「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い

腐ったバナナ

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3話

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 フィーアは、側近のクロウ(ワシ族)に案内され、獣人王宮の一室へ通された。王妃の間と呼ばれる部屋は、広大で豪華だったが、長年の魔力汚染により、どこか冷たく淀んだ空気が漂っていた。

 クロウは、フィーアに対し、徹底的な警戒心を隠さなかった。

「人間。貴様がこの国の王妃として扱われるのは、貴様の浄化の力が必要だからだ。王の御命令だ。決してこの部屋から無断で出るな。不審な行動があれば、容赦はしない」

 クロウの心の声は、(少しでも怪しい動きを見せたら、この場で排除する)という明確な殺意を含んでいた。

 フィーアは、クロウの警戒を理解し、静かに頷いた。

「承知いたしました。わたくしは、与えられた契約を忠実に守ります」

 クロウが部屋を出た後、フィーアは、すぐに部屋全体に満ちた重い魔力汚染を感じ取った。このままでは、彼女自身の体調も崩れるだろう。

 フィーアは、窓を開け、そして部屋の隅に座り込み、「浄化の泉」スキルを静かに発動させた。彼女の体から放たれる微かな光は、ゆっくりと部屋の淀んだ空気を吸い上げ、清らかな空気へと変えていく。数時間後、部屋は澄み切った清々しい空間となった。

 その夜、フィーアはガゼル王の執務室に呼び出された。

 ガゼル王は、執務机の奥に座り、強靭な肉体と黄金の鬣を誇りながらも、その顔には深い疲労の色が刻まれていた。彼の執務室もまた、王宮の中で最も魔力汚染がひどい場所だった。

「フィーア・エメライン。貴様との契約について、最終確認をする」

 ガゼル王は、鋭い黄金の瞳でフィーアを射抜いた。

「王妃の地位は与えるが、それは国の安寧のための形式的なものだ。貴様には、浄化の力を国のために使い、この荒廃した獣人国を豊かにする義務がある」

 ガゼル王は、机の上に一通の契約書を滑らせた。

 主な条項は以下の三点。

 ◇

 フィーアは、契約期間中、ガゼル王の妻(王妃)として振る舞うこと。

 フィーアは、その浄化の力を獣人国のために惜しみなく使うこと。

 フィーアは、ガゼル王の許可なく、獣人国から一歩も出ないこと。

 ◇

 ガゼル王は、特に第三項を強調した。

「貴様を追放した人間国は、いずれ貴様の力を狙って接触してくるだろう。貴様は、私とこの国の庇護下に置かれる。逃亡も、裏切りも、絶対に許さない」

 ガゼル王の心の声:(彼女の力は、国の存続に関わる。だが、過去に人間に裏切られた経験がある。彼女が私を裏切る可能性は排除せねばならない)

 フィーアは、契約書にサインをした。彼女にとって、この契約は「生きるための場所」であり、「自分の力を存分に使える場所」だった。

「王よ。わたくしは、契約を忠実に履行いたします。ただし、わたくしの力は『治癒』ではありません。『浄化と育成』です。時間はかかりますが、この国の大地と、心を必ず豊かにします」

 フィーアは、契約の条件を呑みつつも、自分の真の能力を王に伝えた。

 ガゼル王は、フィーアの真っ直ぐな瞳と、その揺るぎない決意に、僅かに興味を抱いた。彼は、裏切りを恐れて心を閉ざした男だったが、フィーアの誠実さは、彼の心を微かに揺さぶった。

「よろしい。契約は成立した。フィーア・アルファス。今日から、貴様は我が妻、獣人族の女王だ。さあ、下がれ。そして、約束を果たせ」

 フィーアは、ガゼル王の冷たい執務室を後にした。彼女の心には、最強の王に守られている安堵感と、自分の真の力でこの国を救うという使命感が満ちていた。
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