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にらみ合い
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「ふざけるなよ!」
王都の騎士様たちが次々と鞘から剣を抜く。全員ではないがかなりの人数の騎士様たちが剣を構えている。
その様子を見てケインズ団長はうんざりするような顔で小さくため息をつき、ユーズ団長はそれを見てまた小さくため息をついた。ベル様は片手を頬に添えてあら……と悲しげな表情だ。
え、これってやっぱりランス様の心配していたことが起こっている?!
「騎士一人に勝ったからって図に乗るなよ!聖女のくせに生意気言いやがって!!」
ワーワーと王都の騎士様たちからガヤが飛ぶ。
スッとランス様が私の前に立ちはだかった。他の白龍使いの騎士様たちも皆自分の聖女を守ようにして立ち、いつの間にか白龍はそれぞれ聖女の横にいる。ユーズ団長もいつの間にかベル様を庇うようにして立っていた。
「負け犬の遠吠えか?ほざいてろよ。その聖女に負けたのは王都の騎士様だろうが」
ガイル様が冷ややかな瞳で王都の騎士様たちを見つめそう吐き捨てる。
「黙れ!生意気な聖女には痛い目見せないと気が済まねぇんだよ!!それに、剣を使えるのはその聖女だけでそれ以外の聖女は足手まといかもしれないだろ!!」
王都の騎士の一人が血相を変えてそう叫ぶ。
「ほお?随分とデカイ口くち叩いてくれるじゃねぇか。やれるもんならやってみろよ」
白龍使いの騎士たちと王都の騎士様たちが睨み合っている。
確かに、私やリラはシキ様のように剣は使えないし足手まといと思われてもおかしくないかもしれない……。
もう一人の聖女様はどうなんだろう。そう思ってまだ名前も知らない残りの一人の聖女様の顔をそっと見てみる。艶やかなブロンドの髪を一つに束ねた穏やかそうな美しい聖女様だ。色鮮やかな刺繍の施された紺色のローブに身を包み、ただその場を静観しているように見える。
聖女様の隣に立っている白龍使いの騎士様は、まだ若そうで私と同じくらいか、もっと下かしら?美しい黒髪を風に靡かせながらしっかりと聖女様を守るようにして王都の騎士様たちに睨みを効かせている。
「いい加減にしろ!!!」
大きな声がして、王都の騎士様たちの目の前にはケインズ団長が、白龍使いの騎士様たちの目の前にはユーズ団長が立ちはだかる。
「お前ら、暴れ足りないならまずは俺を倒してからにしろよ」
ケインズ団長は王都の騎士様たちに向かってそう言い、腰にある剣の鞘に手をかけた。
「団長!どうして邪魔するんですか!団長だって白龍使いの騎士のことは嫌いじゃないですか!!」
「あぁ、大嫌いだね。だが俺はお前たちのように私情を挟んだりしない」
ケインズ団長の言葉を聞いて、ユーズ団長が一瞬だけ微笑んだように見えた。
「いいいか?俺たちは王都の騎士だ。お前たちは俺から一体今まで何を学んできたんだ?騎士たるものは何なのかもう一度頭に叩きつけてやるから騒いでる奴らは全員一人残らず大会議室に来い!いいな!!」
ケインズ団長が叫ぶと、騒いでいた騎士様たちは一斉にシュンとなり、項垂れながら中庭から去っていく。
王都の騎士様たちが去っていく中で、騒ぎに加担しなかった騎士様たちの姿が見えた。目が合うと、静かに一礼して去っていく。王都の騎士様の中にもきっといい人はいるのね。
「お前たちもそろそろ頭を冷やせ。ケインズが場を収めなければ問題になっていたところだぞ」
ユーズ団長が静かにそう言いながらシキ様を見る。
「聖女が足手まといでないということを示したかったのはわかるしそれを示すことは間違ってはいないだろう。だが、どんなに正しいやり方をしたとしてもそれでうまくいくとは限らない。逆に相手の感情を逆撫でしてしまうことだってあるんだ。俺はそれをわかって欲しかった」
そう言われたシキ様はユーズ団長の顔をじっと見つめているが、その表情は変わらず真顔で読み取れない。
「だが、わかってもらうためだったとは言え俺とケインズはその場をただ見ているだけだった。お前たちを信用しているからとはいえ、悪かったな」
すまない、と静かに一礼するユーズ様。その隣でベル様も同じようにお辞儀をする。
「……いえ、団長の言う通り私のやり方が間違っていただけです。他の皆さんも巻き込んでしまいました。申し訳ありません」
シキ様が私たちの方を見て静かにお辞儀をした。
「まぁ、怪我人もいなかったんだし、いいんじゃねぇか」
ロイ様がそう言うと、隣でリラが大きく首を縦に振った。こんな時でもやっぱりリラは可愛くて癒される。
「俺は大切な聖女様を危ない目に合わせたことはやはり良くないと思いますが」
静かに、でも意志の強そうな声が聞こえてきてそちらを向くと、そこには黒髪の白龍使いの騎士様が少し怒ったような顔をしていた。
「クロウ、いいのよ。シキ様もこうして謝ってくださっているのだし」
「ですがルル、俺は……」
ルルと呼ばれた聖女様が、クロウと呼ばれた見るからに年下の白龍使いの騎士様を宥めている。
「まぁまぁ、落ちつけ。お前はルルのことになると冷静でいられなくなるのが玉に瑕きずだな」
やれやれとユーズ団長がクロウ様に向かって言うと、ルル様がクロウ様を優しい眼差しで見つめ微笑んでいる。それに気づいたクロウ様が思わず顔を赤らめた!え、やだ何それ可愛らしい!!
「そういえばまだ全員きちんと顔合わせらしいことができてなかったな。場所を移そうか」
ユーズ団長がそう言って笑った。
王都の騎士様たちが次々と鞘から剣を抜く。全員ではないがかなりの人数の騎士様たちが剣を構えている。
その様子を見てケインズ団長はうんざりするような顔で小さくため息をつき、ユーズ団長はそれを見てまた小さくため息をついた。ベル様は片手を頬に添えてあら……と悲しげな表情だ。
え、これってやっぱりランス様の心配していたことが起こっている?!
「騎士一人に勝ったからって図に乗るなよ!聖女のくせに生意気言いやがって!!」
ワーワーと王都の騎士様たちからガヤが飛ぶ。
スッとランス様が私の前に立ちはだかった。他の白龍使いの騎士様たちも皆自分の聖女を守ようにして立ち、いつの間にか白龍はそれぞれ聖女の横にいる。ユーズ団長もいつの間にかベル様を庇うようにして立っていた。
「負け犬の遠吠えか?ほざいてろよ。その聖女に負けたのは王都の騎士様だろうが」
ガイル様が冷ややかな瞳で王都の騎士様たちを見つめそう吐き捨てる。
「黙れ!生意気な聖女には痛い目見せないと気が済まねぇんだよ!!それに、剣を使えるのはその聖女だけでそれ以外の聖女は足手まといかもしれないだろ!!」
王都の騎士の一人が血相を変えてそう叫ぶ。
「ほお?随分とデカイ口くち叩いてくれるじゃねぇか。やれるもんならやってみろよ」
白龍使いの騎士たちと王都の騎士様たちが睨み合っている。
確かに、私やリラはシキ様のように剣は使えないし足手まといと思われてもおかしくないかもしれない……。
もう一人の聖女様はどうなんだろう。そう思ってまだ名前も知らない残りの一人の聖女様の顔をそっと見てみる。艶やかなブロンドの髪を一つに束ねた穏やかそうな美しい聖女様だ。色鮮やかな刺繍の施された紺色のローブに身を包み、ただその場を静観しているように見える。
聖女様の隣に立っている白龍使いの騎士様は、まだ若そうで私と同じくらいか、もっと下かしら?美しい黒髪を風に靡かせながらしっかりと聖女様を守るようにして王都の騎士様たちに睨みを効かせている。
「いい加減にしろ!!!」
大きな声がして、王都の騎士様たちの目の前にはケインズ団長が、白龍使いの騎士様たちの目の前にはユーズ団長が立ちはだかる。
「お前ら、暴れ足りないならまずは俺を倒してからにしろよ」
ケインズ団長は王都の騎士様たちに向かってそう言い、腰にある剣の鞘に手をかけた。
「団長!どうして邪魔するんですか!団長だって白龍使いの騎士のことは嫌いじゃないですか!!」
「あぁ、大嫌いだね。だが俺はお前たちのように私情を挟んだりしない」
ケインズ団長の言葉を聞いて、ユーズ団長が一瞬だけ微笑んだように見えた。
「いいいか?俺たちは王都の騎士だ。お前たちは俺から一体今まで何を学んできたんだ?騎士たるものは何なのかもう一度頭に叩きつけてやるから騒いでる奴らは全員一人残らず大会議室に来い!いいな!!」
ケインズ団長が叫ぶと、騒いでいた騎士様たちは一斉にシュンとなり、項垂れながら中庭から去っていく。
王都の騎士様たちが去っていく中で、騒ぎに加担しなかった騎士様たちの姿が見えた。目が合うと、静かに一礼して去っていく。王都の騎士様の中にもきっといい人はいるのね。
「お前たちもそろそろ頭を冷やせ。ケインズが場を収めなければ問題になっていたところだぞ」
ユーズ団長が静かにそう言いながらシキ様を見る。
「聖女が足手まといでないということを示したかったのはわかるしそれを示すことは間違ってはいないだろう。だが、どんなに正しいやり方をしたとしてもそれでうまくいくとは限らない。逆に相手の感情を逆撫でしてしまうことだってあるんだ。俺はそれをわかって欲しかった」
そう言われたシキ様はユーズ団長の顔をじっと見つめているが、その表情は変わらず真顔で読み取れない。
「だが、わかってもらうためだったとは言え俺とケインズはその場をただ見ているだけだった。お前たちを信用しているからとはいえ、悪かったな」
すまない、と静かに一礼するユーズ様。その隣でベル様も同じようにお辞儀をする。
「……いえ、団長の言う通り私のやり方が間違っていただけです。他の皆さんも巻き込んでしまいました。申し訳ありません」
シキ様が私たちの方を見て静かにお辞儀をした。
「まぁ、怪我人もいなかったんだし、いいんじゃねぇか」
ロイ様がそう言うと、隣でリラが大きく首を縦に振った。こんな時でもやっぱりリラは可愛くて癒される。
「俺は大切な聖女様を危ない目に合わせたことはやはり良くないと思いますが」
静かに、でも意志の強そうな声が聞こえてきてそちらを向くと、そこには黒髪の白龍使いの騎士様が少し怒ったような顔をしていた。
「クロウ、いいのよ。シキ様もこうして謝ってくださっているのだし」
「ですがルル、俺は……」
ルルと呼ばれた聖女様が、クロウと呼ばれた見るからに年下の白龍使いの騎士様を宥めている。
「まぁまぁ、落ちつけ。お前はルルのことになると冷静でいられなくなるのが玉に瑕きずだな」
やれやれとユーズ団長がクロウ様に向かって言うと、ルル様がクロウ様を優しい眼差しで見つめ微笑んでいる。それに気づいたクロウ様が思わず顔を赤らめた!え、やだ何それ可愛らしい!!
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ユーズ団長がそう言って笑った。
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