魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩

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4.エリオ

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この国には魔力が重要とされる。

そんな国で僕はかなりの魔力量を持って生まれた。

爵位は男爵として生まれたが魔力が多かった事や僕が魔力や魔法に興味があり、勉強をしたおかげで早くして王宮の魔法士として雇われることになった。

魔法士の仕事として貴族や魔力が高い子の教育係を務める事があり、僕も数人の子を生徒として教えていた。

その中に気になる子がいた。

一人は伯爵家に生まれた女の子で魔力がほぼない。あれほど少ない子は初めて見た事もあり興味がわいた。

初めて会った時はその子の雰囲気から魔力の器が大きく見えて魔力量を見誤ったこともあった。

僕には人の魔力量が何となくわかるのだ、これは誰も知りえない事で他の人に言う事もない。

特別な力を知られると狙われたりするからだ。

その子は少ない魔力量から伯爵家では邪険に扱われていた。

平民から引き取った子がその屋敷では大きな顔をしており、実子のその子は息を潜めるように暮らしていた。

その子の魔法の性質を調べると興味深いものだった。

彼女は人から魔力を吸うことができるのだ。しかしその量は微弱で他の人には気が付かないだろう。
平民など魔力量の少ない人だと彼女の違和感に気がつくようだがまさか魔力を吸われているとは思ってもいないようだった。

これは戦争に使われる。

見つかる前に調べるだけ調べておこうと僕は彼女を手元に置いておいた。

ただの実験材料として見ていた子だったが、僕が言ったことを律儀に守り努力する姿は見てて好ましかった。

そして長く一緒にいる間に僕は彼女に情がわいてしまった。
家族に蔑まれ、使用人からも不当な扱いを受けながらも健気に生きるその少女にこれ以上不幸になって欲しくないと思うようになった。

穏やかな時間は長くは続かない。
彼女の魔力量の謎を解けないまま、僕の仕事の期限が終わろうとしていた。

もう1人の子供に教える事は全て教えてしまったのである。
覚えも悪く努力しないその子はまあ凡人に育った。
少しは魔力量もあるが上には上がいるこの世界で彼女の魔力量など沢山いるだろう。

フィオナにこれ以上教えてあげることができないのは心残りだが、やれる事は教えたつもりだ。

人の魔力が吸えるなんて知るものがいれば悪用しかねない。
彼女には上手くその能力を隠し活かしながら暮らして欲しかった。


そしてもう一人僕には気になる生徒がいる。

この国で唯一の公爵の爵位をもつ家に生まれた男の子だった。
彼はオニキスといい僕よりもはるかに上回る魔力量をもって生まれた。

その魔力量に公爵夫人はオニキスを産んだ時に命を落とした。
愛する妻を息子に殺されたと公爵は息子であるオニキスを恨んだ。

しかし魔力量の多いオニキスはこの国では重宝される存在だった。

父親からは恨まれる視線を注がれ、愛を知らずに育つがその魔力量のおかげで不自由することはなかった。

そんなオニキスだったが洗礼の時に事件は起こった。
あまりの魔力量に水晶玉が割れたのだ。
オニキスの魔力量は年々増えていき、今では持って生まれた器を壊してしまいそうなほど膨れ上がっていた。

人にはそれぞれ魔力量を貯めておく器がある。
フィオナはそれが大きいのに魔力量がほとんどない状態だ。

オニキスは器も大きいのだがそれをはるかに上回る魔力量にその器が悲鳴をあげている。

「うっ……」

オニキスは溢れる魔力量のせいで安眠する事も出来ず、体には痛みが走っていた。

そんな彼を私が担当することになったのだ。

初めて彼を見た時には驚いた、その時初めて自分よりも魔力量のある者を見たのだった。

しかし彼は疲れ切り目の下にはクマができ酷い顔色をしている。

私はすぐに魔力量を抑える魔道具を用意した。
しかしそれでは彼の魔力量を全て抑え切ることは出来なかった。

「先生のおかげで数時間は寝られます」

魔道具を渡した時、オニキスはそう言ってすぐに眠ったのだ。

魔道具もすぐに壊れてしまい僕は定期的にそれを交換しなければならなかった。

しかしそれが無いとオニキスの体は魔力量によって死ぬかもしれない。

研究を重ねかなりの魔力量を抑えられるようになり、オニキスもだいぶ普通の生活が送れるようになってきた。

そしてもうひとつ魔力量を放出する方法も覚えた。
それが戦いなので魔法を使う事だ。

彼はまだ子供のうちから戦場に駆り出されその魔力で敵国を滅ぼしていた。

戦場で彼を見ると敵国は恐怖に後ずさりする。
真っ黒な髪と真っ赤な瞳で鋭い眼差しを送ってくる。
そして気がついた時には魔法で辺り一面焼け野原になっているのだ。

その見た目と圧倒的攻撃力で彼は戦場の悪魔と呼ばれていた。

そんな対照的な二人の生徒に足して二で割れないものかと何度ため息をついた事か……

魔力量によって苦しむ少年と少女に僕はできる限りのことをしてあげたかった。

しかしそんな努力も虚しく、いい成果も得られぬまま月日だけがすぎ、彼らは大人になっていた。
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