34 / 82
三人の聖女たち
しおりを挟む
「セシル!リラ!」
ベル様が私達に気がついて声をかけてくれた。それに気づいたランス様が頷きながら手を離す。ロイ様も同じようにリラの手を離してランス様と一緒にユーズ様の所へ向かっていった。
「ベル様、お久しぶり、なの」
リラがほんの少し嬉しそうに挨拶をする。
「久しぶりね、元気そうでよかったわ」
ベル様はリラをぎゅーっと抱き締めた。突然のことでリラは一瞬困った様子だったけれど、でもすぐに嬉しそうにベル様の胸に顔を擦り寄せる。
「セシルもこの間ぶりね。あれからランスとは話ができた?」
リラの頭を撫でながらベル様が話しかけてくる。リラったらまるで子猫みたいに目を細めて嬉しそうにベル様の手へ頭を預けている。可愛いなぁ。
「はい、おかげさまでちゃんと話をすることができました。ありがとうございます」
えへへ、と照れるとベル様もまぁ!と嬉しそうに頬笑む。
「リラも、セシルを見習ってロイとお話してみるの」
リラがそう言うと、ベル様はリラと私の顔を交互に見て嬉しそうに笑った。
「セシルに相談してみたのね。とても良いことだと思うわ。リラもロイとちゃんとお話できるといいわね」
ふわぁっと笑うその顔に心が軽くなる。リラも同じだったようで、嬉しそうにベル様に抱きついた。
「ベル様、聖女の誘拐についてですが……」
会議で聞いた話を詳しく知りたい。そう思ってベル様に言うと、ベル様は美しい顔を曇らせた。
「あなたたちも気をつけてね。すでに数人誘拐された後すぐに救出されてはいるけれど、記憶を一時的に無くしているの。白龍は何かに気づいているようだけど、まだ話してはくれないのよね」
ベル様は片手を頬に添えてうーんと悩む。白龍が気づいたことを言わないとは一体どういうことだろう。自分の聖女が拐われ記憶を無くしたというのに。
「まだ言えない段階のことなのかもしれない。もしくは白龍に関係する何か、なのか。わからないことだらけで困ってしまうわね」
ベル様はため息をつく姿でさえ美しい。
「ベル様も気をつけてくださいね」
「私みたいなおばさん聖女をたぶらかすような男はいないと思うんだけど……」
「歳は関係ないだろう」
突然後ろから声がして振り返ると、ユーズ様が渋い顔をして話に割ってはいってきた。すぐそばにはランス様、ロイ様もいる。
「いいか、虹の力を持つ聖女が狙われているんだ。確かに今のところはまだ若い聖女だけが拐われているが、今後どうなるかわからない。ちゃんと自覚してくれよ」
ユーズ様はベル様に向かって少し厳しめの言葉を投げ掛けた。でもそこにはベル様を心配する気持ちがちゃんと込められているのがわかる。何より、ベル様を見つめるユーズ様の瞳が……不安と同時に守り抜くという固い意志が感じられるのだ。
「セシルやリラも同じだ。ランスやロイが何があっても守るだろうが、そうだとしても二人がいない所で何かあれば対応が遅れてしまう。くれぐれも一人での行動は控えてくれ」
ベル様が私達に気がついて声をかけてくれた。それに気づいたランス様が頷きながら手を離す。ロイ様も同じようにリラの手を離してランス様と一緒にユーズ様の所へ向かっていった。
「ベル様、お久しぶり、なの」
リラがほんの少し嬉しそうに挨拶をする。
「久しぶりね、元気そうでよかったわ」
ベル様はリラをぎゅーっと抱き締めた。突然のことでリラは一瞬困った様子だったけれど、でもすぐに嬉しそうにベル様の胸に顔を擦り寄せる。
「セシルもこの間ぶりね。あれからランスとは話ができた?」
リラの頭を撫でながらベル様が話しかけてくる。リラったらまるで子猫みたいに目を細めて嬉しそうにベル様の手へ頭を預けている。可愛いなぁ。
「はい、おかげさまでちゃんと話をすることができました。ありがとうございます」
えへへ、と照れるとベル様もまぁ!と嬉しそうに頬笑む。
「リラも、セシルを見習ってロイとお話してみるの」
リラがそう言うと、ベル様はリラと私の顔を交互に見て嬉しそうに笑った。
「セシルに相談してみたのね。とても良いことだと思うわ。リラもロイとちゃんとお話できるといいわね」
ふわぁっと笑うその顔に心が軽くなる。リラも同じだったようで、嬉しそうにベル様に抱きついた。
「ベル様、聖女の誘拐についてですが……」
会議で聞いた話を詳しく知りたい。そう思ってベル様に言うと、ベル様は美しい顔を曇らせた。
「あなたたちも気をつけてね。すでに数人誘拐された後すぐに救出されてはいるけれど、記憶を一時的に無くしているの。白龍は何かに気づいているようだけど、まだ話してはくれないのよね」
ベル様は片手を頬に添えてうーんと悩む。白龍が気づいたことを言わないとは一体どういうことだろう。自分の聖女が拐われ記憶を無くしたというのに。
「まだ言えない段階のことなのかもしれない。もしくは白龍に関係する何か、なのか。わからないことだらけで困ってしまうわね」
ベル様はため息をつく姿でさえ美しい。
「ベル様も気をつけてくださいね」
「私みたいなおばさん聖女をたぶらかすような男はいないと思うんだけど……」
「歳は関係ないだろう」
突然後ろから声がして振り返ると、ユーズ様が渋い顔をして話に割ってはいってきた。すぐそばにはランス様、ロイ様もいる。
「いいか、虹の力を持つ聖女が狙われているんだ。確かに今のところはまだ若い聖女だけが拐われているが、今後どうなるかわからない。ちゃんと自覚してくれよ」
ユーズ様はベル様に向かって少し厳しめの言葉を投げ掛けた。でもそこにはベル様を心配する気持ちがちゃんと込められているのがわかる。何より、ベル様を見つめるユーズ様の瞳が……不安と同時に守り抜くという固い意志が感じられるのだ。
「セシルやリラも同じだ。ランスやロイが何があっても守るだろうが、そうだとしても二人がいない所で何かあれば対応が遅れてしまう。くれぐれも一人での行動は控えてくれ」
14
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~
白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。
国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。
幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。
いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。
これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる