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私は焼きたてのパンケーキを持ってユウリのところに向かった。
ちょうど勉強の時間が終わる頃を見計らって向かっていた。
部屋の前につくとトントンと扉をノックする。
「はい...」
中から少し元気がないユウリの声が聞こえてきた。
「ユウリ?」
私が声をかけると中からガタガタと音がする。
「おかーさま!」
ユウリが駆けながら扉を開けに来てくれた。
「扉を開けてくれてありがとう」
ユウリにお礼を言おうと顔を見ると少し目元が赤い。
私は部屋に入りパンケーキをアンに預けてユウリの目元を触った。
「ユウリ、泣いたの?」
ユウリの顔を触るとハッとした顔を見せて目元をこする。
「い、いいえ!めにゴミが、その」
ユウリは違うと必死に誤魔化していた。
私はユウリが話したくないのだと思い話題を変える。
「お勉強頑張ったみたいだからパンケーキを焼いてきたわ」
そう言うとユウリの顔がみるみると明るくなる。
「た、たべていいですか?」
「もちろんよ」
アンがササッとパンケーキの用意とお茶を準備してくれる。
その間にユウリにどんな勉強をしたのか聞いてみた。
「きょうは歴史の勉強と、マナーをしました。でも...ぼく逃げちゃったから...」
そういいながら手を隠すようにした。
「そう、頑張って偉いわ!」
私は大袈裟に褒めながらユウリの手を掴み小さな手を包み込む、ギュッと触りながら手を見ると手の甲が少し赤くなっていた。
「頑張ったのね...」
私は顔には出さないように必死に抑えながらユウリに笑いかけた。
ユウリは美味しい美味しいと何度も言いながらパンケーキを食べてくれた。
おかわりをしたいと言ったが夕飯を食べられなくなってしまうのでまた作る約束をして諦めてもらった。
お腹いっぱいになったユウリは目がトロンとしてきた。
私はユウリを膝に乗せ、ゆっくりと揺らしながら話を聞く。
ユウリは色々と話をしてくれながらそのうちウトウトと寝てしまった。
ユウリをベッドに寝かせると私はアンに話しかけた。
「ユウリの家庭教師は誰だったかしら?」
「確かユリベール夫人だったかと」
「ユリベール?」
誰だったかと記憶を探るが思い出せない。
「確か旦那様の家庭教師もした事がある方でしたよ。ユウリ様がお生まれになって夫人から志願して来たのを旦那様に恩があるからとか」
アンが教えてくれた。
しかし私はウィリアムの家庭教師だったと聞いて嫌な予感がした。
ウィリアムも幼少期に辛い時期を過ごしているのだ...そんな時にいた家庭教師にユウリの涙や手の甲の傷が重なる。
私は気持ちよく眠るユウリのそばに腰掛けてゆっくりとブランケットをかけてあげた。
◆
「ウィリアム様、少しご休憩なさってはどうでしょう?」
アルバートの声に私は顔をあげた。
するとアルバートがニコニコと笑いながら手に何かを持っている。
「今日はパンケーキをご用意しました。お茶の準備もありますので」
返事をする前にもうテーブルに用意していた。
ちょうど少し休みたかったのでありがたく受け取ることにした。
最近はプルメリアとの関係も良好でしかも屋敷の仕事もするようになってくれたので随分と助かっている。
他の事に気を取られず、仕事に集中できるので熱中してやっていた。
「パンケーキなんて珍しいな」
いつもならひと口で食べられるものを用意されているがこんな事ははじめてだった。
それでも頭を使ったので甘い物を取りたく口に運ぶ。するとひと口食べた瞬間。
「美味い」
思わず声が出てしまった。
今まさに食べたいと思っていたような、どことなく懐かしくなる味に手が止まらなくなり、あっという間に平らげてしまう。
「ピートは腕を上げたな」
シェフの名前を出すとアルバートがさらにニヤニヤと笑いだした。
「美味しいですねそのパンケーキ、私も食べましたが何故か母を思い出す味でした」
「うん? その様子だとピートが作ったのではないのか」
「はい! それは...いえ、なんでもありません」
アルバートは今にも話し出しそうだったのに急にしまったとした顔をして口を閉ざした。
「アルバート、お前の主人は誰だ?」
私は低い声でアルバートに質問する。するとアルバートは姿勢を正し頭を下げた。
「ウィリアム様です」
はっきりとした口調に頷く。
「では、このパンケーキを作ったのは誰だ?」
アルバートは観念したように話し出した。
◆
「プルメリア、今日から私の部屋で寝ないか?」
今夜は部屋に来るなりウィリアムがそんなことを言い出した。
「それは...何故でしょう?」
どんな心境の変化なのかと思ったがなるべく顔に出さないように聞いてみる。
「プルメリアのベッドだと3人で寝るには少し手狭だろう。私のベッドならここよりも大きいからな」
あー、そういう事ならお言葉に甘えよう。
「それはいいですね。ユウリお父様のベッドで寝られるわよ」
私はユウリの顔を見て声をかける。すると緊張と期待の顔で少し顔が強ばった。
「い、いいの?」
ユウリが窺うように聞いてくるので私は笑顔で頷いた。
「お母さんもお父様のベッドは久しぶり、、楽しみね。ここより大きなベッドよ」
ユウリは大きいと聞いて早く行きたくなったようで私の手を引くと早く早くと促した。
「では行こうか」
ウィリアムがそういうと急ぐユウリを抱き上げて私の横に立ち歩くよう促す。
ユウリは初めての抱っこにびっくりして固まっていたが背の高いウィリアムの視線に徐々に楽しそうにしていた。
部屋につくとユウリは初めての部屋に色々と探検をする。
今日は本を読まなくてもすぐに寝てしまうかもしれないと私は苦笑した。
ちょうど勉強の時間が終わる頃を見計らって向かっていた。
部屋の前につくとトントンと扉をノックする。
「はい...」
中から少し元気がないユウリの声が聞こえてきた。
「ユウリ?」
私が声をかけると中からガタガタと音がする。
「おかーさま!」
ユウリが駆けながら扉を開けに来てくれた。
「扉を開けてくれてありがとう」
ユウリにお礼を言おうと顔を見ると少し目元が赤い。
私は部屋に入りパンケーキをアンに預けてユウリの目元を触った。
「ユウリ、泣いたの?」
ユウリの顔を触るとハッとした顔を見せて目元をこする。
「い、いいえ!めにゴミが、その」
ユウリは違うと必死に誤魔化していた。
私はユウリが話したくないのだと思い話題を変える。
「お勉強頑張ったみたいだからパンケーキを焼いてきたわ」
そう言うとユウリの顔がみるみると明るくなる。
「た、たべていいですか?」
「もちろんよ」
アンがササッとパンケーキの用意とお茶を準備してくれる。
その間にユウリにどんな勉強をしたのか聞いてみた。
「きょうは歴史の勉強と、マナーをしました。でも...ぼく逃げちゃったから...」
そういいながら手を隠すようにした。
「そう、頑張って偉いわ!」
私は大袈裟に褒めながらユウリの手を掴み小さな手を包み込む、ギュッと触りながら手を見ると手の甲が少し赤くなっていた。
「頑張ったのね...」
私は顔には出さないように必死に抑えながらユウリに笑いかけた。
ユウリは美味しい美味しいと何度も言いながらパンケーキを食べてくれた。
おかわりをしたいと言ったが夕飯を食べられなくなってしまうのでまた作る約束をして諦めてもらった。
お腹いっぱいになったユウリは目がトロンとしてきた。
私はユウリを膝に乗せ、ゆっくりと揺らしながら話を聞く。
ユウリは色々と話をしてくれながらそのうちウトウトと寝てしまった。
ユウリをベッドに寝かせると私はアンに話しかけた。
「ユウリの家庭教師は誰だったかしら?」
「確かユリベール夫人だったかと」
「ユリベール?」
誰だったかと記憶を探るが思い出せない。
「確か旦那様の家庭教師もした事がある方でしたよ。ユウリ様がお生まれになって夫人から志願して来たのを旦那様に恩があるからとか」
アンが教えてくれた。
しかし私はウィリアムの家庭教師だったと聞いて嫌な予感がした。
ウィリアムも幼少期に辛い時期を過ごしているのだ...そんな時にいた家庭教師にユウリの涙や手の甲の傷が重なる。
私は気持ちよく眠るユウリのそばに腰掛けてゆっくりとブランケットをかけてあげた。
◆
「ウィリアム様、少しご休憩なさってはどうでしょう?」
アルバートの声に私は顔をあげた。
するとアルバートがニコニコと笑いながら手に何かを持っている。
「今日はパンケーキをご用意しました。お茶の準備もありますので」
返事をする前にもうテーブルに用意していた。
ちょうど少し休みたかったのでありがたく受け取ることにした。
最近はプルメリアとの関係も良好でしかも屋敷の仕事もするようになってくれたので随分と助かっている。
他の事に気を取られず、仕事に集中できるので熱中してやっていた。
「パンケーキなんて珍しいな」
いつもならひと口で食べられるものを用意されているがこんな事ははじめてだった。
それでも頭を使ったので甘い物を取りたく口に運ぶ。するとひと口食べた瞬間。
「美味い」
思わず声が出てしまった。
今まさに食べたいと思っていたような、どことなく懐かしくなる味に手が止まらなくなり、あっという間に平らげてしまう。
「ピートは腕を上げたな」
シェフの名前を出すとアルバートがさらにニヤニヤと笑いだした。
「美味しいですねそのパンケーキ、私も食べましたが何故か母を思い出す味でした」
「うん? その様子だとピートが作ったのではないのか」
「はい! それは...いえ、なんでもありません」
アルバートは今にも話し出しそうだったのに急にしまったとした顔をして口を閉ざした。
「アルバート、お前の主人は誰だ?」
私は低い声でアルバートに質問する。するとアルバートは姿勢を正し頭を下げた。
「ウィリアム様です」
はっきりとした口調に頷く。
「では、このパンケーキを作ったのは誰だ?」
アルバートは観念したように話し出した。
◆
「プルメリア、今日から私の部屋で寝ないか?」
今夜は部屋に来るなりウィリアムがそんなことを言い出した。
「それは...何故でしょう?」
どんな心境の変化なのかと思ったがなるべく顔に出さないように聞いてみる。
「プルメリアのベッドだと3人で寝るには少し手狭だろう。私のベッドならここよりも大きいからな」
あー、そういう事ならお言葉に甘えよう。
「それはいいですね。ユウリお父様のベッドで寝られるわよ」
私はユウリの顔を見て声をかける。すると緊張と期待の顔で少し顔が強ばった。
「い、いいの?」
ユウリが窺うように聞いてくるので私は笑顔で頷いた。
「お母さんもお父様のベッドは久しぶり、、楽しみね。ここより大きなベッドよ」
ユウリは大きいと聞いて早く行きたくなったようで私の手を引くと早く早くと促した。
「では行こうか」
ウィリアムがそういうと急ぐユウリを抱き上げて私の横に立ち歩くよう促す。
ユウリは初めての抱っこにびっくりして固まっていたが背の高いウィリアムの視線に徐々に楽しそうにしていた。
部屋につくとユウリは初めての部屋に色々と探検をする。
今日は本を読まなくてもすぐに寝てしまうかもしれないと私は苦笑した。
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