に吹きかけるように囁きを落として。
そんな些細なやりとりで容易く熱くなる互いの肌に見ぬ振りでもするよう、よく身を寄せ合って、目と口を閉じた。
今日は何か食べさせなければ、あれはどうか、これなら口にできるかと頭を巡らせ、食堂で女性達に知恵を借りる方が確かだなと。一日の算段を立てながら、川の水をたっぷりと汲み上げる。
さて、と、桶を担ごうとするところに、ハルカレンディア、と呼びかけられて振り返った。
浅い木箱を両手で抱え、砦のみなに薬を届けて歩いているところか、早足にこちらへと向かうレビを待って。
「ケレブシア、昨夜はありがとう」
何もできなくて…、と、ため息をつくレビに、まさか、と笑ってしまう。
このまだ年若い魔術師が、懸命に積み上げた学究や研鑽で薬師をかね、走り回ってくれることがどれだけ心強く、なにより実際に砦の面々を助けていることだろうか。
あれもこれも、と、己の知る彼の功績を挙げるのに、それはいいんだけど!、などと慌てて止めさせようとするのが彼らしい。
アギレオに薬を持っていくというので、並んで川沿いを歩きはじめた。
「――だから、外傷はもうとりあえずいいと思うんだけど…」
治療方針を説明してくれるのに、相槌を打ちながら耳を傾け。それが、不意に途切れてしまうのに、うん?と隣を振り返る。
「あの…あのさ…」
「? ああ」
こちらへと向けられる面が、また難しい顔をしているな、と、眦をゆるめて頷き。
「お頭の傷だけど、多分、戦闘で受けたのは応急処置をしてあったんじゃないかと思う」
「……。…そうなのか」
誰が、といえば、谷のエルフしかあり得ないのか。
それをどう思うべきなのか、どう言えばいいのか決めかね、彼が何を言おうとしているのかと、耳を傾け。
「…丁寧な扱いとは言えねえだろうし、拷問は人道にもとることで、かばえねえし、かばいたいってことでもないんだけど」
うん、と、何か言いづらいことを言おうとしているらしい、うつむき加減の横顔に、声を邪魔せぬよう静かに頷き。
「戦略上の目的があったってことで、わざと痛めつけようとか、苦しめてやろうとか、そういう感じじゃないのかもと、思って…」
「…そうか……」
言い表しがたいような、不思議な感じがする。
昨夜のアギレオも、同じようなことを言ったのを思い出し。
痛めつけられたのは己ではない。当のアギレオや、仲間の傷を懸命に癒やす彼にとっての方が、その意味は重いだろうに。
「……俺は、エルフは嫌いだけど。エルフがエルフを好きなのとか、誇りに思ってるのって、悪いことじゃないと思うし…」
「――!」
そこまで聞いてようやく、レビが何を伝えたいのかということを理解し、目を瞠ってしまう。
「…ありがとう、ケレブシア。……優しい子だ」
彼がかばっているのは、谷のエルフではなく、己の誇りなのだ。
「“子”とか言うんじゃねえよ!」
思いがけぬ心ある言葉に胸のとろけるような心地のままで、顔を赤くするレビに、おっとすまないと、けれど笑ってしまう。
「桶を担いでいなければ、今すぐ抱きしめたいくらいだ、ケレブシア。ありがとう…」
「あっそ。じゃあちょうど水汲みの時に会ってよかった!」
フンと勢い鼻を鳴らして言い返され、思わず二人、吹き出すように笑ってしまった。
口をこじ開けてでも飲ませる、と、息巻いてアギレオのところへ薬を持ち込むレビと別れ、汲んだ水を瓶に移すと、己は己で、その足で食堂へと向かった。
ちょうど昼食の支度をする頃だ。扉を開けた向こう、食卓の並ぶ広間には人気はないが、その奥の厨房では、女性達の話し声と、調理の音が賑やかに鳴っている。
忙しいところに邪魔になるだろうか、と、様子を窺うのをすぐに見つかり。
「ハル。どうしたの、小腹でも空いた?」
ふっふ、などと、楽しげに笑って声を掛けてくれるダイナに、つられるようこちらまで頬が緩んでしまう。
「いや、私は大丈夫だ。食事の時間まで待てるとも」
肩を竦めて返せば、いい子だね!と向けられる破顔に、ふふとこちらでも笑息を零し。
アギレオのことなのだ、と、持ちかければ、ああ。と、すぐに真摯な顔つきで頷きを寄越され。どんな様子かと問われ、昨夜目を覚ましたと報告したり、今朝の様子を伝えたりして、話を切り出す。
「ずいぶん体力を失っているようだから、何か食べさせたいのはやまやまなのだが。身体を起こせないままでは、口まで運んでやったとしても喉に詰まらせそうだし」
「…なるほどね。水は飲めた?」
「んッ、うん、ああ。そうだな、水は昨夜も…少しずつなら、なんとか飲めるようだ」
思わずへどもどしてしまうのに、そうか…と、気に掛けず口元に拳をやって思案してくれるダイナの返答を、待ち。
「それなら、まずは乳でも飲ませてみるか。もうちょっと重くても飲めそうなら、果物でも摺ってやって…。そこまで行きゃ、元気になれるもんなら、向こうから腹が減ったって言い出すだろうからね。そしたら、食いたいもんでも聞いてやってよ」
なるほど、なるほど、と、聞きながら一つひとつに頷きを重ねて。
「よしよし、そっからだね。あのデカブツに、赤ん坊みたいに乳飲ましてやろ」
ちょっと待ってね、と、山羊の乳を取りに厨房へと戻ってくれるダイナの、言いように目を丸くして。彼女の背を見て遅ればせながら、ひとり笑いをこらえる羽目になった。
そんな風にして幾日かが過ぎて。
食事を運んでやれば、己の肩を貸しながらとはいえ寝台の上に身を起こせるようになり、下の世話をされるのは嫌がって、見ていない間に杖にすがって歩くほどまでになった。
寝たまま身をずらすというのは怪我のどれかに響くようで、場所を空けろと押しつけるのも不憫に思って。けれど、勝手にどちらかに偏って寝ている傍へと、隙を突いては身を寄せて眠れるのが嬉しい。
冷えがちだった肌は寝着越しにもあたたかく、骨が当たるようだった身体も、みるみる柔らかさを取り戻している。
どこも痛まぬか、寝苦しくはないかと耳をそばだて、うとうとと浮き沈みする意識にアギレオの寝息を聞いて。
「…ん、」
位置を変えようとしたらしいアギレオの腕が頭に乗り、身動きの邪魔かと、少し身をずらす。
「…うお。…なんだお前、潰しちまうぜ…」
重い瞼を上げて目を開き、すぐ近くで同じように眠たげにしている混色の瞳を見上げれば、勝手に頬が緩む。
「まだ私を潰すほどは重くないな」
もぞと退けようとする身を、首から頭をすくうようにして抱き寄せられ、身を寄せ直す。
枕と首の間に挟まれた腕があたたかい。
「ずいぶん戻っただろ。食ってなかったせいだ、食い始めりゃすぐさ」
運動しなけりゃ太っちまう、と、片目を眇めて笑うのに、そうか、と少し思案して。
「ん、うん?」
枕を提供してくれる腕で巻き込むようにして、器用に耳の先をつままれるのに、痛いと訴え目を上げ。
「セックスしてえな」
そうとしか言いようのない、好色そうな片笑みを浮かべている顔に、ひとつ瞬いて、それから噴き出してしまう。
「まだそこまでは動けないだろう。まずは杖なしで歩くところからだな」
「歩けるさ。…歩けるが、」
逆の手が伸びてきて、尻を掴んで抱き寄せられ、くすぐったいと笑いながらも、感心してしまう。なるほど、ずいぶん力が入るようにはなったらしい。
「……急かしても明日か。“身を清めて”こなくちゃな?」
「――…」
口を開いて、けれど、思っていることが咄嗟に言葉に出ない。
うん?と、眉を上げられ、枕に擦りつけるようにして顔を隠す。
「…身は、清めてから帰ってきている。……」
説明するのが難しく、弁明は尚のこと。
お前が目を覚ましてからは毎晩、と、小さな声でつけ足すのに、言葉が返されなくて、余計に行き場がない。
決して、起き上がれないアギレオをどうこうしようと思っていたわけではない。だが、アギレオがいない間は手を触れなかった場所まで、丁寧に水にすすいであって。
習慣になっているのかと問うなら、アギレオのいない間は違ったのだから、そうとはいえない。目を覚ましたのを見て期待していたのかといえば、そうでもないのだ。
言い表しがたさに心中もごもごとするところに、指を食い込ませるように尻を掴まれ、顔を上げる。耳の先まで熱い。
「せっかく準備してたんなら、無駄にならねえようにしなくっちゃな?」
意地の悪い笑みを浮かべる顔に眉を下げ、それから、準備との言葉に、はたと思いつく。
「やはり明日にしよう、アギレオ」
「あン? なんでだよ」
詰るようにやたらに尻を揉む手を掴んで下ろさせ、握っておく。
「お前はまだ無茶に動かない方がいい。無理をさせないように、きちんと準備しておこう」
ぶほ、と、間近で噴き出され、少し眉を寄せながら飛沫を拭って。
「何をキチンと準備すんだかな。鉄とケツは熱い内に打てっつうじゃねえか」
耳慣れぬ言い回しに、グフ、と。今度はこちらの方がおかしな具合に笑いをよじらせてしまう。なんだそれは、と、笑いながら、動き出そうともぞもぞする手をしっかりと握って抱え込み。
鎖骨の固さに額を擦り付けるようにして、懐にもぐり込んでしまう。
「……ならば、明日も熱くしておこう」
肌に吹きかけるように囁きを落として。
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