辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ

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7話

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 騎士団の士気が向上したことで、ガイウスのミサキへの独占欲は一層強まっていた。ミサキの作る料理は、彼にとって命の源であると同時に、決して誰にも分け与えたくない秘宝となっていた。

 ある日、ミサキはログハウスの外で、負傷した騎士ゼノンのために、栄養価の高いチキンスープを作っていた。

「ゼノンさん、熱いうちにどうぞ。玉ねぎをじっくり炒めたので、疲労回復にいいはずです」

「ミサキ様、本当に感謝します。団長からいただいたスープもすごいですが、作り立ては別格ですね!」

 ゼノンは涙を流さんばかりに感激した。

 その時、巡回から戻ったガイウスが、その光景を目撃した。

 ミサキが、自分のために使うべき優しさを、他の男に向けている。そして、その男がミサキの料理に感動している。

 ガイウスの顔は、一瞬で凍り付いたような冷酷さに覆われた。

「ゼノン」

 ガイウスの低い声に、ゼノンはビクリと震え、すぐに姿勢を正した。

「団長、お戻りで!」

「君の怪我は、私が治癒師を呼んで対応する。ミサキの料理は、治療薬ではない」

 ガイウスは、ゼノンからスープの入った皿を強引に奪い取り、ゼノンの手に渡し返した。

「君の回復には、これ以上の過剰な栄養は不要だ」

 ゼノンは団長の尋常ではない威圧感に恐れをなし、すぐさまその場を後にした。

 ミサキは、ガイウスの露骨な嫉妬に激しく抗議した。

「騎士団長殿!ゼノンさんは怪我をしていたんです!私の料理は人を助けるために……」

「違う!」

 ガイウスは声を荒げた。

「君の料理の最高の部分は、私を満たすためにある。君の優しさも、献身も、私以外の男に与えるな」

 ガイウスは、ミサキを壁際に追い詰めた。彼の黄金の瞳は、怒りと激しい所有欲に燃えていた。

「君は、私がどれだけ君に依存しているか理解していないのか?君の料理の香りが、私以外の男に届くことすら、私の魂の安寧を乱すのだ」

 ミサキは、彼の支配的な愛と独占欲の激しさに息を飲んだ。彼の冷酷さは、自分への執着から来ているのだと、改めて悟った。

「団長、落ち着い……」

 言葉を最後まで言い終える前に、ガイウスはミサキの顔を両手で強く包み込み、強引に唇を奪った。

 ミサキの体は硬直したが、ガイウスのキスは、その荒々しさの中に、孤独な魂が救いを求めるような切実さと、二度と手放さないという強い決意を帯びていた。

 数秒後、ガイウスは唇を離し、額をミサキの額に押し付けた。彼の息は荒く、冷酷な仮面は完全に剥がれていた。

「いいか、ミサキ。君の味覚と才能が私に属するように、君の心も私だけのものだ。私以外の誰にも、その純粋な優しさを見せるな」

 彼は、ミサキの唇に触れる自分の指先を見つめ、低い声で囁いた。

「君は、私の命の源だ。もし君が誰かに奪われるようなことがあれば、私はこの辺境の全てを血の海に変えてでも、君を取り戻す」

 ミサキは、ガイウスの狂気じみた独占欲に恐怖を感じながらも、彼の孤独と、自分だけを求める愛情に、抗いがたい魅力を感じていた。彼女のスローライフは破壊されたが、代わりに最強の騎士団長からの、絶対的な溺愛という、新たな人生が始まっていた。
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