気づいたら悪役令嬢でしたが、破滅フラグは全力で避けます!

腐ったバナナ

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6話

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 王宮の午前は、いつもより慌ただしい。
 リリナ・フォン・ヴァルデンは、書類整理の合間に窓の外を見やる。庭園では王子が護衛と共に剣の稽古をしている。

「今日も元気ね、王子様」

 小声でそうつぶやくと、マリーが笑いながら答えた。

「本当に、リリナ様のおかげで最近は少し安心して見ていられます」

 そのとき、廊下で大きな物音が響いた。

「何事?」

 リリナが急ぎ駆けつけると、王子が剣の稽古中にうっかり護衛とぶつかり、二人で床に転がっている。さらに、近くの花瓶まで倒れ、花水が飛び散る騒ぎになっていた。

「王子様、大丈夫ですか!」

 リリナは駆け寄り、慌てて王子を助け起こす。

「……すまない、君のせいではない」

 王子は苦笑するが、頬を赤くしている。リリナはその顔を見て、少し心配になる。

 そこへ、エリスが現れた。

「まあ、リリナ。こんな騒ぎ、あなたのせいでしょう?」

「違います、エリス様。王子様が……」

 リリナが説明しようとするが、エリスは嘲笑を浮かべ、王子の横に立つ。

「ねえ、王子様。リリナがちゃんと見ていれば、こんなことにはならなかったんじゃない?」

 王子は眉をひそめる。

「リリナ、君は本当に大丈夫なのか?」

 リリナは深呼吸し、冷静に答える。

「はい、王子様。私の注意不足でご迷惑をおかけしてすみません。ですが、すぐに対応しました」

 その言葉に、王子の表情は少し和らぐ。しかし、エリスの笑みは消えず、廊下に響く声でさらに大きな騒ぎになった。使用人たちが慌てて駆けつけ、花水を拭き取り始める。

 リリナは静かに微笑む。――ここで慌てずに、状況をコントロールするのが重要だ。

「皆さん、落ち着いて。まずは怪我人はいません。花瓶の水は後で拭きます」

 使用人たちはリリナの声に従い、徐々に現場は収束していく。王子も立ち上がり、少し恥ずかしそうに頭をかく。

「すまない、皆。僕の不注意だ」

「王子様……次はもう少し慎重にしてくださいね」

 リリナは優しく促す。王子は小さく頷いた。

 その後、エリスは仕方なく退場。廊下には安堵のため息が漂う。リリナは小さく笑い、王子にささやく。

「王子様、これで今日のドタバタ事件はひとまず終了です」

「ふふ……君には助けられるな」

 王子の笑顔に、リリナの胸も少し温かくなる。

 夕方、リリナは書斎で今日の出来事を整理する。日記にペンを走らせながら、彼女は考えた。

 ――王子との信頼関係は少しずつ築けている。だが、誤解やトラブルはいつ起きるかわからない。だからこそ、冷静さを失わず、臨機応変に行動しよう。

 窓の外に夕日が差し込み、廊下には使用人たちの笑い声が残る。

 リリナは微笑み、明日もまた、巧みにフラグを回避する決意を胸に刻んだ。
 ――破滅は避ける。だけど、自分の自由と笑顔は、絶対に守る。
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