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1 最悪な結末
しおりを挟む女性は慎ましくあるべき
私の産まれ育ったレゼント国は女性が口を出すのを良しとしない。私もそう教わった。
私のお父様は王弟で大公になり私を溺愛するお兄様は婚姻し公爵の位をお父様から譲り受けた。
私はレゼント国を盤石な国にする為にいとこである第一王子と婚約し私が16歳になった時に婚姻した。
第一王子、アルフレッドの事は好きよ。4歳年上のお兄様と同じ年の第一王子をフレディ兄様と慕っているわ。
でもそれは私の1歳年上の第二王子、フランシスも同じ。私はフランキーの事も好きよ。
でも一番好きなのはお兄様だけどね。
だって幼い頃から一緒に遊び一緒に勉強してきたのよ。いとこであり幼馴染みであり家族だもの。
私の好きは家族愛。
家族愛でも愛には変わりないでしょ?だから何とかなると思ったの。フレディ兄様を愛せると思ったの。
でも私にも心があるように兄様にも心がある。
それに人の心は何とかならないのよ。
そりゃあ私も兄様も国の為、それを分かっているから文句は言わなかったわ。私が兄様を兄と慕うように兄様は私を妹だと大事にしてくれる。私達二人の間には情はあるもの。
でも男女のそれとは違うわ。
婚姻すれば世継ぎを、どれだけ急かされても、口付けは額や頬まで。手を繋いで歩いても営みはまた別。
義務のように初夜を済ませ、それから監視されるように何度か営みをしたわ。でも何か違う。
だって大好きなお兄様でも額や頬に口付け出来ても唇には抵抗があるでしょ?唇は好きな人としたいもの。それに手を繋いで歩いても腕を組んで歩いても膝の上に座っても、お兄様と男女の営みはしたくないわ。
お兄様は好きだけど、でもそれは別の話。
それと一緒なの。
でも私もフレディもそこはきちんと理解してる。だから営みだって義務だと思っているわ。
世継ぎを産む
それだけの為にね。お互い割り切って、そうこれも公務だと思ってしていたわ。
でも段々心がすり減っていくの…。
例えどんな愛でも愛せると思っていたフレディを家族愛としても愛せなくなった…。
それはフレディも同じ。
妹だと大事にしてきたはずなのに自分を苦しめる悪魔のように私を憎むようになった。
それでも表面上は取り繕って仲の良い王太子夫妻を演じているわ。でも裏では部屋は別、顔を合わせて食事もしていない。話したのだって2ヶ月前の夜会の時よ。
フレディはフランキーの婚約者の事がずっと好きだったの。それを私は知ってる。でもフランキーは婚約者に冷たい態度を取る。そうするとフレディが嗜める。
『婚約者を蔑ろにするな』
って。蔑ろにしてるのは貴方もよ、そう思ったけど口には出さない。
フランキーだってフレディと私の関係を見て知ってる。
『兄上こそ人の婚約者の事に口出ししていないで自分の妻の心配をしたらどうです。グレースを蔑ろにしている兄上が何か言える立場ですか』
フランキーが私を庇うと今度はフレディが面白くない。
こうして小さな諍いが兄弟対立にまで発展した。表面上では兄弟仲はよく王太子を支える第二王子なんて言われてるけど、裏の事情なんてこんなものよ。
誰と誰が婚約する
好きな人が自分ではない人と婚約し自分の婚約者を蔑ろにする。そんなのばっかり。女性は男性には口出ししない。『はい分かりました』それだけ。
そう、我慢、我慢、我慢、忍耐、忍耐、忍耐よ。
どこの家とどこの家の婚約
それだって大人の事情とか?大人の事情とか?大人の事情とか?
そう全て大人の事情!
残念ながら仲が良かった兄弟は今はもう過去の話。
それに…、
私を溺愛するお兄様がフレディを見逃すはずがなかった…。
お兄様はこの国を裏切った。
違うわね、この国を潰す事にしたの。
フランキーと婚約者が婚姻し、住居が同じ王宮になりフレディとフランキーの妻は男女のそれになった。お互い愛し合う者同士が同じ屋根の下にいれば自ずとそうなってもおかしくない。
目の前で夫に蔑ろにされる愛しい人を守りたい、そう思う気持ちは膨れ上がりそして一線は直ぐに越える。
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お兄様は私を『勝利の女神』そう言った。けど私は……、
婚姻して2年、私は何者かに暗殺され、この国の行末を見届ける事なくこの世を去った。
あの時、あの場面で、そう悔やむ事は多い。
でも今更どうでもいいわね。
だって私死んだんだもの。生きてる人達の心配しても何も出来ないし。それにあの世に逝ってまで心配したくないわ。
さあ、次の人生を楽しみましょう。
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