0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ

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2 やり直しの人生


次の人生を楽しみましょう。

そう思って目を閉じた。フワフワ浮かんで流れに身を任せて楽しんでいた、はず…よね?


「おぎゃー」


目の前にはお母様の優しい顔があった。そして私を見つめるお父様の顔。

そして、『かあさまからさるがうまれた』そうお兄様が言うのよね。

バタバタと入って来たお兄様。


「こら、静かにするんだロナルド」

「ごめんなさいとうさま」

「ロニー貴方の妹よ」


お兄様は産まれたばかりの私の顔を覗き込んだ。


「かあさまからさるがうまれた」

「こら、猿じゃないだろ。よく見てみろ、可愛い女の子だろ」

「かわいくは、ない。どうみてもさるにしかみえないよ」

「もういい、お前は外で遊んでこい」

「いいの?」


お兄様はバタバタと部屋を出て行った。


「こんなに可愛いのにな、ロニーには分からないらしい」

「仕方がないわよ、まだロニーも幼いもの」


お父様とお母様は愛おしそうに私を見つめている。

それよりお兄様、可愛くないってどういう事よ。確かにお兄様は『今はこんなに可愛いのにどうして産まれたばかりの時は猿だったんだろうな。俺は思わず『母様から猿が産まれた』って叫んだくらいだ』って何度も聞いたけど、でも可愛くないは酷くない?今は溺愛過ぎるくらいなのに。

だからお兄様はフレディを許せなかったのよね…。


ん?ちょっと待って…。

これは夢、よね?

そうよ、あの世に逝って夢を見ているのよ。懐かしい夢を見ているのよ。

お父様とお母様、それにお兄様、私の大好きな家族。私は幸せだった頃の家族の夢を見ているのよ。フレディと婚姻して家に帰る事はなくなった。それにお父様とは会えてもお母様とは中々会えなくて、お兄様に至ってはフレディの事があったから、会いたくても会うのが怖かった。お兄様は見抜くもの。私の顔を見たら、私が幸せじゃないって見抜くもの。

だから極力会わないようにしてきた。だから夜会の時に少し話す程度で…、夜会の時は仲良く振る舞うから。だから騙せると、思ってた。

でもお兄様は…


これは私の人生を振り返る夢みたいなもの。こうして貴女は人生を過ごしたのよって。

でもどうせならこういう人生もあったのよ、こんな未来もあったのよって、どうせ見るならそんな夢が良かったわ。

『なら貴女自身で変えてみればいいのよ』

突然の声。

『え?』

『もう一度貴女自身で未来を作り変えなさい。今度こそ平和な国へ導けるように、貴女なら大丈夫よ』

とても優しく温もりを感じる。何か包まれるようなとても心地良い空間の中。

この空間はまるで大自然のような生命の息吹を感じる。

そこに立つ一人の女性。大地のような天空のような大海原のような紅蓮のような生命の源のような女性。

優しく微笑む姿はまさに女神

そうよ、さっきまで、私はそこに…。


もう一度目を閉じれば…、今度は違う夢が見れるわ。


「寝ていても天使だな。俺達の子供は天使だ」

「ふふっ、そうね。ロニーもこの子も私達の天使だわ」


お父様とお母様の声が子守歌のように私は眠りについた。


目が覚めて私の目に飛び込んできたのは幼いお兄様の顔。私の頬をツンツンと突付いている。


「とおさまかあさま、おきたよー」


耳元で大きな声を出さないでよ。びっくりして、


「おぎゃー、おぎゃー」

「なかないで、ね、なかなくていいよ。ぼくはにいさまだからね、もうなかなくていいよ。にいさまがずっとまもってあげるからね」


お兄様は優しい声で私に話しかけ優しく私の頭を撫でた。


「ロニー危ない」


お父様は慌てて部屋に入ってきてベッドにぶら下がるお兄様を抱き上げた。

さっきまでいたメイドは隣の部屋に待機している乳母を呼びに行き、まさかお兄様の背より高いベッドにお兄様が登るとは思わなかった。

お父様の後ろに真っ青な顔のメイドと乳母。ほんの少し目を離した、そのほんの少しの間にお兄様は…。



乳母の腕の中で乳を飲んでる私の横でお兄様はずっと私を見ている。


「ねぇアリア、そのちちっておいしいの?ぼくものみたいな」

「ロナルド様が飲んでも美味しくありませんよ。乳はお嬢様の食事です。ロナルド様の食事を誰かに取られたらロナルド様はどう思いますか?」

「べつにいいよ。だからおねがい、ね?いいでしょ」

「駄目です」


お兄様…。

アリアが困っているじゃない。アリアは私が産まれる少し前に子供を産んだ伯爵夫人。乳兄妹のルイを連れてこの家に待機しているの。

ルイは最後まで私の護衛騎士として側にいてくれた。暗殺された時、ルイは息絶えるまで私に覆い被さり私を庇っていた。私の頬を伝うルイの血が…、その光景を今でも鮮明に覚えている。

そして息絶えたルイを退かされ私は暗殺された。

誰に暗殺されたのか、誰の指示か、それは分からない。でもお兄様の裏切りで王太子妃の私を生かしておけなくなったのは確か。

案外フレディだったりして。私が死ねばまた新たに妻を娶れるもの。

覚えているのは、黒ずくめの男で剣使い、王家の隠密か何かね。



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