9 / 34
9.卒業試験直前(エミール)
しおりを挟むそれから毎日放課後にはリュカ様と一緒に図書館で勉強をするようになった。
あの日から放課後が楽しみにしている自分がいる。
今日も授業が終わり、図書館へ向かおうとすると、ミレイユ様に声をかけられる。
「エミール様、なんだかとても幸せそうですわ。」
そう言われて思わず赤面してしまう。
「ふふ、また聞かせてください。そして…あれからジョセフ様は…大丈夫でしょうか?」
「色々と会う度に嫌味を言って来ますが…。大丈夫ですわ。ミレイユ様こそ、ガスパル様はその後大丈夫でしょうか。」
「一昨日、真っ白なノートを携えて、私のノートを見せなさいと豪語して来ましたわ。」
ふふふっと笑いながらそう言うミレイユ様。
「まぁ!婚約破棄を言い出しておいて何て厚かましいのでしょう。お見せになったのですか?」
「まさか。真実の愛の相手にお願いしたら?と言ってガスパル様をそのまま置いて来ましたわ。」
「ふふ、さすがミレイユ様ですわ。では、私も明日の試験の為に図書館で勉強してきますわ。お互い頑張りましょうね。」
笑顔で別れて、図書館へ向かう。
既にリュカ様はいつもの席で勉強を始められていた。
その美しい横顔に少しばかり見とれてしまう。
ふとリュカ様が私に気付き、顔をあげて手を振った。
急いで席に向かい、隣に座って教科書やノートを広げた。
最後の確認を2人でして、毎年の試験の傾向を振り返り、試験の準備を終えた。
リュカ様は伸びをして、小さな声で話し始める。
「いよいよ明日が試験ですね。でも、これだけ準備していたら大丈夫でしょう。」
「そうですね。リュカ様は授業を受けていないのに私が教える箇所などどこにも無くて、逆に私が教えて頂く事ばかりで申し訳なく思いますわ。」
「そんな事無いですよ。私も、気付かされた事がたくさんありました。ありがとうございます。」
お互い顔を見合わせて笑うと、ふと目の前のノートに影が落ちた。
顔を上げると、怒りに歪んだ顔をしたジョセフか目の前に立っていた。
10歩後ろ程の所にリリアンがこちらを見ている。
「エミール…!!これは一体どういう事だ…!!婚約者がいるのに男と2人で仲良くして…!!お前は恥ずかしく無いのか!!」
「その言葉、そっくりお返ししますわ。そして、ご心配無く。ジョセフ様。もう私は貴方の婚約者ではありませんから。婚約破棄されたがっていましたものね?安心してください。」
「またそんなデタラメな事を言って…!父上にも言われだぞ!?父まで巻き込むな!!最近のエミールは変だぞ!?そ、そ、それよりもこの男は誰なんだよ!!浮気者!!!」
「先におかしくなられたのは、ジョセフ様です。浮気者??それを言うなら、ほら、リリアン様が待ってますよ。」
このような事を言う癖に、自分は他の女を連れて歩いているのだ。聞いて呆れてしまう。
「リ、リリアンにはノートを貸すだけだ…。何もない。私しか頼れる人がいないからって言うから…。」
試験の前日にノートを貸してもらわないといけないなんて、本当に明日の試験は大丈夫なのだろうか…。
人のことながら心配になってしまう。
そんな事を考えていると、
リュカ様が立ち上がり、ジョセフの前に立つ。
「図書館では静かにしなければならない事、教えてもらった事は無いのか?そして、人を浮気者扱いする割に、自分は女性連れて歩いているなんて説得力が無いのではないか?そして…今の貴方は駄々をこねる子どものようだ。」
「なっ…!」
「エミール嬢、行きましょう。」
「はっはい!」
リュカ様に促され咄嗟に返事をしてしまう。急いで片付けをして、リュカ様と一緒に図書館を後にした。
図書館を出た後リュカ様が私のに向き、
「エミール嬢、申し訳無い…。勝手にあんな事を言ってしかも連れ出して…。彼に未練はありましたか?」
申し訳なさそうに謝る。
「そんな…!恥ずかしい姿をお見せしてこちらが謝るべき事ですわ。そしてあの場から連れ出してくださりありがとうございました。助かりました。」
「そっか…。それならば良かったです。では、明日の試験頑張りましょう。」
「はい!ありがとうございました!」
(さぁ、いよいよ明日は試験日。頑張らないと…!)
そんな事を考えながら帰路に着くのだった。
125
あなたにおすすめの小説
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
今まで尽してきた私に、妾になれと言うんですか…?
水垣するめ
恋愛
主人公伯爵家のメアリー・キングスレーは公爵家長男のロビン・ウィンターと婚約していた。
メアリーは幼い頃から公爵のロビンと釣り合うように厳しい教育を受けていた。
そして学園に通い始めてからもロビンのために、生徒会の仕事を請け負い、尽していた。
しかしある日突然、ロビンは平民の女性を連れてきて「彼女を正妻にする!」と宣言した。
そしえメアリーには「お前は妾にする」と言ってきて…。
メアリーはロビンに失望し、婚約破棄をする。
婚約破棄は面子に関わるとロビンは引き留めようとしたが、メアリーは婚約破棄を押し通す。
そしてその後、ロビンのメアリーに対する仕打ちを知った王子や、周囲の貴族はロビンを責め始める…。
※小説家になろうでも掲載しています。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
妹に婚約者を取られてしまい、家を追い出されました。しかしそれは幸せの始まりだったようです
hikari
恋愛
姉妹3人と弟1人の4人きょうだい。しかし、3番目の妹リサに婚約者である王太子を取られてしまう。二番目の妹アイーダだけは味方であるものの、次期公爵になる弟のヨハンがリサの味方。両親は無関心。ヨハンによってローサは追い出されてしまう。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
私は家のことにはもう関わりませんから、どうか可愛い妹の面倒を見てあげてください。
木山楽斗
恋愛
侯爵家の令嬢であるアルティアは、家で冷遇されていた。
彼女の父親は、妾とその娘である妹に熱を上げており、アルティアのことは邪魔とさえ思っていたのである。
しかし妾の子である妹を婿に迎える立場にすることは、父親も躊躇っていた。周囲からの体裁を気にした結果、アルティアがその立場となったのだ。
だが、彼女は婚約者から拒絶されることになった。彼曰くアルティアは面白味がなく、多少わがままな妹の方が可愛げがあるそうなのだ。
父親もその判断を支持したことによって、アルティアは家に居場所がないことを悟った。
そこで彼女は、母親が懇意にしている伯爵家を頼り、新たな生活をすることを選んだ。それはアルティアにとって、悪いことという訳ではなかった。家の呪縛から解放された彼女は、伸び伸びと暮らすことにするのだった。
程なくして彼女の元に、婚約者が訪ねて来た。
彼はアルティアの妹のわがままさに辟易としており、さらには社交界において侯爵家が厳しい立場となったことを伝えてきた。妾の子であるということを差し引いても、甘やかされて育ってきた妹の評価というものは、高いものではなかったのだ。
戻って来て欲しいと懇願する婚約者だったが、アルティアはそれを拒絶する。
彼女にとって、婚約者も侯爵家も既に助ける義理はないものだったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる