婚約破棄ですか?勿論お受けします。

アズやっこ

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婚約解消か?受け入れただろ。

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「ねぇ、そこの貴女、オスカー様と別れなさいよ!私が別れなさいって言っているんだから別れるわよね?」

「嫌です」

「オスカー様は私が好きなの!」

「私はオスカー様が好きです。好きな人と婚約出来たのにどうして別れないといけないんですか?」

「私が言ってるからよ?私の言う事は皆が聞くの」

「私は聞きません」

「生意気ね!」


オスカー様が私の前に立ち、私を元婚約者から隠し、


「婚約中の時は婚約者として俺も努力をしてきた。確かに言葉にしなかったのは悪かったと思うが、それでも婚約者として良い関係を築きたいと思っていた。婚約中は護ってやりたいと思っていたし、可愛いとも思っていた。

だが、好きだとか可愛いは強制されて言う事じゃない。強制されれば嫌気がさしてくるし、好きな気持ちも無くなる。それに他の男を好きになったのはそっちだろ?

婚約解消してくれと言ったのもお前だ。そして俺は解消を受け入れた」

「だからその婚約の解消を解消しようって言ってるんじゃない」

「俺は望まない。それに新しい婚約者が出来た。俺はアイラが好きだ。アイラが好きだから婚約をした」

「私は侯爵令嬢なのよ?」

「だからどうした」

「お父様に言いつけるわよ!」

「言えばいい。慰謝料だってまだ全額貰ってないんだ。迷惑料も増えるが仕方がないな」

「なんで迷惑料が増えるのよ!」

「婚約解消したのに付きまとわれているからだ」

「な!」

「お前が可愛いのは見た目だけだろ?」

「見た目が可愛いならそれで良いじゃない」

「アイラは見た目も可愛いけど中身は綺麗で優しさで詰まってる。とても素敵な女性だ」

「私の中身が醜いって言いたいの?」

「それは周りを見てみたら分かるんじゃないか?」


私達の周りには野次馬が大勢いる。オスカー様が元婚約者さんと婚約解消したのは周知の事実。他人の、それも人の不幸の噂話はあっという間に伝わる。今の事も昼にはそこかしこで噂話として飛び交うと思う。

元婚約者さんとは婚約解消した、そして新たに私と婚約を結んだ。それなのに未だに絡んできていたら…、


「あそこまでよく醜態を晒せれるわよね」

「次の婚約者なんか出来ないわよ」


野次馬の中から聞こえてきたけど、当の本人は聞こえている様子はない。大丈夫なのかな?


「アイラ教室へ行こう、遅れる」

「分かりました」


手を繋がれ歩き出したら、


「なら私も」


と、オスカー様の反対側の手を繋ごうと、


「何をしてる!やめてくれないか!」

「ええ!?その女と手を繋ぐなら私とだって繋いでくれたって良いじゃない。それに同じ教室なんだから一緒に行けば良いでしょ?」

「俺はアイラを送っていくからお前は勝手に一人で行けよ」

「それならその女の教室も付き合ってあげるわ、それなら良いでしょ?」

「あのな!」

「ほらほら早く早く!」


オスカー様は背中を押され、


「アイラ、すまない、どうしてこうなったのか」

「私の元婚約者もそうですが、こういう人に何を言っても通用しません。自分が大好きで自分が言う事は何でも聞いてもらえるのが当たり前、嫌われる訳がないと思っているんですから」

「何言ってるの?」


顔を覗かせる元婚約者さん。


「お前ってバカだったんだな」

「え?バカな子ほど可愛いって?やっだ~やっぱり可愛いって思っているんじゃない!本当に素直じゃないんだから!そんなオスカー様も好きよ?」

「「はぁぁーー」」


私とオスカー様は同時にため息をついた。

バカな元婚約者を持つと大変だという事だけは分かったわ。


教室に入ればクラスの子に一斉に見られ、オスカー様は早足で自分の教室へ向かった。その後を追っかける元婚約者さん…。

話したい時にレミーは休み。

はぁぁ、朝から疲れた…。


昼食になり一人で食堂へ向かう。


「アイラ!」


オスカー様に呼び止められ、


「友達は一緒じゃないのか?」

「今日は休みで」

「それなら一緒に食べないか?」

「はい、一緒に食べたいです」

「アイラは席を確保しておいてくれるか?」

「私も一緒に並びます」

「いいから、座って待ってろよ」

「すみません」


私は空いてる席を見つけ座りオスカー様を待っている。片手に自分の分を片手に私の分を持ち近付いてくるオスカー様。

いつも私は2回並んだのよね…。


「待たせたな」

「ありがとうございます」

「アイラがどっちが良いか分からなかったから一つづつにした。アイラはどっちが良い」


今日の昼食はAランチがハンバーグでBランチがチキンステーキ。


「オスカー様から選んで下さい」

「いや、アイラから」

「では、半分づつにしませんか?」

「そうだな」


半分づつに切り分け食べ始める。


「アイラと一緒に食べるご飯は美味しいな」


笑顔のオスカー様を見て自然と私も笑みが溢れた。


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