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両思い
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「俺がセシルを抱きしめたいんだ。だめ、かな?」
ランス様に突然そう言われて、自分の思考が停止するのがわかる。えっと、今ランス様なんて言いました?抱きしめたい?力分けとは関係なく、ランス様が私を抱きしめたいと思っている????
ランス様を見るととても愛おしいものを見るような瞳でこちらを見つめている。どうしよう、吸い込まれそうなほど綺麗な瞳。そんな顔で見つめられたら嫌だなんて言えない。嫌だとも思ってないけど……!
静かに頷くと、ランス様は大きく目を見開いてから優しく微笑んだ。そして、ゆっくり私へ両手を伸ばしてくる。そうして優しく、そっと抱きしめられた。
自分の心臓がうるさい。どうしよう、この心臓の音がランス様に伝わってしまうのでは、そう思ったけれどもう一つ別の音が伝わってくるのがわかる。
これは、ランス様の心臓の音。ランス様の心臓の音もすごく早い、ランス様もドキドキしてるんだわ。
背中に回された手のひらが暖かい。ランス様の胸板はしっかりしてて、自分とは違う男らしさを感じてしまう。ドキドキするけど、嫌じゃないしなんだか安心する。ドキドキと安心が同時にあるなんておかしいのにな。
どのくらいそうしていただろう。頭上からそっと息を吐く音がして、ランス様がゆっくりと体を離してきた。
「ありがとう、セシル。俺のわがままを聞いてくれて」
そう言ってランス様は微笑んだけれど、わがままだなんて思わない。これのどこがわがままなのだろう。
「わがままなんかじゃありません。私も、その、嬉しかったです」
そう言ってランス様を見ると、ランス様が困ったような顔をする。どうしたんだろう。
「そんな風に煽らないでくれるかな。このまま部屋に帰したくなくなってしまう」
「今日は一緒に寝ようかと枕を持ってきたんです。だから別に部屋に戻らなくても」
そう言うと、ランス様はさらに困ったような複雑そうな顔をした。
「だめだよ、一緒になんて寝たら今の俺は理性を保てなくなる。何をしてしまうかわからないよ、まだ帰そうと思っているうちに部屋に帰って。お願いだから」
理性を保てなくなる?何をしてしまうかわからない……?その言葉の意味に気づいて思わず顔が熱くなってしまう。
「ほら、困るでしょ。話は終わったし、今日は自分の部屋に戻って。送るから」
そう言ってランス様は立ち上がり、私を促してくる。はい、ソウデスネ……。
「一人でも戻れますよ。もう迷ったりしません」
「いや、俺が部屋まで送ってあげたいんだ」
そう言ってランス様は私を部屋まで送り届けてくれた。
「ありがとうございます」
お屋敷はそんなに広くないのであっという間に部屋についた。私が部屋の中に入ると入り口の前でランス様は立ち止まる。
「ゆっくり休んでね」
そう言ってランス様は立ち去ろうとした。
「?!」
ランス様が後ろにつんのめりそうになる。なぜなら、私がランス様の袖を掴んでしまっているから。掴もうと思って掴んだわけではなく、気づいたら掴んでいたのだけど……。
「セシル?」
ランス様は困ったような顔をして振り向いた。はい、そうですよね、私もなぜこんなことをしているのかわからなくて困っています。
「すみません……」
そっと手を離すと、ランス様は呆れつつ優しく微笑んで私の頭を撫でた。
「今日はもうお休み。また明日」
「はい」
今度はこちらがドアを閉めるまでランス様がドアの前にいてくれた。また裾を引っ張られても困ると思ったのだろう。
部屋に入って、持っていた枕ごとベッドにダイブする。
「あぁ~、どうしよう、ランス様と両思いだ……」
ランス様に突然そう言われて、自分の思考が停止するのがわかる。えっと、今ランス様なんて言いました?抱きしめたい?力分けとは関係なく、ランス様が私を抱きしめたいと思っている????
ランス様を見るととても愛おしいものを見るような瞳でこちらを見つめている。どうしよう、吸い込まれそうなほど綺麗な瞳。そんな顔で見つめられたら嫌だなんて言えない。嫌だとも思ってないけど……!
静かに頷くと、ランス様は大きく目を見開いてから優しく微笑んだ。そして、ゆっくり私へ両手を伸ばしてくる。そうして優しく、そっと抱きしめられた。
自分の心臓がうるさい。どうしよう、この心臓の音がランス様に伝わってしまうのでは、そう思ったけれどもう一つ別の音が伝わってくるのがわかる。
これは、ランス様の心臓の音。ランス様の心臓の音もすごく早い、ランス様もドキドキしてるんだわ。
背中に回された手のひらが暖かい。ランス様の胸板はしっかりしてて、自分とは違う男らしさを感じてしまう。ドキドキするけど、嫌じゃないしなんだか安心する。ドキドキと安心が同時にあるなんておかしいのにな。
どのくらいそうしていただろう。頭上からそっと息を吐く音がして、ランス様がゆっくりと体を離してきた。
「ありがとう、セシル。俺のわがままを聞いてくれて」
そう言ってランス様は微笑んだけれど、わがままだなんて思わない。これのどこがわがままなのだろう。
「わがままなんかじゃありません。私も、その、嬉しかったです」
そう言ってランス様を見ると、ランス様が困ったような顔をする。どうしたんだろう。
「そんな風に煽らないでくれるかな。このまま部屋に帰したくなくなってしまう」
「今日は一緒に寝ようかと枕を持ってきたんです。だから別に部屋に戻らなくても」
そう言うと、ランス様はさらに困ったような複雑そうな顔をした。
「だめだよ、一緒になんて寝たら今の俺は理性を保てなくなる。何をしてしまうかわからないよ、まだ帰そうと思っているうちに部屋に帰って。お願いだから」
理性を保てなくなる?何をしてしまうかわからない……?その言葉の意味に気づいて思わず顔が熱くなってしまう。
「ほら、困るでしょ。話は終わったし、今日は自分の部屋に戻って。送るから」
そう言ってランス様は立ち上がり、私を促してくる。はい、ソウデスネ……。
「一人でも戻れますよ。もう迷ったりしません」
「いや、俺が部屋まで送ってあげたいんだ」
そう言ってランス様は私を部屋まで送り届けてくれた。
「ありがとうございます」
お屋敷はそんなに広くないのであっという間に部屋についた。私が部屋の中に入ると入り口の前でランス様は立ち止まる。
「ゆっくり休んでね」
そう言ってランス様は立ち去ろうとした。
「?!」
ランス様が後ろにつんのめりそうになる。なぜなら、私がランス様の袖を掴んでしまっているから。掴もうと思って掴んだわけではなく、気づいたら掴んでいたのだけど……。
「セシル?」
ランス様は困ったような顔をして振り向いた。はい、そうですよね、私もなぜこんなことをしているのかわからなくて困っています。
「すみません……」
そっと手を離すと、ランス様は呆れつつ優しく微笑んで私の頭を撫でた。
「今日はもうお休み。また明日」
「はい」
今度はこちらがドアを閉めるまでランス様がドアの前にいてくれた。また裾を引っ張られても困ると思ったのだろう。
部屋に入って、持っていた枕ごとベッドにダイブする。
「あぁ~、どうしよう、ランス様と両思いだ……」
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