魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩

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「フィオナ、王宮から招待状が届いているから用意なさい」

久しぶりにお母様から呼び出しがあったと思えばいきなり王宮からの呼び出しだった。

私は今年で18歳になった。

相変わらず魔力量は増えないが、エリオ先生からの教えを守り毎日欠かさず魔力量を増やす努力は欠かさなかった。
しかし家での扱いが変わることはなかった。

「王宮?」

そう聞いて思い出した。エリオ先生は王宮勤めだ、王宮には行きたくないが先生に会えるかもしれないと思うと行ってみたくもある。

「18歳前後の令息と令嬢は王宮にて国王様から祝福を貰うのよ、まぁあなたには必要ないかもしれないけどね」

お母様の隣でカリーナが馬鹿にしたように笑っている。

そんな常識は知っているが私は恭しく聞いてるふりをした。

ここで何かいえばまた頬を叩かれかねないからだ。

「そんなみすぼらしい格好で国王様の前に出ないでちょうだい!」

「あっなら私のお下がりをあげますわ!  もう着なくなったドレスがありますから」

お母様はそれはいいとカリーナを褒めている。

私としてはなんでもいいから早くこの場から去りたかった。

メイドからカリーナのお下がりのドレスを受け取った。

しかし見ると袖は破れ、裾は汚れている。

王宮に行く日までまだ日があるので私は一人ドレスを直すことにした。


いざ王宮に行く日、直したドレスは何とか間に合った。
髪飾りもカリーナが要らないと捨てた物を使い、どうにか形にする。

いざ王宮へと行くために屋敷の母屋に行くとカリーナがドレスを着て待っていた。

その着飾り具合はいつもより気合いが入っている。

「どこかにいくの?」

嫌な予感にいつもなら話しかけないが、声をかけてしまった。カリーナは嫌そうな顔をした後私の全身を見てフンッと笑う。

「私も王宮に行くに決まってるじゃないですか」

カリーナとは年が1つ違うが別に18歳前に行っても大丈夫なのだ。私にももう少し早く便りが来ていただろうに、お母様に無視され捨てられていたのだろう。

さすがに今年は行かないといけないので私に用意をさせたのだ。

「お姉様といたら恥ずかしいわ」

カリーナは私を無視して王宮から用意された馬車に乗り込んだ。
私は王宮に行くまでカリーナと一緒に馬車に乗るのかと思うと、ため息をついた。

案の定馬車の中ではカリーナの文句や自慢話をずっと聞かされた。
無視すれば怒り、何か言えば嫌そうな顔をする。

早く着かないかと私は寝たフリをする事にした。

やっとのことで王宮に着くと私達は城へと通される。周りには同じような令嬢が綺麗に着飾り城へと向かって歩いている。

令嬢と令息は入る入口が違うのでここにいるのは女性だけだった。

城の中に入ると大きな扉の前で待機する。
一人一人名前を呼ばれると扉から中に入った。

中ではもう令息達が来ており私達令嬢が入ってくるのを見ている。

人によってはここで嫁探しをする人もいるみたいだ。

私も呼ばれると中へと歩く、その後カリーナが呼ばれ入ってきた。

なるべく一緒にいたくなく目立たない壁際に立ち周りをそっと見回す。
カリーナが馬鹿みたいにキョロキョロと見ている姿に恥ずかしくなった。

私は広間の階段上に視線を向けた。

そこには国王と王子達が並び、その後ろに見知った顔を見つけた。

先生だ。

久しぶりに見る先生は少し歳をとっていた。
それでも美貌は変わらない、周りの令嬢達も王子に視線を向けたあと、先生の見た目にキャキャと話していた。

呼ばれた人達が全員広間に入ると国王が話し始めた。

まあ要約するとこれから前途ある若者達がこの国をより良い国にするように尽力してくれという感じである。

あとはゆっくり食事やダンスなど楽しんでくれと言うと大きな拍手が起きた。

私にダンスを誘う人などいないのはわかっているので壁に寄りかかるギリギリのところで楽しそうにする人達の事を眺めていた。

カリーナは数人にダンスに誘われ、恥ずかしそうな顔をしている。

猫をかぶる姿に騙されている、誘ってる男にご愁傷さまと心の中で笑っていた。

いつ帰れるのかな……

しかし会場は盛り上がっている。今帰ればカリーナに屋敷に戻った時に文句を言われそうだ。私はテラスに行けるドアを抜け外の空気を吸いに行った。

「はぁ」

ようやく息ができた気がした。

先生の姿も見たしもう帰りたい。終わるまでここに居ようかと考えていると私と同じように外に出てくる人がいた。

驚いて見ると顔を見合わせる。

彼も私がいると思わなかったのか私と目が合い驚いていた。

別にここは誰がいてもいい場所だ。私はペコッと頭を下げるとまた外を眺める。

彼も戻るのも私に悪いと思ったのか少し離れた場所に立ち私と同じようにため息をつく。

チラッと顔を見ると先生に負けず劣らず綺麗な顔をしていた。しかし何処か悪いのか少し具合が悪そうだ。目の下にくまがある。

服は詳細な刺繍が施されたかなり高級そうな服を着ていた。私のドレスなんて比べられない、カリーナの着てるものよりも高価に見えるので爵位が高い方かもしれないと思った。

年齢を見るにここに呼ばれた令息達とは思えなかった。

私よりいくつか上に見える。

もう戻ろうかと思いドアに向かうと……

「うっ……」

その男性が苦しそうに胸を抑える。

「あっ、大丈夫ですか?」

声をかけると大丈夫だと言うように手を上げているが声を出せないでいた。

「誰か呼んで来ましょうか?」

そう言うと何か悩んだ後顔を上げた。
その顔は苦しそうで冷や汗をかいている。

「すみませんが、エリオ男爵を呼んで頂けますか……オニキスが呼んでると……」

「エリオ先生ですか?」

まさかエリオ先生を呼んでと言われると思わずに私は驚いた。
しかし苦しそうな彼に話を聞いてる場合ではなさそうだ。

「ここに座っててください。すぐに呼んできます」

私は床にハンカチを敷くと彼を座らせる。

彼は私の手を掴み「ありがとう」と素直に座った。

そして私の手を掴んだ瞬間不思議そうにしてじっと握られた手を見つめる。

私はハッとしてすぐに手を離した。
彼に私の魔力吸いの能力に気づかれてしまったかと思った。
先生のブレスレットのおかげであれから周りの人から魔力を吸う行為はなかったはずなのに。

「すみません、その、呼んできます!」

私は彼の視線から逃れるように会場に向かった。



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