聖女として白龍の生贄になると思ったらなぜか騎士様と契約結婚することになって愛されています

鳥花風星

文字の大きさ
74 / 82

ユーテス山脈

しおりを挟む
 あれから一週間が経ち、私たちは白龍使いの騎士団本部に召集された。
 召集されたのは魔物討伐祭で任務に当たった騎士と聖女、そしてその白龍たち。王都の騎士団からは唯一ケインズ団長が参加している。

 討伐祭やその後の会議ですっかり見慣れた顔になったけれど、どうも様子が違う面々もいるようで……。

 ガイル様はなぜかシキ様にべったりだし、シキ様は以前と変わらず無表情に見えて、でもガイル様へ向ける眼差しはとても優しい。あの二人、何かあったのかしら?

 そんなことを考えていたら、ユーズ団長が真剣な顔で話始めた。

「急な連絡になってしまったが集まってくれて感謝する。どうやら誘拐事件の黒幕は一度サリ国に帰ろうとしているらしい。聖女ニオと白龍リオンも研究体として連れていこうとしているそうだ」

 白龍ギール様の元へ白龍リオン様から逐一情報共有されていたが、今回どうやら急を要する状態らしい。国外に逃げられてしまえば追うことも聖女様たちを救出することも難しくなってしまう。

「もしかするとこれは我々を誘き出す罠かもしれない。白龍同士で遠隔でも意思の疎通ができることを向こうも知っているからな。だが、それでも行かないという選択肢はどこにも無い」

 ユーズ団長の言葉に、一同が力強く頷いた。

「奴らは国境近くのユーテス山脈にいるらしい。支度が整い次第すぐに出発する!」



 それぞれ白龍様の背中に乗りユーテス山脈へ向かった。ケインズ団長はユーズ団長とベル様と一緒にユイン様の背中に乗っている。

「ケインズ、大丈夫か?」
「お、おう……お前らいつもこんなのに乗って移動してんのか?すげぇな」

 さすがのケインズ団長も白龍様の背中に乗っての移動にはやや驚きを隠せないらしい。
 そんなこんなで大空を飛びながらユーテス山脈の近くまでやって来た。

「おい、なんだよあれ……!」
 ケインズ団長が顔をしかめながら低い声で呟く。

 地上がどす黒く覆われ、禍禍しい瘴気を発しているのがよくわかる。

「すごい瘴気……」
 思わず呟くと、腰に回っていたランス様の手が強まる。

 ユーズ団長が険しい顔で振り向き他の騎士様や聖女様たちに声をかける。

「やはり罠だったか。だが、あの近くに聖女ニオと白龍リオンがいるはずだ。降りるぞ」




 白龍様たちがゆっくりと着地し、背中に乗っていた私たちは次々と地面へ降り立った。

「くっ、すごいな」

 ユーズ団長が口元を腕で隠しながら言うと、白龍様たちが次々に光のドームを私たちの周りに作り始めた。

「私たちの周りから離れないように。無防備に瘴気に当たり続けると自我を失う」

 白龍ギール様の言葉を聞いてみんな視線を合わせて頷いた。

 すると突然、茂みから黒い物体が勢いよくこちらに突撃してきた!

「魔物か!」
 咄嗟にランス様が剣を向け切りつける。魔物の体は真っ二つにわかれそのまま塵となって消えていった。

「どうやら囲まれているようだね」
 ミゼル様がそう言うと、四方八方の茂みの陰から光る目がたくさんこちらをうかがっている。

雷神光剣サンダーブレード!」
 ルル様が杖をかざして詠唱すると、周辺一帯に雷が落ち魔物たちに命中する。

 だが、命中しなかった魔物たちが次々に茂みから飛び出してきた。

「はぁぁっ!」
 すかさずベル様とシキ様が剣で応戦する。ランス様やロイ様、ガイル様やクロウ様も剣をふるって魔物に切りかかった。

守護障壁プロテクト!」
小規模増幅ブースター!」
 私とリラは魔法で援護する。

 ここに到着する前に、白龍の力をギリギリまで消費しない戦い方をするように打ち合わせをしていた。白龍の力を使いすぎると力わけをしなければならなくなるし、そんなことをしていては隙だらけになってしまう。
 きっと相手は白龍の力の消費を狙っているのだろう。もしくは、白龍の力そのものを狙っているのかもしれない。

 なんにせよ、打ち合わせ通りの戦い方をして私たちを取り囲んでいた魔物たちは殲滅することができた。

「なんとか白龍の力を消費しないで倒せましたね」

 クロウ様がホッとした様子で言ったその時。

「お見事。なんだ、この程度では力は使う必要がなかったか」

 パチパチパチと軽い乾いた拍手の音がして、黒い瘴気の靄から人影が現れた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~

白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。 国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。 幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。 いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。 これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない

三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです

みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。 時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。 数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。 自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。 はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。 短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました を長編にしたものです。

処理中です...