魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩

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次の日から先生は毎日屋敷を訪れるようになった。

本来の契約は週に3日だったがカリーナが優秀で教えたいと両親に言ったところ日数を増やしてくれたらしい。

しかし先生の目的は私の方だったと後で知ることになった。

「フィオナは不思議だ、魔力がそれしかないのになんで体調が悪くならないんだろう」

先生は紙に色々と書きながらブツブツと独り言を言っている。

「せ、先生……やっぱり無理です」

私は先生に出された課題をこなしていた。
魔力を集めて放出するというものだ。
理屈ではわかるが魔力がない私には集めることすら難しい。

そうしている私のことを観察して先生は私の魔力の事について調べている。

魔力や魔法の事で知りたい事があると調べずにはいられなくなると言っていた。

「やっぱり吸う力と関係があるのかな?」

トントンと頭を叩きながら考えている。

先生は両親達の前では猫を被っているが私の前でだと敬語も使わずにありのままの姿で接してくれた。

「先生、カリーナはやっぱりすごいんですか?」

私は少し休憩しながらカリーナの事を聞いてみた。

彼女の魔力は両親よりも多い、しかしその魔力はギスギスと尖った赤い色をしていてなんか本人そっくりだ。
最初はもう少し優しい色をしていたのに

「うーん、カリーナ様はまあ普通じゃない? 悪くもなくけど特別いいわけでもないよ。それに全然努力も勉強もしないから魔力量もここらで打ち止めだろうね」

「え?」

そんなこともわかるのかと驚いた。

「みんな知らないけど魔力量はちゃんと努力すれば増えるよ。まぁ才能と生まれ持ったものもあるのは確かだけどね。頑張れば洗礼の時より何倍にもなれる」

「何倍……」

でも努力しても10の10倍にもなったとして私は100になるだけだ。

そんな事を考えていると先生が近づいて私の頭を撫でた。

「フィオナは頑張ってるよ、会う度に努力したんだってわかってる」

先生にそう言われ優しく見下ろされると鼻の頭がツーンとした。

先生に言われた事はちゃんと守り努力していた。
それをわかってくれた事がこんなにも嬉しいとは思わなかった。

「それに……」

先生は私をジッと見つめてくる。

たまにされるがなんか体の中を見られている感覚がするのだ。

「んー、やっぱり器は大きいんだよね」

先生はボソッと言うとまた紙に何か書き足していた。





先生が来る生活も何年か経ち、

カリーナの魔力は先生が言った通り変わらなかった。しかし魔法は最低限いくつか習得して先生との契約も終わりを迎えた。

「君にもっと色々教えてあげたかったが……」

先生は残念そうに私の肩に手を置いた。

あれから5年が経ち私は15歳になった、身長は先生の肩くらいまで伸びていた。

魔法の勉強は続け、努力もした、しかし私の魔力量が増える事はなかった。

魔法を覚えることはできたが肝心の魔力がないので発動する事ができない。
完全に手持ち無沙汰だ。

「君は僕の生徒の中でも一番と言ってもいいほど優秀な生徒だったよ」

先生にそう言って貰い少し誇らしくなる。先生のためにももう少し魔力が増えればなお良かったが……

「もう一人気になる子もいるんだが……」

またブツブツと独り言を言っている。
付き合いの中でわかったが先生は時々こうやって自分の世界に入ってしまうのだ。

そうなると周りの声も聞こえない。

私はそんな先生に話しかけた。
聞こえてなくていい、そう思い話しかける。

「先生、ありがとうございました。先生と過ごした日々は私にとってかけがえのない時間でした。先生にいつかこの恩が返せるようにこれからも努力します」

ペコッと頭を下げると先生がハッとする。

「あれ?何か言った?  なんで頭下げてるの?」

「なんでもありません。先生早く部屋を出ないとまた文句言われますよ」

私に長いこと教えていると両親がいい顔をしないのだ。
先生の給金が下げられでもしたら申し訳ない。
私は先生を部屋の外まで見送った。

「フィオナ、きっと君には何か役割があるんだと思う、だから……」

先生は私に諦めるなと言いたいのだろう。
しかし5年も何も変わらなかった私にそれを言うのも躊躇われているようだった。

「先生、私は魔力はないけど魔法は好きです。だから努力し続けます」

そう言うと先生は嬉しそうにうなずく。

「君に幸多かれかし……」

先生はそう言ってブレスレットをくれた。

「これは?」

「魔力吸収を抑えてくれる。これからは僕が封をしてあげられないからね。でも何かあれば僕を頼りなさい」

先生からのプレゼントを私はギュッと握りしめた。



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