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しおりを挟む私はフィオナを伯爵家に返したあとすぐに王宮に婚約の手続きに向かった。
王家との繋がりは昔からあり、私の戦力を利用している王家とはウィンウィンの関係を築いている。
「オニキス、今婚約をしたいと聞こえたが私の耳はそこまで悪くなったか?」
国王は私の顔を見ながら耳の状態を確認している。
「国王、間違っていません。私はこの度、婚約者を決めたと言いました」
そう言うと顔をパァと輝かせて近づいてくると抱きついて背中をポンポンと叩く。
「ようやくお前にも春が来たのだな!」
「はい」
私は親のように喜んでくれる国王に笑って頷いた。
その顔をみて国王は穏やかに微笑む。
「お前にそのような顔をさせる令嬢は誰だ?」
「伯爵家のフィオナ嬢です」
「伯爵家?」
すると側近がすぐに答えた。
「辺境地の貧乏伯爵家ですね」
そう聞いて眉を顰めた。
「あそこにお前に見合う娘がいたか?」
「確かカトリーナという令嬢はいたような…」
パラパラと書類をめくって確認している。
「あっ、確かに長女にフィオナ嬢と書いてありますね。しかし目立った報告はほぼありませんね」
側近が顔を顰めた。
「調べたところによると彼女は魔力量が少なく屋敷で不当な扱いを受けております。すぐに保護として私の屋敷に迎え入れたいのです」
「ふむ、お前の様子から見て早急に必要なのだな?」
「はい、彼女は私の長年の苦痛を和らげてくれるのです」
そう言って穏やかな顔を見せると唖然としていた国王。
「まさかその令嬢はお前の魔力量を抑えてくれてるのか?」
「詳しくはまだ言えませんが…」
そう言うと国王は少し思案するような顔をする。
「フィオナを政治に利用はさせません」
先回りしてそう言うと国王は驚いた顔をして肩をすくめた。
「お前がいるだけでも私やこの国は助かっている。しかしフィオナ嬢の力を秘密にはしておけないぞ」
「それなら、私も力を貸しません」
はっきりと応えると国王は唖然とした。
「あははっ!お前がそこまで覚悟を決めてるんだな」
国王はひとしきり笑うと頷いた。
「わかった。お前とフィオナ嬢の婚約を認める」
「ありがとうございます」
私は早急に書類を作成してもらうが、公爵家という事もあり、色々と準備がいる為全ての用意が終わるまでに1週間もかかってしまった。
本来なら何ヶ月もかかるものらしいのでこれでもかなり急いでくれたのだろう。
しかしあの屋敷にフィオナを置いておきたくないのですぐにフィオナ嬢を迎えに行った。
伯爵家に着くと私の顔を見るなり伯爵は慌て出した。
フィオナを呼ぶように言うとメイドが慌てて裏手に走る。
エリオ先生から聞いていたがまだ離れに住まわせているのかと呆れた。
あんなにも土産を持たせれば少しはフィオナの対応も良くなると思っていたか私の想像をいく馬鹿な伯爵家だったようだ。
すると奥からフィオナの義妹がやってきた。
下品な赤い髪を振り乱し、フィオナに贈ったはずのドレスを着ている。
彼女に似合うドレスはあの義妹には似合わない、そう思い顔を歪めた。
私に色目を使おうとする娘は腐るほど見てきた。この女もそれと同じようだ。
無視してフィオナを探しに行く事にした。
ルカリオの案内で離れに行くと信じられないものを目撃する。
こともあろうに屋敷のメイドがフィオナに不敬な態度を取っていた。
私は気配遮断の魔法を使いメイドの後ろに立つとフィオナへの扱いを目の当たりにする。
彼女はこのような行いをこの屋敷でずっと受けてきたのだ。
ルカリオの怒りも同じだったようで彼女に手をあげようとするところを押さえつけた。
いや、ルカリオは私を止めたのかもしれない。このままだと私はこのメイドを殺していただろう。
彼女は私を見ると顔を逸らした。
恐ろしい顔をしていただけに彼女を怖がらせてしまったかもしれない。
こんな場所から早く彼女を連れ出したくて出ていこうとするとまたあの義妹達がやってきた。
私がフィオナの扱いを咎めると、信じられないことを口走る。
フィオナが望んだ事だと…
公爵家に嘘をつく事は王家に背くことと同じ行為だ。
それをわからない馬鹿でもあるまいし……いや大馬鹿者だったようだ。
こいつらは本気でこの嘘を通そうとしている。
フィオナを睨みつけ彼女をも巻き込もうとしていた。
私はあえて何も言わずに彼女の選択を待った。
今後彼女は私の妻となり公爵家を仕切る公爵夫人となるのだ。
彼女の優しさは魅力の一部だが、時として厳しさも必要である。
彼女は義妹の恐ろしい顔に怯え、言葉が出ないでいた。
そしてふと諦めたような顔をする。
私は願いを込めて彼女の手を握りしめる。
お願いだ、私と行く選択をしてくれ!
そう思い彼女を見つめると、彼女も手を握り返してくれた。
そしてキッパリと義妹の悪行を口にした。
よくやった!
私は彼女を抱きしめたい気持ちを堪えて彼女をこんな掃き溜めから連れ去った。
まだ微かに震える彼女を馬車に乗せると馬車に結界を張っておく。
これで彼女の安全は保証された。
しかも外の不快な声も彼女には届かないだろう。
「まぁまぁだな」
私が馬車を見てそう言うとルカリオが冷めた目で見つめてきた。
「ここまでしますか?」
「あの馬鹿な伯爵家が何をするかわからないんだ。これくらいは当然だろ」
そういうとルカリオも納得したようで確かにとうなずいた。
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