3 / 36
第一章
戻ってきた!
しおりを挟む
目が覚めると、そこは見慣れた景色が広がっていた。
昔、兄様や姉様と遊んだや王都の景色そして、王城。
俺が今いるのもよく兄様と遊んだ小高い丘。
もう五年も前のことだけど、何も変わらず、
何も忘れていない。
あぁ、戻って来たんだな。
俺にとって今世での故郷に‥‥‥!
「なんなの、ここ。どこなのよ⁉︎」
中冨の甲高い声が響いて来た。
それに応じるように周りがザワザワして、収集がつかない状態になってしまった。
「そうだ!どこなんだよ。俺達教室にいたよな。なんでこんなことになってるんだ!」
「落ち着いてください、異世界の方々」
ザワザワとうるさく響く声を遮るように凛とした声が通った。
現れたのはスラっとして、顔の整った好青年だった。
歳的には俺達と同じくらいだろう。
にしても、どっかで見たことあるな。
魔力の感じ方にも覚えがあるし。
「おい、誰か来たぞ。あいつ何言ってるんだよ。ふざけてんのか!」
鳴宮がその声の主に苛ついた様子で言った。
どうにも、俺以外は誰も彼が言っている言葉が分からないようだった。
この世界に転生して既にこの世界の言語を喋ったり、書いていたり出来たから異世界から来た人はみんな分かるものだと思っていたが違うらしい。
鳴宮の声でさらにパニックになり、もう何が何だか分からない状態になっていた。
「落ち着いてください!はぁ、仕方ない精神魔法を使うしかないか」
彼はボソッというと詠唱を始めた。
やばい、精神魔法はなんの抵抗もない人にしたらどうなるか分からない。
辞めさせなければ!
でも、俺が彼と話せば余計にややこしくなるし、少し心配だけど念話をするしかないか。
念話は相手の魔力に干渉し、脳内を一時的に錯覚状態にする事で声が繋がっているようにする。
実際、錯覚状態と言っても会話は成立するし、危害を加えるなんて事出来ない。
出来て、言葉の暴力ぐらいだろう。
念話のスキルを持っていなくとも持っているものから干渉があった際、一時的で会話している人だけに限られるけど念話が成立する。
地球に行ってから魔法は使えなかったし、ざっと五年振りくらいかな?
失敗したらその時だ、精神魔法の被害リスクが大きすぎることを考えるとこっちの方が良いからな。
【あの、精神魔法はリスクが高すぎると思います。ここにいるのは魔法抵抗がない者ばかりです。だから、精神魔法はやめて下さい。皆んなへの説明は俺が上手くしますから】
念話に反応して彼は俺の気配を探している様子だった。
鋭い顔をして辺りを警戒している。
【何者だ。返答次第では対処も考える】
頭の中に彼の声が飛び込んできた。
その声はとても鋭く、確実に人を脅かす声色だった。
ヤバイな、相当怒ってるぞ。
ん~、念話なんだし、俺の正体バラしてもいいかな?
この世界の人なら俺のことを知っているだろうし、信じるかどうかは分からないけど話してみる価値はありそうだ。
何より、彼は信頼できる気がする。
なんとなくだけど。
【貴方が信じてくれるかどうかは分かりませんが、俺の名前はハルヤ・シーリス。この国の第二王子です】
言い終わり顔をそっと上げると彼は静かに涙を流していた。
えっ?なに、何がどうした?
えっと、なんか変なこと言った?
表情が急に変わりすぎて理解が追いつかないんだけど。
【お待ちしておりました、ハルヤ様。俺のこと覚えてらっしゃいますか?俺の名前はナーマ・リースリア。きっと会えると信じていました】
彼、ナーマ・リースリアは念話であるにも関わらず声を震わせていた。
ナーマ・リースリア?
あ!王国騎士団長の息子。
赤ちゃんの時からずっと一緒に育ってきた、幼馴染で親友だ。
懐かしいな、俺の事、覚えててくれるなんていい奴だ。
昔、ナーマに《一生、貴方の騎士としてこの身、この命をかけましょう》と言われた事がある。
あの時はビックリした、十歳にも満たない子供がこんなことを言い出したのだから。
俺は見た目は子供だが中身は無駄に生き、知識をつけすぎたただの男だからな。
というか、そもそもの疑問だけど、俺が言うのもなんだが簡単に信じすぎだろう。
【俺がいうのも何ですが、ナーマさん、よく俺の事信じましたね】
【ここにきた時から何だか懐かしい魔力を感じると思っていましたが貴方様と話して、名前を聞いて確信しました。貴方様が私がお仕えするべき方だと。それと、俺のことは昔のようにナーマと呼んでください】
ナーマは懐かしむように、語りかけるように言った。
そうか、だから魔力の感じ方に覚えがあったのか。
悲しいけど、王族の俺は家族以外に遊び相手と言える人がナーマしかいなかった。
他の人は俺の地位や父様に取り入るために利用するためとか色々な思惑が絡み合ってあの時は気持ちが悪かった。
前世の記憶があるから余計に。
それに引き換えナーマは本当の友と言えるくらい純粋に仲良くしてくれた。
【少し長話をし過ぎましたね。ハルヤ様、皆様への説明お願いいたします。王宮で陛下がお待ちになっておりますので】
ナーマのその言葉にハッとして、辺りを見回すと雫達はポカンとしていた。
仕方ないよな、さっきまで訳わかんない言語で喋っていたのに急に黙り込んだと思ったら涙流して泣いてるんだから。
「なぁ、悠弥。あの人どうしたと思う?」
皆んなのポカンとした顔を見ていると雫が話しかけてきた。
「さぁ?なんか悲しい事でもあったんじゃないのか」
「そ、そうだな。っていうか、お前もさっきから話しかけても反応しなかったけど大丈夫か?」
俺の顔を雫が心配そうに覗き込んだ。
「あぁ、大丈夫」
雫にそう答えながら俺は考えていた。
さて、どう説明したものか。
説明するとは言ったものの何も考えてないんだよな。
ほぼ、勢いで行っちゃった感じすごいし。
もうこの際だし、異世界に来ちゃったって事やんわり伝えるか。
その方が早いかも。
「あのさぁ‥‥」
「なぁ、ここってもしかして異世界ってやつじゃない?」
俺が言おうとしていると一緒に召喚された柳城華深が言った。
華深はクラスでは少し浮いた存在だ。
何を考えているのかよく分からないし人付き合いも得意そうには見えない。
華深の言葉にいた皆んなは驚きを隠せない様子だった。
「ねぇ、本当にここ異世界なの?柳城くん」
驚いた顔で先生が華深に聞き返した。
「だって、先生。そうだとしか考えられないじゃないですか、この状況」
「でも、そんな事、現実なわけ‥‥」
華深の言葉に混乱していたのは先生だけではなく周りも同じらしかった。
「た、確かにそうよね。きっとここ異世界なんだわ」
「俺達は選ばれし者達なんだよ、きっと!」
そう口々に中冨と鳴宮が言う。
自分達を納得させるものか、それとも自分が特別だと誇示したいのかこの二人が言うと少し分からない。
「なぁ、ともかく彼について行った方が良いんじゃないか。なんか良い人そうだし。服装とかもなんか騎士って感じするだろ」
中冨や鳴宮の言葉を利用してやんわりと王城へ行くためにナーマを指して言った。
「確かにな。信頼出来るかどうかは別として、この人は俺達を落ち着かせようとする素振りを何回か見せたり、仮にここが異世界だとしてこの格好からするにこの国の騎士だろうし。良い人なのは間違いないかもな」
雫が俺の言葉に考え込むように答えた。
「でも、それちょっと早計すぎない?」
雫にグサリと刺すように絢香が言った。
「いや、でもあの悠弥が言うんだぞ。大抵の人を信じてません、みたいな奴が」
俺を指差して雫が大真面目な表情で言う。
ひどい、コイツなんて事考えてんだよ。
俺、そんなやつに見えてたのか?
ツッコミたいけど雫、多分大真面目で言ってるからツッコミずらいし。はぁ~。
「そうだね。確かにあの悠弥くんが言うんだもんね、なんか信じられるかも」
絢香が頷きながら雫の言葉を肯定する。
二人の言葉に若干呆れながら皆んなを見ると、同感と言うように頷いていた。
「まとまったようですね。では、いきましょうか」
雫達がナーマこの言葉を分からないようにナーマも俺達が喋っている言語が分からないはずなのに、さも分かっているかのような雰囲気をだしテキパキと手で身振り手振りしながら指示をしている。
流石だな。
十五歳でこれなら将来は超出来る男に成長してるな。
その指示で皆んなが立ち上がりナーマについていこうことすると先生が俺達の前に立ってナーマを少し睨むような感じで見た。
「待って下さい!まだ、貴方のことを完全に信用したわけではありません。なので、その腰に差した剣を渡して下さい」
堂々した気迫でナーマを見つめ言う。
その先生に見つめられナーマは俺に助けを求めるようにチラチラとこっちを見て、俺が気付き頷くと頭の中に声が響いてきた。
【ハルヤ様、この女性はなにを言っているのですか、何か凄いこと言われてる感じはするのですが、恥ずかしながら言語分からず、申し訳ありません】
【良いよ、普通分からないし。で、まだ、信用出来ていないからナーマの腰の剣を渡して欲しいんだって】
「しかし‥‥」
俺の説明した先生の言葉に腰の剣に手を触れながら困っているようだった。
「何か困る事でもあるんですか?それでは絶対に信用出来ません」
「はぁ、分かりました。危険なものですので絶対に鞘を取らないでください」
先生の言葉をなんとなくで察したのか腰の剣を取ると注意を言いながら鞘から剣を抜き近くにあった木を切ると、音を立て倒れた。
それを見ていた俺達は目を丸くして見ており、それだけでこの剣の鋭さ、危険性が分かったようでナーマから受け取ると先生は国宝でも持つかのように大事そうに受け取った。
「あ、ありがとうございます」
「では、転移で向かいます」
当たり前のようにナーマが言う。
そう言うと地面が光り、魔法陣が現れた。
転移は距離で詠唱が決まっているが王城までの距離なら無詠唱でもいける。
は?あれ?俺、言わなかったっけ、ここにいる人は魔法耐性無いって!
「ちょ、まって」
あまりに慌てすぎてナーマには伝わらないことを忘れて日本語で話してしまった。
お陰でナーマには伝わらず、俺達は王城へと転移した。
昔、兄様や姉様と遊んだや王都の景色そして、王城。
俺が今いるのもよく兄様と遊んだ小高い丘。
もう五年も前のことだけど、何も変わらず、
何も忘れていない。
あぁ、戻って来たんだな。
俺にとって今世での故郷に‥‥‥!
「なんなの、ここ。どこなのよ⁉︎」
中冨の甲高い声が響いて来た。
それに応じるように周りがザワザワして、収集がつかない状態になってしまった。
「そうだ!どこなんだよ。俺達教室にいたよな。なんでこんなことになってるんだ!」
「落ち着いてください、異世界の方々」
ザワザワとうるさく響く声を遮るように凛とした声が通った。
現れたのはスラっとして、顔の整った好青年だった。
歳的には俺達と同じくらいだろう。
にしても、どっかで見たことあるな。
魔力の感じ方にも覚えがあるし。
「おい、誰か来たぞ。あいつ何言ってるんだよ。ふざけてんのか!」
鳴宮がその声の主に苛ついた様子で言った。
どうにも、俺以外は誰も彼が言っている言葉が分からないようだった。
この世界に転生して既にこの世界の言語を喋ったり、書いていたり出来たから異世界から来た人はみんな分かるものだと思っていたが違うらしい。
鳴宮の声でさらにパニックになり、もう何が何だか分からない状態になっていた。
「落ち着いてください!はぁ、仕方ない精神魔法を使うしかないか」
彼はボソッというと詠唱を始めた。
やばい、精神魔法はなんの抵抗もない人にしたらどうなるか分からない。
辞めさせなければ!
でも、俺が彼と話せば余計にややこしくなるし、少し心配だけど念話をするしかないか。
念話は相手の魔力に干渉し、脳内を一時的に錯覚状態にする事で声が繋がっているようにする。
実際、錯覚状態と言っても会話は成立するし、危害を加えるなんて事出来ない。
出来て、言葉の暴力ぐらいだろう。
念話のスキルを持っていなくとも持っているものから干渉があった際、一時的で会話している人だけに限られるけど念話が成立する。
地球に行ってから魔法は使えなかったし、ざっと五年振りくらいかな?
失敗したらその時だ、精神魔法の被害リスクが大きすぎることを考えるとこっちの方が良いからな。
【あの、精神魔法はリスクが高すぎると思います。ここにいるのは魔法抵抗がない者ばかりです。だから、精神魔法はやめて下さい。皆んなへの説明は俺が上手くしますから】
念話に反応して彼は俺の気配を探している様子だった。
鋭い顔をして辺りを警戒している。
【何者だ。返答次第では対処も考える】
頭の中に彼の声が飛び込んできた。
その声はとても鋭く、確実に人を脅かす声色だった。
ヤバイな、相当怒ってるぞ。
ん~、念話なんだし、俺の正体バラしてもいいかな?
この世界の人なら俺のことを知っているだろうし、信じるかどうかは分からないけど話してみる価値はありそうだ。
何より、彼は信頼できる気がする。
なんとなくだけど。
【貴方が信じてくれるかどうかは分かりませんが、俺の名前はハルヤ・シーリス。この国の第二王子です】
言い終わり顔をそっと上げると彼は静かに涙を流していた。
えっ?なに、何がどうした?
えっと、なんか変なこと言った?
表情が急に変わりすぎて理解が追いつかないんだけど。
【お待ちしておりました、ハルヤ様。俺のこと覚えてらっしゃいますか?俺の名前はナーマ・リースリア。きっと会えると信じていました】
彼、ナーマ・リースリアは念話であるにも関わらず声を震わせていた。
ナーマ・リースリア?
あ!王国騎士団長の息子。
赤ちゃんの時からずっと一緒に育ってきた、幼馴染で親友だ。
懐かしいな、俺の事、覚えててくれるなんていい奴だ。
昔、ナーマに《一生、貴方の騎士としてこの身、この命をかけましょう》と言われた事がある。
あの時はビックリした、十歳にも満たない子供がこんなことを言い出したのだから。
俺は見た目は子供だが中身は無駄に生き、知識をつけすぎたただの男だからな。
というか、そもそもの疑問だけど、俺が言うのもなんだが簡単に信じすぎだろう。
【俺がいうのも何ですが、ナーマさん、よく俺の事信じましたね】
【ここにきた時から何だか懐かしい魔力を感じると思っていましたが貴方様と話して、名前を聞いて確信しました。貴方様が私がお仕えするべき方だと。それと、俺のことは昔のようにナーマと呼んでください】
ナーマは懐かしむように、語りかけるように言った。
そうか、だから魔力の感じ方に覚えがあったのか。
悲しいけど、王族の俺は家族以外に遊び相手と言える人がナーマしかいなかった。
他の人は俺の地位や父様に取り入るために利用するためとか色々な思惑が絡み合ってあの時は気持ちが悪かった。
前世の記憶があるから余計に。
それに引き換えナーマは本当の友と言えるくらい純粋に仲良くしてくれた。
【少し長話をし過ぎましたね。ハルヤ様、皆様への説明お願いいたします。王宮で陛下がお待ちになっておりますので】
ナーマのその言葉にハッとして、辺りを見回すと雫達はポカンとしていた。
仕方ないよな、さっきまで訳わかんない言語で喋っていたのに急に黙り込んだと思ったら涙流して泣いてるんだから。
「なぁ、悠弥。あの人どうしたと思う?」
皆んなのポカンとした顔を見ていると雫が話しかけてきた。
「さぁ?なんか悲しい事でもあったんじゃないのか」
「そ、そうだな。っていうか、お前もさっきから話しかけても反応しなかったけど大丈夫か?」
俺の顔を雫が心配そうに覗き込んだ。
「あぁ、大丈夫」
雫にそう答えながら俺は考えていた。
さて、どう説明したものか。
説明するとは言ったものの何も考えてないんだよな。
ほぼ、勢いで行っちゃった感じすごいし。
もうこの際だし、異世界に来ちゃったって事やんわり伝えるか。
その方が早いかも。
「あのさぁ‥‥」
「なぁ、ここってもしかして異世界ってやつじゃない?」
俺が言おうとしていると一緒に召喚された柳城華深が言った。
華深はクラスでは少し浮いた存在だ。
何を考えているのかよく分からないし人付き合いも得意そうには見えない。
華深の言葉にいた皆んなは驚きを隠せない様子だった。
「ねぇ、本当にここ異世界なの?柳城くん」
驚いた顔で先生が華深に聞き返した。
「だって、先生。そうだとしか考えられないじゃないですか、この状況」
「でも、そんな事、現実なわけ‥‥」
華深の言葉に混乱していたのは先生だけではなく周りも同じらしかった。
「た、確かにそうよね。きっとここ異世界なんだわ」
「俺達は選ばれし者達なんだよ、きっと!」
そう口々に中冨と鳴宮が言う。
自分達を納得させるものか、それとも自分が特別だと誇示したいのかこの二人が言うと少し分からない。
「なぁ、ともかく彼について行った方が良いんじゃないか。なんか良い人そうだし。服装とかもなんか騎士って感じするだろ」
中冨や鳴宮の言葉を利用してやんわりと王城へ行くためにナーマを指して言った。
「確かにな。信頼出来るかどうかは別として、この人は俺達を落ち着かせようとする素振りを何回か見せたり、仮にここが異世界だとしてこの格好からするにこの国の騎士だろうし。良い人なのは間違いないかもな」
雫が俺の言葉に考え込むように答えた。
「でも、それちょっと早計すぎない?」
雫にグサリと刺すように絢香が言った。
「いや、でもあの悠弥が言うんだぞ。大抵の人を信じてません、みたいな奴が」
俺を指差して雫が大真面目な表情で言う。
ひどい、コイツなんて事考えてんだよ。
俺、そんなやつに見えてたのか?
ツッコミたいけど雫、多分大真面目で言ってるからツッコミずらいし。はぁ~。
「そうだね。確かにあの悠弥くんが言うんだもんね、なんか信じられるかも」
絢香が頷きながら雫の言葉を肯定する。
二人の言葉に若干呆れながら皆んなを見ると、同感と言うように頷いていた。
「まとまったようですね。では、いきましょうか」
雫達がナーマこの言葉を分からないようにナーマも俺達が喋っている言語が分からないはずなのに、さも分かっているかのような雰囲気をだしテキパキと手で身振り手振りしながら指示をしている。
流石だな。
十五歳でこれなら将来は超出来る男に成長してるな。
その指示で皆んなが立ち上がりナーマについていこうことすると先生が俺達の前に立ってナーマを少し睨むような感じで見た。
「待って下さい!まだ、貴方のことを完全に信用したわけではありません。なので、その腰に差した剣を渡して下さい」
堂々した気迫でナーマを見つめ言う。
その先生に見つめられナーマは俺に助けを求めるようにチラチラとこっちを見て、俺が気付き頷くと頭の中に声が響いてきた。
【ハルヤ様、この女性はなにを言っているのですか、何か凄いこと言われてる感じはするのですが、恥ずかしながら言語分からず、申し訳ありません】
【良いよ、普通分からないし。で、まだ、信用出来ていないからナーマの腰の剣を渡して欲しいんだって】
「しかし‥‥」
俺の説明した先生の言葉に腰の剣に手を触れながら困っているようだった。
「何か困る事でもあるんですか?それでは絶対に信用出来ません」
「はぁ、分かりました。危険なものですので絶対に鞘を取らないでください」
先生の言葉をなんとなくで察したのか腰の剣を取ると注意を言いながら鞘から剣を抜き近くにあった木を切ると、音を立て倒れた。
それを見ていた俺達は目を丸くして見ており、それだけでこの剣の鋭さ、危険性が分かったようでナーマから受け取ると先生は国宝でも持つかのように大事そうに受け取った。
「あ、ありがとうございます」
「では、転移で向かいます」
当たり前のようにナーマが言う。
そう言うと地面が光り、魔法陣が現れた。
転移は距離で詠唱が決まっているが王城までの距離なら無詠唱でもいける。
は?あれ?俺、言わなかったっけ、ここにいる人は魔法耐性無いって!
「ちょ、まって」
あまりに慌てすぎてナーマには伝わらないことを忘れて日本語で話してしまった。
お陰でナーマには伝わらず、俺達は王城へと転移した。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる