6 / 7
6
しおりを挟む熱が下がった私は、
「ロニー、ロニーは自分の速さで歩いてみて」
歩き初め、どんどんと先を歩くロニー、私の歩幅に合わせてくれていたのね。
先を歩くその後ろ姿に…、
あぁ、そうだった。
どうしてテオを運命の人と言ったか思い出したわ。
あの頃、いつも手を繋いでいた。それをお茶会に来ていた子にロニーがからかわれて私の手を振り払った。ロニーはそれから男の子達の方へ走って行って、私はロニーの背中を見つめていた。どんどんと離れて行くロニーの姿が、私から離れて行く姿が…、
置いていかれた、取り残された、
違うな
あの頃ロニーの背が伸びて同じ目線だったのが変わった。
同じように走っていてもロニーの方が速くなった。
一緒に遊んでいてもロニーは自分より遅い私に文句ばかり言っていた。
手を振り払われた時、ロニーが私をもう好きじゃないと思ったんだった。
どんどん離れて行く姿に、ロニーが私から離れていくと思ったんだった。
だから、優しくて私に対する態度が変わらないテオを運命の人って言ったのよ。
ロニーを好きな気持ちに蓋をして、誰にも開けられないように、自分でも開けられないように、頑丈に蓋をした。
それからロニーを家族だと…
「ライラ!どうした!何で泣いてるんだ!」
遠く離れていたロニーが近付いてくる。
「ロニー…、婚約解消する?」
「ライラ?」
「だってロニーは私を好きじゃないでしょ?私はこんなに大好きなのに、ロニーは私の手を振り払ったじゃない!私から離れて行ったじゃない!だから私はテオを運命の人って言ったの!ロニーから好きじゃないって言われる前に自分の思いに蓋をしたの!
ロニー、婚約解消しよっか」
「嫌だ!俺がどんなにライラを好きか知らないだろ。それこそ物心ついた時からずっと好きなんだぞ。今更離せる訳ないだろ!」
「でもロニーは運命の女性が何人かいたじゃない」
「あれは……、お前に男として見てほしかったから、お前に…嫉妬、して、ほしく、て…。家族じゃなくて男として見てほしかったんだ。それに、お前はテオを好きだと思っていたから俺も諦め時かな、って思って半ばやけくそだった」
「でもキスしたりその先もしてたんでしょ?」
「するかよ!キスは婚約者だけだろ?その先は…結婚、してから、だろ…?」
「キスは婚約者だけ?」
「当たり前だ」
「手、繋いでいたじゃない」
「手ぐらいは繋ぐだろ。運命の人だと思ってたんだから」
「抱きしめたりは?」
「まあ、」
「何でしっくりこないって分かったの?」
「一緒に居ても、隣で歩いていても何か違うなって。俺の隣はこの女じゃないって思った。手を繋いでも抱きしめても居心地悪くてな」
「私もそれは思ったわ。一緒に居ても楽しくなかったし、隣にいても何か違うなって。それに抱きしめられた時気持ち悪かった。テオはお父様と同じ感じだったけど」
「お前、テオに抱きしめられたのか?それに誰だよ、お前を抱きしめた奴!」
「でもそのおかげで自分の気持ちに気付けたんだから良いじゃない、ね?」
「もう絶対に許さないからな。テオにもだぞ!」
「うん」
「ライラ、俺はずっとお前が好きだ。子供の時に傷つけたならごめん。きっとからかわれたからだろうけど、その頃から手を繋がなくなって、一緒に遊ばなくなって、お前が俺を家族のように接しだして、俺は嫌われたと思っていた。どんどん可愛くなっていくお前を、どんどん女らしくなっていくお前を、諦めるどころかどんどん好きになっていった。
他の人に目を向けても俺にはライラだけだと分かるだけだ。
ライラ、俺はお前が好きだ。卒業したら直ぐに結婚してほしい」
「うん。私もロニーが好き。私をロニーのお嫁さんにして」
ロニーに抱きしめられ、この場所が私の居場所だとそう思った。
55
あなたにおすすめの小説
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
あなたのことを忘れない日はなかった。
仏白目
恋愛
ノウス子爵家には2人の娘がいる
しっかり者の20歳の長女サエラが入婿をとり子爵家を継いだ、
相手はトーリー伯爵家の三男、ウィルテル20歳 学園では同級生だつた とはいえ恋愛結婚ではなく、立派な政略結婚お互いに恋心はまだ存在していないが、お互いに夫婦として仲良くやって行けると思っていた。 結婚するまでは・・・
ノウス子爵家で一緒に生活する様になると
ウィルテルはサエラの妹のリリアンに気があるようで・・・
*作者ご都合主義の世界観でのフィクションでございます。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
伯爵令嬢の婚約解消理由
七宮 ゆえ
恋愛
私には、小さい頃から親に決められていた婚約者がいます。
婚約者は容姿端麗、文武両道、金枝玉葉という世のご令嬢方が黄色い悲鳴をあげること間違い無しなお方です。
そんな彼と私の関係は、婚約者としても友人としても比較的良好でありました。
しかしある日、彼から婚約を解消しようという提案を受けました。勿論私達の仲が不仲になったとか、そういう話ではありません。それにはやむを得ない事情があったのです。主に、国とか国とか国とか。
一体何があったのかというと、それは……
これは、そんな私たちの少しだけ複雑な婚約についてのお話。
*本編は8話+番外編を載せる予定です。
*小説家になろうに同時掲載しております。
*なろうの方でも、アルファポリスの方でも色んな方に続編を読みたいとのお言葉を貰ったので、続きを只今執筆しております。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる