辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ

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6話

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 ガイウスとの半強制的な同居生活が続き、ミサキは騎士団長の食事を管理するようになって二週間が経過した。

 ミサキの料理は、ガイウスに圧倒的な変化をもたらしていた。彼の顔色は格段に良くなり、疲労回復が早くなっただけでなく、失われかけていた味覚が完全に鋭敏になったことで、判断力と戦闘力も飛躍的に向上したという。

 ある日、ミサキが騎士団の駐屯地近くの森で食材を採取していると、ガイウスの副官である騎士ゼノンと出会った。ゼノンは、ミサキに深く頭を下げた。

「ミサキ様、本当にありがとうございます!」

「あ、ゼノンさん。どうしたんですか?」

「いえ、最近の団長は別人のようです。以前は、食事中に何を話しかけても『燃料だ』としか答えなかったのに、今は『この味付けには、もう少し酸味が必要だ』などと、具体的な指摘をするようになりました」

 ゼノンは目を輝かせた。

「しかも、食事の内容が劇的に改善されたおかげで、我々騎士団全体の士気と体力が驚異的に向上しています。団長が、毎日私たちにも『ミサキ様が作った、余りのシチュー』を分けてくれるようになりまして……!」

(え、余り?あんなに冷酷に『俺のものだ』って言ってたのに、ちゃんと皆にも分けてたんだ……)

 ミサキは、ガイウスの冷酷な独占欲の裏に、騎士団長としての責任感と、彼女の料理の恩恵を共有しようという不器用な優しさが隠されていたことを知り、少し驚いた。

 しかし、ミサキの料理チートがもたらす強力な影響力は、ミサキ自身のスローライフへの願いとは裏腹に、彼女の存在を辺境の重要人物へと押し上げていった。

 駐屯地に戻ったミサキを待っていたガイウスは、いつも以上に冷たい威圧感を放っていた。

「ミサキ、君の料理が、騎士団に与える影響は計り知れない。君の『力』は、もはや私的なものでは済まされない」

 ガイウスは、ミサキの前に立ち、その肩を強く掴んだ。

「王都の貴族が、君の料理の効力に気づき始めている。彼らは、ただの食材ではない、『騎士団の士気を高める秘薬』として君を狙うだろう」

「だから、私はスローライフを送りたいんです!誰も知らないように静かに……」

「それは無理だ」

 ガイウスは断言した。

「君の料理の絶品の香りと効果は、辺境の風に乗って遠くまで届く。君は、自分の才能の強大さを理解していない」

 ガイウスの瞳は、ミサキの安全に対する強い決意と、彼女を独占したいという欲求に燃えていた。

「いいか、ミサキ。君の才能は、私という最強の盾なしには生き残れない。君の安全のため、私は君への監視と、このログハウスの警護を強化する」

 ガイウスは、ログハウスの周囲に見えない魔力的な結界を張り巡らせるよう、部下に指示を出した。そして、ミサキの調味料を全て厳重な鍵付きの棚にしまい込んだ。

「鍵は私が持つ。君のチート能力は、全て私の管理下にある。これで、君は私の命の源として、永遠に安全だ」

 ミサキは、自分のスローライフが、最強の騎士団長によって「安全な檻」へと変貌していくのを目の当たりにするしかなかった。彼女は、この冷酷な男の執着と庇護が、今後どんな波乱を呼ぶのかを恐れた。
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