魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩

文字の大きさ
2 / 23

2

しおりを挟む
この頃、部屋に戻り私はソワソワしながら待っていた。

今はカリーナが魔法の授業を受けている。

魔力がないので魔法なんて縁がないと思っていたが、勉強出来るようになるとは思わなかった。

もしかしたら私にも魔力が増えて両親から必要とされる日が来るかもしれないと思えた。

しばらくしてエリオ先生が部屋へとやってきた。

メイドがここまで案内したようで、先生と色々と話をしている。

「エリオ様、この後お茶をご用意しますので」

「良かったらこちらで休んでください」

部屋に入ろうとする先生をお茶に誘っている。

「フィオナ様の授業をしなければいけませんから」

断るエリオ先生にメイドは眉を顰めた。

「フィオナ様は、魔力が10しかないんですよ。私より低い人に教えても意味がありませんよ。それより私に教えて頂けませんか?ベッドで教えてくださっても構いません」

コソコソと笑いながら何か話している。

「あっ、大丈夫です」

エリオ先生は笑顔で断るとバタンと部屋の扉を閉めた。

「んー!」

扉の向こうではメイドのイラつく声が聞こえて、私は少し怖くなった。

「はー、やれやれ」

先生は部屋に入るとため息をついた。

両親の前で見せた笑顔ではなくうんざりした顔をしていたが私と視線があうと笑みを見せる。

なんか貼り付けたような笑顔に先程の顔が先生の本当の顔なんだろうな……となんとなく思った。

「フィオナ様、座ってください」

先生が丁寧な言葉で椅子を指し示す。

「はい」

私は頷いて大人しく座る。

「ではまずちょっと魔力を見せて貰うね」

「はい」

私は頷いた。

先生が手を出すのでジッとしていると、先生が首を傾げた。

「えっと手を出してくれる?」

「あっすみません」

私は恐る恐る手を出した。

先生が私の手を握ろうとするのだが、私はサッと手を隠してしまう。

「どうしたの?」

先生が不思議がっていた。

「その、私に触るとみんな気分が悪くなるみたいで……先生もその」

私は話しながら顔を下に向ける。

私がこの離れにいるのもそれが理由の一部だった。

ある時メイドが転んだので助け出そうとしたところ、メイドはみるみる気分が悪くなり気を失ったのだ。

それから私が触れるとみんな力が抜けたり、気分が悪くなることから、フィオナに触れると死ぬとか呪われるなどメイド達は噂するようになった。

「ふーん」

私の話を先生は興味深そうに聞いている。

「でもそれも触れてみないとわからないよね」

先生はまた手を差し出した。

私は恐る恐る一瞬指先だけ先生の手のひらに触れる。

「ふふ、それじゃわからないよ」

先生は笑うと私の手を取った。

「あっ!」

人の手を握ったのは久しぶりだった。

先生は私に触れると驚いた顔をしてずっと手を見つめている。

「これは……」

なにか考えるような表情で固まってしまった。

「せ、先生?」

私が声をかけるとハッとして手を離した。

「うん、わかった事がいくつかあったよ。確かにフィオナ様に触れると力が抜けていく」

その言葉に私は絶望する。

メイド達が嫌がらせで言っていたのかと思ったが……本当に私は人を呪ってしまっていたのだ。

「うっ……」

私はたまらずに涙を流した。

「え?あっ!ご、ごめん大丈夫?」

エリオ先生は私が泣くと慌てて謝ってくれた。

別に先生が悪い訳ではなく自分の運命に絶望して涙を流しているのだ。

「先生は悪くありません……私これから人に迷惑かけないようにします」

でも両親がこの事を知れば私は……

ただでさえ厄介者扱いなのに迷惑をかけることを知れば捨てられるかもしれない。

私は恐ろしくて蒼白になる。

「大丈夫、この力は抑えることが出来るよ。僕がそれを教えてあげるから安心して」

先生は両親の前の時とは違い砕けた感じで安心させるように話しかけてくれた。

「本当ですか?」

「うん、それにこの事はご両親には内緒にしておいてあげる。だから君もこの力を人に言っては駄目だよ。それが守れるなら抑える方法を教えてあげる」

私にはいいことしかない提案にコクコクとうなずいた。

先生は私の手のひらに指先で何か書くと魔力を込めた。

私はその様子を驚きながら眺めていた。

「綺麗……」

先生の魔法は緑色に輝いている。
キラキラと先生を包み込むようにゆらめいていた。

「何が綺麗なの?」

先生がキョトンと私を見つめる。

「そ、その先生の魔力が綺麗で……」

そう言うと先生はガタと椅子を倒しながら立ち上がった。

「君、魔力が見えるの!?」

「は、はい」

先生は何を言っているのだろうと私は驚いた。

この国には魔力があり、平民からみんな持っている。そして魔力には色がありその人の性質や量によって大きさや色を変えるのだ。

「先生は緑色の綺麗な魔力です。こんな量の魔力は初めて見ました」

そう言うと口をおさえた。

「フィオナ様は魔力が見えているんですね?」

「は、はい。これみんな見えますよね?」

生まれた時から当たり前の事で人に聞いた事もなかったがこんな反応をされると思わなかった。

だって魔力が測れてその人が使ったりできるんだからみんな見えているんだよね?

私が不安そうにすると先生は椅子を直してまた座る。

「色々と話したいし調べたいけど時間がないからよく聞いて、君のその魔力を吸う力や魔力が見える事は他の人にはできない事なんだ。だから人に言っては駄目だよ」

「え?」

魔力って見えないの?

私は初めて知る事実に驚いた。

「君のこともう少し調べたいけどもう帰らないと、明日また来るから続きはその時ね。あっあと魔力を吸う力は僕が軽く封をしておいたから大丈夫だよ」

先生はパチッとウィンクする。

私は自分の手を見つめた、これで人を苦しめる事は無くなると思うと嬉しい。

「先生、ありがとうございます」

私は目に涙を溜めてお礼を言った。

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので

モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。 貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。 ──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。 ……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!? 公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。 (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

さよなら、私の初恋の人

キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。 破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。 出会いは10歳。 世話係に任命されたのも10歳。 それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。 そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。 だけどいつまでも子供のままではいられない。 ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。 いつもながらの完全ご都合主義。 作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。 直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。 ※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』 誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。 小説家になろうさんでも時差投稿します。

妖精隠し

恋愛
誰からも愛される美しい姉のアリエッタと地味で両親からの関心がない妹のアーシェ。 4歳の頃から、屋敷の離れで忘れられた様に過ごすアーシェの側には人間離れした美しさを持つ男性フローが常にいる。 彼が何者で、何処から来ているのかアーシェは知らない。

魔女見習いの義妹が、私の婚約者に魅了の魔法をかけてしまいました。

星空 金平糖
恋愛
「……お姉様、ごめんなさい。間違えて……ジル様に魅了の魔法をかけてしまいました」 涙を流す魔女見習いの義妹─ミラ。 だけど私は知っている。ミラは私の婚約者のことが好きだから、わざと魅了の魔法をかけたのだと。 それからというものジルはミラに夢中になり、私には見向きもしない。 「愛しているよ、ミラ。君だけだ。君だけを永遠に愛すると誓うよ」 「ジル様、本当に?魅了の魔法を掛けられたからそんなことを言っているのではない?」 「違うよ、ミラ。例え魅了の魔法が解けたとしても君を愛することを誓うよ」 毎日、毎日飽きもせずに愛を囁き、むつみ合う2人。それでも私は耐えていた。魅了の魔法は2年すればいずれ解ける。その日まで、絶対に愛する人を諦めたくない。 必死に耐え続けて、2年。 魅了の魔法がついに解けた。やっと苦痛から解放される。そう安堵したのも束の間、涙を流すミラを抱きしめたジルに「すまない。本当にミラのことが好きになってしまったんだ」と告げられる。 「ごめんなさい、お姉様。本当にごめんなさい」 涙を流すミラ。しかしその瞳には隠しきれない愉悦が滲んでいた──……。

王宮メイドは今日も夫を「観察」する

kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」 王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。 ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。 だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……? ※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。

彼の過ちと彼女の選択

浅海 景
恋愛
伯爵令嬢として育てられていたアンナだが、両親の死によって伯爵家を継いだ伯父家族に虐げられる日々を送っていた。義兄となったクロードはかつて優しい従兄だったが、アンナに対して冷淡な態度を取るようになる。 そんな中16歳の誕生日を迎えたアンナには縁談の話が持ち上がると、クロードは突然アンナとの婚約を宣言する。何を考えているか分からないクロードの言動に不安を募らせるアンナは、クロードのある一言をきっかけにパニックに陥りベランダから転落。 一方、トラックに衝突したはずの杏奈が目を覚ますと見知らぬ男性が傍にいた。同じ名前の少女と中身が入れ替わってしまったと悟る。正直に話せば追い出されるか病院行きだと考えた杏奈は記憶喪失の振りをするが……。

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

処理中です...