魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩

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この頃、部屋に戻り私はソワソワしながら待っていた。

今はカリーナが魔法の授業を受けている。

魔力がないので魔法なんて縁がないと思っていたが、勉強出来るようになるとは思わなかった。

もしかしたら私にも魔力が増えて両親から必要とされる日が来るかもしれないと思えた。

しばらくしてエリオ先生が部屋へとやってきた。

メイドがここまで案内したようで、先生と色々と話をしている。

「エリオ様、この後お茶をご用意しますので」

「良かったらこちらで休んでください」

部屋に入ろうとする先生をお茶に誘っている。

「フィオナ様の授業をしなければいけませんから」

断るエリオ先生にメイドは眉を顰めた。

「フィオナ様は、魔力が10しかないんですよ。私より低い人に教えても意味がありませんよ。それより私に教えて頂けませんか?ベッドで教えてくださっても構いません」

コソコソと笑いながら何か話している。

「あっ、大丈夫です」

エリオ先生は笑顔で断るとバタンと部屋の扉を閉めた。

「んー!」

扉の向こうではメイドのイラつく声が聞こえて、私は少し怖くなった。

「はー、やれやれ」

先生は部屋に入るとため息をついた。

両親の前で見せた笑顔ではなくうんざりした顔をしていたが私と視線があうと笑みを見せる。

なんか貼り付けたような笑顔に先程の顔が先生の本当の顔なんだろうな……となんとなく思った。

「フィオナ様、座ってください」

先生が丁寧な言葉で椅子を指し示す。

「はい」

私は頷いて大人しく座る。

「ではまずちょっと魔力を見せて貰うね」

「はい」

私は頷いた。

先生が手を出すのでジッとしていると、先生が首を傾げた。

「えっと手を出してくれる?」

「あっすみません」

私は恐る恐る手を出した。

先生が私の手を握ろうとするのだが、私はサッと手を隠してしまう。

「どうしたの?」

先生が不思議がっていた。

「その、私に触るとみんな気分が悪くなるみたいで……先生もその」

私は話しながら顔を下に向ける。

私がこの離れにいるのもそれが理由の一部だった。

ある時メイドが転んだので助け出そうとしたところ、メイドはみるみる気分が悪くなり気を失ったのだ。

それから私が触れるとみんな力が抜けたり、気分が悪くなることから、フィオナに触れると死ぬとか呪われるなどメイド達は噂するようになった。

「ふーん」

私の話を先生は興味深そうに聞いている。

「でもそれも触れてみないとわからないよね」

先生はまた手を差し出した。

私は恐る恐る一瞬指先だけ先生の手のひらに触れる。

「ふふ、それじゃわからないよ」

先生は笑うと私の手を取った。

「あっ!」

人の手を握ったのは久しぶりだった。

先生は私に触れると驚いた顔をしてずっと手を見つめている。

「これは……」

なにか考えるような表情で固まってしまった。

「せ、先生?」

私が声をかけるとハッとして手を離した。

「うん、わかった事がいくつかあったよ。確かにフィオナ様に触れると力が抜けていく」

その言葉に私は絶望する。

メイド達が嫌がらせで言っていたのかと思ったが……本当に私は人を呪ってしまっていたのだ。

「うっ……」

私はたまらずに涙を流した。

「え?あっ!ご、ごめん大丈夫?」

エリオ先生は私が泣くと慌てて謝ってくれた。

別に先生が悪い訳ではなく自分の運命に絶望して涙を流しているのだ。

「先生は悪くありません……私これから人に迷惑かけないようにします」

でも両親がこの事を知れば私は……

ただでさえ厄介者扱いなのに迷惑をかけることを知れば捨てられるかもしれない。

私は恐ろしくて蒼白になる。

「大丈夫、この力は抑えることが出来るよ。僕がそれを教えてあげるから安心して」

先生は両親の前の時とは違い砕けた感じで安心させるように話しかけてくれた。

「本当ですか?」

「うん、それにこの事はご両親には内緒にしておいてあげる。だから君もこの力を人に言っては駄目だよ。それが守れるなら抑える方法を教えてあげる」

私にはいいことしかない提案にコクコクとうなずいた。

先生は私の手のひらに指先で何か書くと魔力を込めた。

私はその様子を驚きながら眺めていた。

「綺麗……」

先生の魔法は緑色に輝いている。
キラキラと先生を包み込むようにゆらめいていた。

「何が綺麗なの?」

先生がキョトンと私を見つめる。

「そ、その先生の魔力が綺麗で……」

そう言うと先生はガタと椅子を倒しながら立ち上がった。

「君、魔力が見えるの!?」

「は、はい」

先生は何を言っているのだろうと私は驚いた。

この国には魔力があり、平民からみんな持っている。そして魔力には色がありその人の性質や量によって大きさや色を変えるのだ。

「先生は緑色の綺麗な魔力です。こんな量の魔力は初めて見ました」

そう言うと口をおさえた。

「フィオナ様は魔力が見えているんですね?」

「は、はい。これみんな見えますよね?」

生まれた時から当たり前の事で人に聞いた事もなかったがこんな反応をされると思わなかった。

だって魔力が測れてその人が使ったりできるんだからみんな見えているんだよね?

私が不安そうにすると先生は椅子を直してまた座る。

「色々と話したいし調べたいけど時間がないからよく聞いて、君のその魔力を吸う力や魔力が見える事は他の人にはできない事なんだ。だから人に言っては駄目だよ」

「え?」

魔力って見えないの?

私は初めて知る事実に驚いた。

「君のこともう少し調べたいけどもう帰らないと、明日また来るから続きはその時ね。あっあと魔力を吸う力は僕が軽く封をしておいたから大丈夫だよ」

先生はパチッとウィンクする。

私は自分の手を見つめた、これで人を苦しめる事は無くなると思うと嬉しい。

「先生、ありがとうございます」

私は目に涙を溜めてお礼を言った。

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